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日本共産党議員の「同和脱税」追及国会議事録(5)
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[出典]
以下のデータは、国会会議録のホームページより検索・抜粋したものです。






吉井英勝
112回-参-大蔵委員会-10号 1988/04/28
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○吉井英勝君 保険業法でもちゃんと営業免許の内容等を定められておりますし、この種のことというのは是正さるべき問題でありますので、今のお話しありましたように、十分調査の上、この点は正していただきたいと思います。

 次の問題といたしまして、税務の問題について少し伺いたいと思いますが、部落解放同盟とその指導下にあるいわゆる企連に対する税務行政について伺いたいと思います。

 まず最初に総務庁に伺いたいと思いますが、昭和六十年八月から約二年間総務庁の地域改善対策室長を務め、六十一年十二月十一日の地対協意見具申の取りまとめ、また六十二年三月二十七日に参議院で全会一致で可決されました地対財特法の立案に携わってきた熊代氏が、「同和問題解決への展望」という著書を出しておられますが、これは私も読ましていただきまして、現在の政府の方針と基本的に一致しているものというふうに思われますが、そういうふうに理解していいでしょうか。

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○説明員(瀬田公和君) 先生の御指摘いただきました書物でございますけれども、著者本人の序文の中でも明確に述べられてございますように、著者の地域改善対策室長としての経験を踏まえてはいるものの、総務庁の公式の見解ということではなく著者個人の見解でございまして、著者本人の同和問題に関する心情というものを大胆に吐露したものであるというふうに考えております。

○吉井英勝君 著者本人が総務庁の室長時代に実際に取り組まれた内容等がたくさん出ておりますが、これは単なる心情の吐露じゃなくて、これは行政姿勢そのものについては今日の方も当然その姿勢は引き継いでやっておられると思うんですが、この点はいかがですか。

○説明員(瀬田公和君) 先生御指摘のように、本書につきましてはまだ私自身もこれを詳細に検討しているというわけではございませんけれども、先生の今御指摘ございましたように、昭和六十一年の地対協の意見具申を踏まえまして、それをさらに著者の考えに基づきまして具体的に展開している部分も非常に多いというふうに考えております。したがいまして、総務庁といたしましても地域改善対策を実施する上におきまして大いに参考とさしていただいている、そういう実情でございます。

○吉井英勝君 この著書の中でも「税の問題の適正化」ということが挙げられておりますね。税の問題というのは「新たな差別意識を生む要因の一つともなっている。」とか、「一般の納税者と異なった配意をすることは、決して、同和問題の解決という精神に沿ったものとは言えない。」とか、それから「脱税指南の摘発」等の問題の中でも出てまいりますが、この中でも「申告是認の適用をあてこんだ犯罪ないしはそれをまねた犯罪と言えよう。」という指摘とか、それからまた、

  特別の納税行動の背後にある昭和四三年の大阪国税局長とこの民間運動団体中央本部及び大阪の企業連との確認事項と称するものに関することである。七項目にわたるこのいわゆる確認事項は、「企業連が指導し、企業連を窓口として提出される白、青色をとわず自主申告については全面的にこれを認める。ただし内容調査の必要ある場合には企業連を通じ企業連と協力して調査にあたる。」との一項を含んでいる。国税庁は、これは確認事項ではなく、相手側がただ置いて行っただけのものと言っている。法の支配に従う法治国家日本国の国税庁としては当然の弁明である。しかし、問題は、国税庁の弁明を世論はあまり信用しておらず、この慣行の存在を前提として、それを申告是認という俗称で呼んでいることである。

と、こういう指摘までしておりますね。

 そこで、実はこの問題については昨年の決算委員会でもその当時この内容と同趣旨の答弁もあったわけですが、現在の総務庁も本件については基本的に同じお考えと、こういうふうに考えていいですか。

