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日本共産党議員の「同和脱税」追及国会議事録(4)
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[出典]
以下のデータは、国会会議録のホームページより検索・抜粋したものです。






佐藤昭夫
108回-参-決算委員会-閉05号 1987/06/19
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○佐藤昭夫君 大臣にマル優の問題で少しお尋ねをしたい点がありますけれども、それは最後に回しまして、まず税務行政の問題でお尋ねをいたします。とりわけ同和税務行政の問題です。

 大臣、言うまでもなく税務行政にはいささかの不公正な扱いがあってもなりません。特定の団体に加入する法人や個人について税金を特別に減免したりするような不平等な扱いがあってはならぬ、仮にこのような特権扱いがまかり通れば国民はまじめに納税をする気がなくなると、こういうことですね。

○国務大臣(宮澤喜一君) そのとおりと思います。

○佐藤昭夫君 我が党は国会でしばしばいわゆる税の同和減免の不法性を指摘をしてまいりました。

 この問題の出発は、四十三年の大阪国税局長と解同中央本部及び大企連との確認事項というあの七項目合意でありますけれども、この問題を昨年の当委員会でも私は取り上げてきているわけでありますけれども、この部落解放同盟やその傘下の企業連合、これについて特別に有利に取り扱うとしたいわゆる七項目合意、国税当局は今日まで話し合いはあったが合意はしていないと、こう言ってきたんですが、しかしその後の事態の推移は確認事項どおりにむしろ一層エスカレートしてきているという姿かと思います。すなわち、甘い汁の分け前を求めて解同との確認事項を我々にも適用せよと全日本国和会が割り込んできて、そのきわみがあの全日本国和会の組織的な相続税大脱税事件に発展をしました。

 この同和甘やかしの税務姿勢、裁判所も特に指摘したところでありますが、私は昨年の四月二十四日の参議院の補助金特別委員会あるいは八月二十二日の参議院の決算委員会、これらの委員会で同和減免の内部通達、二つの例を示しましてその存否の調査を求めてきたわけでありますけれども、大蔵省として調査をするということでありましたが、この調査の結果はどうですか。

○説明員(冨尾一郎君) 委員が六十一年四月二十四日の参議院補助金特別委員会及び六十一年八月二十二日の参議院決算委員会におきまして御指摘のあった文書につきましては、いずれも大阪国税局の内部文書という御指摘でございましたので、大阪国税局に指示をいたしまして調査をいたさせましたが、いずれも大阪国税局が作成したものかどうか確認ができなかったという実情でございます。

○佐藤昭夫君 国税庁本庁としては事実を調べられましたか、大阪国税局任せでなく。

(26/35) 次の分割内容へ

○説明員(冨尾一郎君) 私どもとしては、大阪国税局が出したと先生御指摘でございますので、大阪国税局に指示してやった結果、ただいま申し上げたとおりでございまして、大阪国税局としては万全の調査をしたものと、このように確信をしております。

○佐藤昭夫君 端的にお尋ねしますが、大阪国税局は部落解放同盟や大企連、中企連、全日本国和会、こういうところに特別の優遇税制、結果としての減免、こういうものを絶対にやってこなかったと言い切れますか。

○説明員(冨尾一郎君) 私どもは、税務行政の目的はすべての納税者に対しまして税法を適正に執行し課税の公正を図ることにある、このように考えております。この基本姿勢に立って国税当局といたしましては従来から適正公平な課税に努めているところでございまして、納税者が特定の団体に所属しているかどうかなどによって特別な扱いをすることはない、このように考えております。

○佐藤昭夫君 特別扱いをするはずがないということと、あったのかなかったのか、ここを私は区別して聞いている。

○説明員(冨尾一郎君) 私どもとしてはそのような扱いをしていない、このように考えております。

○佐藤昭夫君 具体的にお聞きをします。
 税は個人と税務署の間で処理をするものでありまして、ある団体が一括して申告をする、特にこの更正決定を団体に通じて行うなどということは違法ですね。

○説明員(冨尾一郎君) 申告につきまして私どもが調査等を行った上で更正決定をする場合には、法律の上で決まっておることは、納税者の住所または居所に送達をして行う、そのように定められておりまして、団体等を経由して更正決定を行うということはないというふうに私どもは考えております。

○佐藤昭夫君 法人税は五年たてば時効になるということであります。ところが、初めから督促保留期限、これを時効後に設定する、こういうことは事実上の税金免除になるわけでありまして、こういうことをやれば違法ですね。

○説明員(冨尾一郎君) 租税債権の消滅時効は五年でございます。私どもとしては、この範囲内で適正に納付をしていただくように手続をすべきものと、このように考えております。

○佐藤昭夫君 だから、私が今挙げた例でいけば、それは違法だということですね。

○説明員(冨尾一郎君) 私どもとしては、すべての債権につきまして適正に管理をし、期限が来ればそれを督促していくというルールのもとに仕事をしている、このように考えております。