○説明員(瀬田公和君) 先生が御指摘の点でございますけれども、私自身、実際に七項目の確認事項という文書を見たわけでもございませんし、またそういうお話は確かに聞いておりますけれども、文書の性格についても判然としないということでございますので、それについては何とも言えないというのが現状でございます。しかし、いずれにいたしましても法律の適正な執行を通じまして、すべての納税者に対して公正な課税を行われるようにするということが原則であることはこれは間違いないことでございまして、総務庁といたしましても地対協の意見具申の趣旨に沿いまして、そういう形で指導をしていきたいというふうに考えております。

○吉井英勝君 私は持っておりますが、国税庁長官から東京国税局長あてのものとか、それからまた、いわゆる東企連の八項目の合意文書とか、これは、この種のものは以前からあなたのところへも何度もお渡ししてあって、よく見ておられるわけで、問題は総務庁としてはこのいわゆる確認事項があって、企連の申告は仮に青色、白色を問わずその申告はそのまま是認される、いわゆれ申告是認とするならば、それは地対脇意見具申の精神に反して適当でないと、この点ははっきりしているんでしょうね。

○説明員(瀬田公和君) 課税の問題でございますので、総務庁としては具体的なことはわからないわけでございますので、国税庁の方から御答弁をいただきたいと思いますが、いずれにいたしましても、私たちの原則的な立場というものは、全国民に対しまして公正な、公平な課税をしていただきたいと、こういうことでございます。

○吉井英勝君 そこで、国税庁に伺いますが、大企連の七項目確認事項と東企連のあの八項目確認事項が問題になって久しいわけですが、国税庁はその存在を認められますか。

○政府委員(日向隆君) 昭和四十三年に大阪国税局と解同中央本部及び大企連との間で、先方の取りまとめというふうに私聞いておりますけれども、七項目の確認事項があったということは私どもとしても聞いておりますが、私どもが聞いておりますところでは、これは先方が取りまとめたものでありまして、私どもとしては、先方のここで言っていることを認識し、これに対して理解をしているということであるというふうに聞いているところであります。

○吉井英勝君 その文章の三つ目に、「企業連が指導し、企業連を窓口として提出される白、青色をとわず自主申告については全面的にこれを認める。ただし内容調査の必要ある場合には企業連を通じ企業連と協力して調査にあたる。」と。で、この今内容を聞いているということとかお話しありましたけれども、その結果、どういう問題が出ているかということについては、実は昨年の六月十九日の決算委員会におきましても、これは国税庁も総務庁も、それから会計検査院も大臣も御出席のもとで出ている問題ですが、紹介されておりますが、例えばその問題が何を生み出しているかということです。

 六十一年九月二十六日に和歌山県有田郡吉備町の町議会で決議がされておりますね。「同和地区住民は、国税の減免等の適用を受けずに自立向上の努力を重ねているところであります。しかるに昨年度より、いわゆる「えせ同和団体」の活動により同和地区住民以外に減免措置が適用され、重大な問題が発生しております。」と、で、「税の明らかな不公平感を醸成し、国税当局への不信感を高めるものであります。」、そして「このような不公正な国税当局の行政措置は、町財政や国保会計に支障を生じさせております。」云々の指摘が町議会で決議されているわけですね。この問題について、会計検査院の方は昨年、「えせ同和行為の問題につきましても十分留意しながら従来検査を実施してきた」が、ただいまの御議論あるいは昨年暮れに決定されました今後の……

○委員長(村上正邦君) 時間が参ったことを御通知します。

○吉井英勝君 はい。

 検査を実施すると、努めたいという答弁がありましたが、その後、検査院が検査をされたのかどうか、この一点だけお伺いして質問終わりたいと思います。

○説明員(倉田健司君) 私ども租税関係の検査におきましては限られた人数で実施をいたしておるわけでありますが、租税の賦課徴収が法律の規定に基づいて適正に行われているかどうかという観点から主に検査を実施しているわけでございます。

 同和の関係につきましては、実際一般の検査の中で拝見をいたしておりますけれども、傾向的な問題として認識はいたしておりませんで、先生ただいま御指摘の点については集中的に検査をするというようなところまではいっておらないというのが実情でございます。

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沓脱タケ子
118回-参-決算委員会-閉03号 1990/10/09
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○国務大臣(橋本龍太郎君) 私どもは、日米安保体制というものを支持いたしておりますし、また、その効率的な運用というものを確保していく必要性というものは認識をしておる立場にございます。いずれにいたしましても、そうした問題については自主的に努力を続けていくべきものという考え方の上で、議論を続けてまいりたいと思っております。

○沓脱タケ子君 私は、地位協定二十四条に基づいて出すべきではないということを強く要望しておいて、この問題を終わりたいと思います。

 次の問題に入るわけでございますが、実は、ことしの夏随分マスコミをにぎわしました大阪国税局とにせ税理士に関する問題を取り上げたいと思うわけでございます。したがって、当然国税庁の問題を御質問するわけですけれども、長官が御出席をいただけない、こういうわけでございます。長官は当然政府委員ですし、決算委員会だってきのうやおととい決まったものではないわけです。それがどうしても出席できないなどということは、これは明らかに国会軽視と言われてもしようがないと思うのです。けしからぬと思うのですね。国税局の職員に関する問題というのは、国税庁の長官がその管理の責任をお持ちになっているはずなんですね。その昔任者が出ない、こんな国会軽視のやり方というのは私は断じて許せないと思うのです。

 委員長、ひとつはっきりしておいてもらいたいと思うのですが、いかがでしょうか。

○委員長(及川一夫君) 私、委員長に対する御質問の形をとりましたが、理事会でもこの問題が提起をされまして協議をしました結果、いずれにしても政府委員というふうに任命をされ、委員会に出席できる権限というものが与えられている以上、質問通告をし、責任者に出てもらいたい、こういう要請があったことについては、正当な理由がない限り、当然のこととして出席をするのが義務である、このことはお互い確認をいたしております。

 ただ、今沓脱先生がおっしゃられた本日の問題として考えるときに、そのような理由が正当性のあるものとして存在したかどうかという点は、質問者との間にもいろいろ話し合いがあったようでございますが、私の方で当局と話をした結果、いずれにしても今回は国際会議等の開催ということがございまして、万やむを得ないではないかというふうに判断をいたしまして、質問者である沓脱先生の御理解をちょうだいをいたしました。

 したがって、今後、今御質問になられたような疑問を持たれるようなそういう事態にならないように、政府委員の皆さんは、当局を含めて、しっかりした対応をしてもらいたいということを私の立場からも御要請申し上げますから、ぜひそのように御理解をいただきまして、質問を続けていただきたいと思います。

○沓脱タケ子君 時間をとられるのももったいないので、その問題はこれは委員長にお任せをすることにいたします。

 では、ことしの夏マスコミを大変にぎわわせました大阪国税局とにせ税理士、大西省二氏というんですが、そのことに関する問題で御質問をしたいと思っております。

 ことしの七月八日の朝日新聞の社説ではこう書いてあります。「これでは納税意欲がなくなる」という見出しです。その中は、「大阪地検特捜部が摘発したニセ税理士と多数の大阪国税局職員の癒着のひどさは、目を覆うものがある。多数の税務署員が脱税に加担した、といわれても仕方がない事件だ。 税理士の資格のない男が、二年間に約百人の顧客に脱税指南をして、ざっと十数億円の報酬を得ていた。その中から多額の資金が税務署員にばらまかれ、とくに付き合いが深かった幹部職員二人は二千万円にのぼる「顧問料」を受け取っていたとされる。このほか総計一億円近くが、約百人もの職員の接待につぎ込まれていたという。」「税務職員の多くは男が税理士資格を持たないと知りながら、申告や税務調査に顔をきかしていたのを黙認していたという。なぜ告発などの措置を取らなかったのか。「チェック態勢が甘かった」ではすまされない。」、こういうふうに述べられておるわけでございます。