○佐藤昭夫君 だから、違法ですね。

 延滞税の取り扱いについて聞きます。

 修正申告、更正決定、こういう場合、原則として法定納期限後は一年間は七・三%の延滞税がつく。それから、法定納期限後の申告及び決定の場合は、法定納期限後以降延滞税がつく。これが普通でありますが、この延滞税を一律に免除してしまうということになれば違法ですね。

○説明員(冨尾一郎君) 延滞税は、国税が法定納期限までに納付されないときにその国税の法定納期限の翌日から完納するまでの期間につきまして一定割合で課されるものでございます。税率は基本的には一四・六%でございますが、納期限後二カ月を経過するまでの期間はその半分の年七・三%でございます。

 なお、納税の猶予、滞納処分の停止等、一定の場合には軽減免除されるという規定になっております。

○佐藤昭夫君 今三つほどの例をもとにして税法の仕組みについて確認をしたわけでありますけれども、大企連、中企連などには今私が挙げたようなこういう三つの例に示されるような法違反の特別扱い、絶対にしていませんか。

○説明員(冨尾一郎君) 延滞税の軽減等の手続につきましては先ほど申し上げた法律の要件に従って行われている、このように私考えております。

○佐藤昭夫君 それでは、委員長、資料の配付お願いをいたします。

   〔資料配付〕

○佐藤昭夫君 ただいま配付をいたしました最初の方の三枚、これが大阪国税局の昭和五十一年四月六日付の内部通達であります。そこの特にアンダーラインをつけておりますところに注意を向けていただきたいと思うんです。

 第一、表題自体が「企連加入者に対する更正(決定)」云々という、こういう表題。次の「処理対象」、すなわちこの通達の適用対象ですね。「更正(決定)通知書を企連事務局経由で送達したものを対象とする。」、右の方へ行きまして督促保留期限七十年十二月三十一日、すなわち、通達が五十一年四月六日ですから、五年をはるかに超えているわけですね。そこまで督促を保留するというわけです。だから、これはもう結果として免除。そして、下のところにも「年月日企連事務局へ送付」ということで企連を通して作業が進む。

 二枚目一番上で、督促状は一人別に封入して切手を張るが、封筒は開封のままだと。

 あと、以下いろいろあります。

 三枚目、延滞税の取り扱いを図表で示しているわけです。ですから、修正申告の更正の場合、その最初の一年は七・三%の延滞税を取るというこれが誤指導ということで、誤った指導をしたということで免除。あと除算期間免除だから免除。期限後申告決定の場合、これもずっと誤指導ということで免除。結局、全部免除になる。

   〔理事梶原敬義君退席、委員長着席〕

 こういうまさに私が、この場合どうですか、この場合どうですかということで三つ確かめた内容がそっくり通達という形でこの企連と称する同和を名のるその団体に対して特別扱いがやられている。こういう通達、まさにこれは重大な内容じゃありませんか。これでも断じてそんなことはやっていないというふうに言い張るんですか、国税庁。

○説明員(冨尾一郎君) ただいま委員の方から配付を受けましたこの三枚のコピーでございますが、本日、私、初めて拝見をするものであります。どういう内容のものかにつきましては私この段階では何も申し上げられませんので、私どもとしてはこれが一体どういう性格のものかということにつきましてはちょっとお答えを差し控えさせていただきたいと思います。

○佐藤昭夫君 昨年四月と八月、二回にわたって具体的な通達を示して見解をただしたときにも、性格がはっきりしないから何とも答えられませんということで逃げてきた。今もまた同じような逃げ方をしようとする。しかし、それはもう通るものじゃありません。

 これらの同和を名のる団体のそういう国民に隠れてのこの脱税、このなれ合いがどういうふうに進行しておったかということについてはもう大臣もよく御存じのはずでありますけれども、総務庁のもとで地域改善対策協議会の基本問題検討部会、あそこが具体的にそういう不公正な取り扱いがやられているということをあの中にも記述をしていること、大臣よく御存じですね。関係省庁連絡会議をつくられて今いろんな取り組みがやられているんですから、国の機関としてもあってはならぬことだというふうに言ってきているこの問題、ここまで来ておって、なおかつ内部文書というか大阪国税局の問題だから、しかと知りませんということで、しらを切るつもりですか。次長、どうですか。

○説明員(冨尾一郎君) 先ほど申し上げましたように、この文書の性格について私どもとしてはこの際初めて拝見をしたものでございます。しかとしたことは申し上げられませんので、その点御理解賜りたいと思います。

○佐藤昭夫君 しからば、今の地対協の報告の関係で総務庁に聞きます。

 今挙げました昨年八月の地対協基本問題検討部会報告書、これの二十一ページにこういうふうに書いていますね。「単に個人給付的施策ばかりでなく、一部にみられる特別な納税行動や税の減免制度」、これこれこういう実態があることは問題であると、こう書いてあります。この表現は国税を含めてそういう状況があるという表現ですか。

○説明員(熊代昭彦君) 「一部にみられる特別な納税行動」は国税に関する問題点の御指摘でございます。それから「税の減免制度」は地方税に関する問題点の御指摘であるというふうに理解しております。