 国税当局は、この事件に関して懲戒免職二名を含む五十八名の処分をしたようであります。しかし、見出しのとおり、こんな不正がまかり通るということであれば、国民はまじめに税金を納める気がしなくなります。ばからしくなる。絶対にこういうことを繰り返してはならないと思うわけです。

 そこでお聞きをしたいと思いますが、このにせ税理士というのが顔をきかせた申告事案、五十四件だと聞いておりますが、この事案については洗い直しなり再調査なりをするのでしょうか。するのでしょうね。

○説明員(福井博夫君) 最初に当たりまして、ただいま御指摘の大阪の事件につきまして、国税当局といたしましては課税の適正、公平を期し、税務行政に対する国民の信頼を確保するため、従来から綱紀の保持に努力をしてきたところでございますが、今回、このような処分者を出したことはまことに遺憾と思っております。今後、国民の税務行政に対する信頼を確保し、二度とこのような事態が生じないよう万全の対策を講じてまいりたいというふうに考えておる次第でございます。

 ところで、ただいま御指摘の申告書の調査、再点検というような問題でございます。この点につきましてお答えをさせていただきます。

 国税当局といたしましては、常々、あらゆる機会を通じまして課税上有効な資料の収集に努めておるところでございます。また、これらの資料等、納税者から提出されました申告と総合検討いたしまして、その結果、課税上問題があると認められる場合には調査を行うということによりまして適正な課税に努めておるということで仕事を進めてまいっておるところでございます。

 ただいま御指摘の、何件かの申告書につきましてただいま御指摘がございました。私どもといたしましても、今回このような事件が明らかになったわけでございます。それにつきまして種々新聞報道もございました。それから、ただいま御指摘がありましたように、現実にこういう疑いのある人が関与した申告書もあるというようなことが出てまいりました。したがいまして私どもといたしましては、ただいま申しましたように、一般的な基本方針のもとにおきまして、このような事態、このような報道をされたこと、このような申告書が指摘されたことというのは一つの有効な資料情報であるというふうに考えておりますので、さらにこういったことにつきまして、課税上有効な資料情報を収集を行うというようなことをいたしまして適正な課税処理をするよう努めてまいりたい、こういうふうに考えているところでございます。

○沓脱タケ子君 ようけ言うてくれたんだけれども、有効な資料情報を用いて、これ、再調査なり洗い直しなりをするのですか、せぬのですか。それがはっきりせぬですな。

○説明員(福井博夫君) 例えば、起訴状なんかを見ますと具体的な申告書の名前が出ておるわけでございます。こういったことにつきまして、ここでするしないということを具体的に申し上げる立場にはないわけでございますけれども、ただいま申しましたように、今回このような報道がされたり、あるいは申告書が出ておるという事実があるという指摘があったわけでございますので、それを勘案いたしまして、総合的に点検して適正な処理をいたすということでございます。

○沓脱タケ子君 それじゃ、再調査をして洗い直しをするということだという理解をしてよろしいか。そこも非常に上手な言い回しをしているのでようわからぬ。

○説明員(福井博夫君) 私どもから個別のはっきり名前が出ているようなことにつきまして、調査をする、あるいはしないということを明言できにくい立場にあることをひとつ御理解をいただきたいと思いますけれども、今申しましたように、資料を集めまして、そういったことを勘案いたしまして適正な課税処理をする考えであるということでぜひ御理解をいただきたいというふうに考えております。

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○沓脱タケ子君 もう非常にわかりにくいな。官庁用語というのは難儀やね。

 これ、大体にせ税理士だということで刑事罰決まっているんですよ。その人が顔をきかして脱税指南をやって、十億円以上も二年ほどの間に稼いで、その金で一億円ほどばらまいて、税務署の職員がいろいろ飲み食いやったりゴルフへ招待されたり、あるいは一千万も二千万も金をもらったりしているんです。それにその人が出したものを、明らかに脱税指南したということをわかっている。それを再調査しないというようなことでは、これは国民からいったら大甘だと言われるのは当たり前ですよ。大阪の納税者みんな怒っていますよ。はっきりしなさい。

○説明員(福井博夫君) ちょっとその再調査するという言葉は、おしかりを受けているわけですけれども、使いにくいわけでございますが、ぜひ私どもの意のあるところをお酌み取りいただきたいと思いますけれども、結論としまして、適正な課税処理をする考えであるということでございます。

○沓脱タケ子君 それはもう厳正にやっていただきたい。

 綱紀粛正の通達をお出しになりましたね。これは拝見いたしましたら国税庁長官名ですよ。長官が来ていたらちょっと聞こうと思っていたんですが、来てないからこれはやめておきます。やめておきますけれども、それがこんな紙切れ一枚で果たして十分か。再発の可能性はないのか。これは文書による綱紀粛正のかけ声だけでは不十分だというふうに私は思う。こういう癒着が起こる構造にメスを入れなかったら根絶できない。

 そこで、時間がないのでたくさん聞けませんので、きょうは二、三点聞きたいと思っております。

 一つは、このメスを入れるというのはどこへメスを入れなきゃいかぬかということですが、一つは、やはり税務署の天下りのOB税理士、この人たちとの癒着の問題です。署長や副署長クラスのOB税理士に、税務署を挙げて顧問企業をあっせんするという、こういうやり方ですね。こういうやり方がずっと一貫して続いている。これが企業と税務署の癒着を生み脱税につながるというケースになっているんですね。先輩が後輩に顔をきかす、結局税金の値切りにつながるということになっているわけです。幹部職員のOB税理士への組織ぐるみの顧問先あっせんというのはやめるべきだと思うんですね。まず、この点についてどうですか。

○説明員(福井博夫君) この顧問先のあっせんという問題でございます。これにつきましては、過去にも国会等におきましていろいろ御議論をいただいたということは私どもは承知をいたしておるところでございます。

 しかし、現状につきまして最初に御調明をさせていただきたいというふうに思いますけれども、やはり国税局の組織を維持、運営していく場合におきまして、何といいましても人事の刷新でありますとか行政能率の維持向上を図っていくということを考えますと、やはり幹部職員を中心といたしまして、それぞれ個々の事情に応じるわけでございますが、やはり御勇退を願うといいますか退職勧奨といったことを行っていかざるを得ないというのが実は現状でございまして、そういったことによりましてできるだけの人事の刷新を図っていくということを実現していきたいというような状況になっておるわけでございます。
 その場合に、退職される職員につきまして、私ども組織を運営している立場からまいりますと、やはり退職後の生活の安定といったことにつきましてもどうしても配慮していかざるを得ないというようなこともございますので、個々の事情に応じましてただいま御指摘のございましたような顧問先のあっせんというようなことを行っておるという次第でございます。

 ただ、そういうこともございますけれども、先ほど申しましたように、この点につきましてはさきにいろいろ御議論いただいたというような経緯もございますので、私どもといたしましてはこれを実施するに当たりましては十分慎重に行う、国家公務員法あるいは税理士法上の法律上の違反というようなことを避けること、これはもうもちろんでございますけれども、それ以外にもある意味での一定のスキームといったようなものをつくりまして、そのスキームの中で弊害をもたらさないような形で、すなわち税務行政に対する納税者の信頼を損なうことのないよう、また、職務の公正な執行に疑惑を持たれることのないよう、そういったことに十分配意いたしながらこのような顧問先のあっせんといったものを行っておるというふうに考えておる次第でございます。

○沓脱タケ子君 退職職員全部じゃないですね、署長だとか副署長クラス、税務署の高級職員ですね。それで、顧問先あっせんはやめないと。

 時間がないので次に行きますが、このマフラー、これは何でこんなものを持ち出したかといいますと、大阪国税局管内にある東淀川税務署のある幹部が、これは名前も皆わかっていますが本人の名誉のために名前を伏せますが、自宅を新築した際に、新築祝いとして知人に配ったものです、これ。請求書の写しも皆さんに配っているでしょう。一枚二千五百円、百枚二十五万円の請求書。ところがこの金を払ったのは実は本人ではなくて東淀川署の管内にある税理士さんが払っている。この幹部は、同じ税理士事務所の海外旅行、香港へ行ったらしいんですが、これに奥さんなどと招待されているんですね。これも実は写真もあるし請求書も手元にあるんです。本人の名誉のために名前は、これ配りませんけれども、これに写真も入っておるんです。現在この人は奈良県のある税務署の署長です。また、同じ署のほかの幹部がクラブなどで盛んに飲んで、それでやっぱり今の同じ税理士事務所にそのツケを回さしている。これもお手元へ配っている資料にコピーが出ておりますね。なぜ税理士事務所がこんなに税務署の幹部に投資をするか。それは、この税理士さんというのはOB税理士じゃないんです。だから、得意先の企業をあっせんしてもらうために盛んにサービスをしているんですね。

 今申し上げたようなケースというのは、表に出たごく一端だと思いますけれども、しかし考えてみたら、税務署の幹部というのは日常的にこんなに甘い汁を吸ってよいのか、こんなこと当たり前でしょうか。いかがですか。

○説明員(福井博夫君) ただいまの御指摘いただきました具体的な点につきましては、ちょっと私ども十分承知をいたしておらないわけでございますけれども、一般的に申しまして、税務職員たる者が、どのような理由かわかりませんけれども、そういった税理士、これはOBである、OBでないということにかかわりなく税務の関係者ということになるわけでございますけれども、そういった方と外部から批判を招くような行為があったということであれば、これはまことにゆゆしき問題であるというふうに考えておる次第でございます。

 そういったことも含めまして、先ほどちょっと通達の話が出ましたけれども、その通達の中でも「税務職員として、いやしくも外部から批判を招かないよう常に公私の区別を明らかにし、」、それから、「部外者との会食等は厳にこれを慎むこと。」ということを改めて指示をいたしたところでございます。

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○沓脱タケ子君 そういう例をもう一つ御紹介しましょう。

 こういう甘い汁というのは、現役のときから退職後も続くんですね。毎日新聞を皆さんにお配りしておりますが、この毎日新聞には、「税務署元幹部に五十万円」、「ボクシング世界チャンピオンの顧問税理士から」、「在職当時、税務調査を担当」という記事が出ております。

 時間がないから詳しくお読みをするわけにいきませんが、この人は、退職の十一日前にこのボクシングのチャンピオンの申告を調査をして是認しているんです。「元プロボクサーの経理を担当していた父親によると、「税務調査の前、B税理士から「今度(調査に)来る調査官はもうすぐ退職する。顧問料として金を出してくれ」と言われ、息子の税務調査でいやがらせをされるとたまらないと思い、三十万円を下らない現金をB税理士に渡した」」、こういうわけ。その後、この元幹部の方は六十年七月十日に退職をされた。それで何と、六十年十月に税理士を開業してから月二万円ずつ二年間振り込んでもらった。そのことは本人も認めている。こういう状況なんですね。

 この顧問税理士というのはだれかといったら、さっきのマフラー代を払ったり、飲み食いの支払いをした税理士。この新聞に書いてある税務署の元幹部というのは、この税理士からやたらに飲み食いの接待を受けた一人なんですね。こんなことがはっきりしてきたら、税務行政というのは一体何のためにやっているんやということになるんですね。

 これは特異なケースかもしれませんけれども、我が党に最近実は投書が来ております。これやっぱり税理士の方から来ているんですが、にせ税理士事件が連日新聞紙上に掲載され、接待づけによる汚職がクローズアップされている。こんなことは頭を下げるだけで解決される問題ではありません。最近特に目に余るのが元税務署長、国税局幹部出身の税務会計士である。一般受験資格獲得税理士の国税局幹部とのコネのないのをあざ笑うかのように、自分は国税局の幹部や署長と知り合いも多く顔がきくことを材料にして云々ということが寄せられておるわけでございます。

 私は、実は昭和五十三年の七月五日の本院の本委員会で、国税局幹部のOBが退職前後から顧問先をあっせんするという、こういう悪弊の問題を取り上げました。だから何とかこれはやめるべきだということを強く要請をしたんですが、実態は一向に改善をされていないですね。そのときにも実はお出しになっておられますよ、「退職職員の税理士開業のあり方等について」というて、国税庁長官名で出ておる。きょうは長官来てないですね。

 だから、この問題にメスを入れなかったら、徴税の公平感なんというのは国民の中に確保されない、だから抜本的に改める必要があると思います。いかがですか。簡単に。

○説明員(福井博夫君) 私どもも、ただいま御指摘いただきましたように、五十三年七月ごろにこのことにつきまして御議論があり、また注意も受けたということを重々承知をいたしております。しかし、この顧問のあっせんということにつきましては、一定のフレームの中で人事の刷新というために続けざるを得ないという状況でございますので、先ほどから申し上げておりますように、これが疑惑を招くことがないよう、先ほど御指摘いただいた、注意を受けた以降、私ども一つのフレームをつくりまして、そのフレームの中に留意事項を設けながらこれを実施しているところでございますので、そういった形の中で疑惑を招かないように重々留意をしてまいりたいというふうに考えておるところでございます。

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○沓脱タケ子君 時間がありませんのでね。

 もう一つ、やはりこういうルーツをたどっていくと、一番大きな問題というのは、やはり同和関係団体との癒着の問題だと思うんですね。にせ税理士の業務を行った大西省二という人は、二年前まで部溶解放同盟系の大阪府中小企業連合会の税対部長なんです。このときに培った経験と顔を利用して脱税の請負業を始めたと言われているんですね。ですから、本事件のルーツはやっぱり国会でもしばしば問題として挙げられました、大阪府民の間ではもう常識になっておりますが、部落解放同盟と大阪国税局との癒着、部落解放同盟関係税務を特別扱いするというこの構造にある。この構造を是正しない限り腐敗事件や脱税事件は根絶できないと思うんですね。

 多くを申し上げたいんですがなかなか時間がありませんので、そこで私は、こういう点での刑事事件になったものだけをちょっと取り上げてみたいと思うんですね。京都の地方裁判所で八五年十一月二十一日の判決、これは相続税法違反で二十九億円の脱税事件ですね。これも判決ではっきりしておるんですが、判決文の中で、税務当局の弱腰がでたらめな申告でも調査なしに通してしまうと被告らに認識をさせた、これにより、被告らが私利私欲に走ったことの責任の一端は税務当局にもある、常に断固たる態度で臨んでいればこの種の犯罪はなかったということが言われています。

 もう少し詳しく申し上げたら御理解いただきやすいんですが、もう一つは、大規模な法人税、物品税の脱税事件、いわゆる大阪のパチスロ事件、これも平成元年七月六日、大阪地裁の判決が既に出ております。これは判決書なんです。これを見て驚きましたけれども、こう書いてあります。「量刑の理由」として、「本件各犯行は、部落解放大阪府企業連合会の会員で、大阪府中小企業連合会南事務所長の肩書をも有していた被告人中谷が、」「東京パブコ及びその関連会社の法人税や物品税の申告に際し、大企連の組織と勢威を利用して虚偽過少申告の発覚、摘発を免れさせることにより多額の報酬を得ようと企て、」「中企連南事務所嘱託の肩書で税務指導等を担当していた被告人末村とそれぞれ共謀の上、被告人中谷については合計三七億一〇〇〇万円余り、被告人末村については合計一五億一〇〇〇万円余りの各法人税及び物品税をほ脱したもので、」と、これは脱税なんです、裁判用語なんです。「そのほ脱率も、法人税については九九パーセント余り、物品税についても九八パーセント余りに達するという、稀に見る巨額かつ高率のほ脱事犯である。」、脱税事犯であるということが明確にされています。「同和団体等の活動の本来の趣旨、目的を逸脱して常習的に犯行を繰り返し、もって、善良な納税者の心情と申告納税制度に対する信頼を害し、広く同和団体との間における徴税上の不公平感を助長することとなった点も合わせ考慮すると、」というふうに言われておりますように、脱税率九九%、九八%、いかに考えてもひどいですね。申告額というのは百分の一。何でこんなむちゃくちゃなことがまかり通るか。これは判決書でもはっきり書いておりますけれども、やっぱり大阪国税局とそして大企連、中企連との間のいわゆる七項目確認というのが生きているということを示していると思うんですね。

 これはもういろいろ申し上げましても、なかなかこの問題についてはお認めにならないであろうと思いますけれども、時間がありませんから、こういう問題がまかり通っているというのは、これは一般の納税者に対しては大変大きな税務署あるいは税務行政に対する不信、不満を広げているんですね。そこで私はこういう事態が起こっておるということを指摘したのは、脱税事件だとかあるいは国税局の職員との癒着だとかいう、こういうところにメスを入れるためには、やっぱりこういうところの根を断たない限りきっぱりしたものにはならないという点でこの問題は考えなきゃならない時期に来ているんじゃないかということを申し上げたいんです。

 大蔵大臣も岡山ですから、同和問題で御認識はおありだと思いますよね。先ほど私、刑事事件になった事例を示しましたけれども、こんなものは本当に氷山の一角、突出したケースですよね。部落解放同盟と大阪国税局の癒着とかあるいは解同の特別扱いというのはしばしば国会でも問題になっているんです。
 私はこの際、もう時間ですから、大臣に申し上げておきたいと思いますことは、六十一年に地域改善対策協議会から総理や関係大臣に提出された意見具申というものが出ているのは御承知だと思いますが、これにこういうふうに書かれている。「同和関係者を過度に優遇するような施策の実施は、むしろ同和関係者の自立、向上を阻害する面を持っているとともに、国民に不公平感を招来している。」、「今日的課題を達成するための方策」の中で、「行政機関は、その基本姿勢として、常に主体性を保持し、き然として地域改善対策等の適正な執行を行わなければならない。そのためには、行政機関は、今日、改めて民間運動団体との関係について見直すことが必要である。」ということが具体的に指摘をされているわけでございます。

 当局は、私、七項目確認というものを説明する余裕がなかったのですけれども、国税庁と同和団体との七項目の確認というのは、これは幾ら言うても否定なさるんですね。今までもそういうふうに否定をしてこられました。それは当たり前なんですね。特別扱いをしています、申告は全部フリーパスです、こんなこと国税庁が言うたらえらいことになりますからね。言わない。しかし、幾ら言わなくても、否定をしてもだめなんです。ちゃんと相手方はこういうものをかち取ったということを――皆さんの方に資料を差し上げておりますけれども、昭和四十三年のときにはこの七項目確認をした。さらに六九年には新たに新七項目確認をかち取ったということを明らかに堂々と大会で報告をしているわけでございます。

 ですから、このにせ税理士事件も含めていろいろと出てくる事件というのは、客観的には七項目確認が存在をして、それが生き続けているというところにルーツがあるわけなんですね。

 はしょりましたから、大臣、わかりにくかったかと思いますけれども、話の趣旨は御理解をいただけたのではないかと思います。

 そこで、今日の状況になりましたらやっぱり一定の是正をするべきときではないかと思いますが、その点について大臣の御見解を伺っておきたいと思います。

○国務大臣(橋本龍太郎君) 税務行政の目的というものがすべての納税者に対して税法を適正に執行し課税の公平を図ることにあることは申し上げるまでもありません。したがって、同和団体に対する税の問題につきましても、納税者の信頼を得られるよう適正公平の課税の実現に努力をしておるところでありますし、今後ともさらに努力してまいりたいと思います。

○沓脱タケ子君 それじゃ、時間ですので終わります。

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