○佐藤昭夫君 なぜそういうふうにわざわざ区分けをするのか。納税行動が異常だったらということは、申告が異常だったらということですね。そうしたら、税の結果にも異常な姿が出てくるというのは不即不離の関係のはずなんですよ。
 なお重ねて聞きますけれども、国税についても結果として税の減免が行われているという、そういう事例があるということを知っていますか。御存じのはずですね。

(27/35) 次の分割内容へ

○説明員(熊代昭彦君) 税の問題につきましては国税庁さん御専門でございますので国税庁さんにお答え願いたいと思いますけれども、同和関係につきまして国税において減免制度があるということはございません。

○佐藤昭夫君 私も注意して言葉を使ったんですから、すりかえないでください。国税について減免制度があるかということを今は聞いたのじゃない。結果として国税の減免がやられている事例はあるのじゃないですかと聞いている。

○説明員(熊代昭彦君) 先生御質問の趣旨は、例えば税の申告がございまして、過少申告がそのまま認められれば結果として税が減免されたというふうな御趣旨で御質問かと思いますけれども、そのようなものを税の減免というふうに呼ぶかどうかでございまして、これは過少申告が、仮にでございますが、そのまま認められれば、それは少なく税を払ったということになろうかと思います。

○佐藤昭夫君 そんなにぐるぐる回って、回りくどい言い方をしなくても、はっきりしているんですよ。今お配りをしました資料の後半部分、四ページ目からをごらんください。

 六十一年九月二十六日付の吉備町議会の意見書に添付をされている資料、その関係がつづってあります。この意見書をごらんください。明らかに表題は「国税にかかる同和減免行政の適正化に関する意見書」、国税に関する同和減免がやられている、この問題をもっと正してもらいたいという意見書ですね。だから、もう事柄ははっきりしている。この末尾にも書いていますように、地方自治体が地方自治法九十九条第二項の規定に基づいて出してきている正式の意見書ですよ。だから、これはもう紛れもない。吉備町というのは和歌山の有田郡の吉備町ですよ。ここからこういう意見書が出てきているということは総務庁御存じですね。

○説明員(熊代昭彦君) 承知しております。

○佐藤昭夫君 国税庁も御存知ですね。

○説明員(冨尾一郎君) 吉備町から先生御指摘の意見書が出ていることは承知をしております。

○佐藤昭夫君 国税についてどういう点を改善をしてもらいたいという内容ですか、次長。

○説明員(冨尾一郎君) もうここに吉備町からの意見書の写しが配付をされておりますので、この内容につきまして私の方からいろいろコメントすることは差し控えさせていただきたいと思いますが、私どもとしては、税務行政はすべての納税者に対して適正公平に執行されねばならないことは当然でございまして、この基本姿勢に従いまして適正公平な課税に努めておるところでございます。

 意見書には特定の住民に対して国税の減免措置が行われているかのような表現がございますけれども、私どもとしてはそのようなことはあり得ないと考えております。一般的に税務行政は、各種の資料、情報等から見て申告に問題があると認められるものにつきましては課税上適正な処理がされていると、このように考えております。

○佐藤昭夫君 なおそういうふうに詭弁を続けようというのですけれども、その意見書、アンダーラインのところをもう一遍注意を向けてください、皆さん。

 一ページ目の左側の下の方です。「しかるに昨年度より、いわゆる「えせ同和団体」の活動により同和地区住民以外に減免措置が適用され、重大な問題が発生しております。」、下の方へ行って「このような不公正な国税当局の行政措置は、町財政や国保会計に支障を生じさせております。」、その一番最後のページ、そこに「意見書提出の経過報告について」というのがありますね。そこの終わりの方、第二項「今までの取組み」というそこの下の方です。こういう減免措置は、総務庁などは減免というのは地方税だけだというような言い方をしたですけれども、現にここでは「特に国税の申告者のみが受けている」と、この減免、ここまで書いてあるんです。そして、執行部も税務署に対して申し入れをしたが受け付けない。町議会が地方自治法に基づいてここまで書いて持ってくるというのはよくよくですよ。

 だから、これの最後から二枚目、表が出ているでしょう。表をごらんください。「国税申告による比較表」というのがあります。大臣もようごらんください。これ見ますと、まず上の表、国税の納税義務者の八八%がある団体に加入している地区、それから一番下が未加入地区、こう比較しますと、一般的には未加入のところは国税もふえている、七四%、対前年。町県民税五〇%ふえておる、ところが、ある団体に加入をしているところになると、国税は六一%に減っている。町県民税二九%減っている。もう数字が歴然としているじゃないですか。あるいは下の「譲渡所得に対する必要経費率」、ある団体を通じて申告した場合は、短期も長期もそれ以外の者と比較した場合に大きな差がある。短期に至っては一〇〇%の経費率である。これは何も私が勝手につくった表しゃなくて、町議会の意見書に添付されている町議会の資料ですよ、

 大臣、これごらんになって、当然こんなことはあり得ることだと思われますか。あってはならぬ数字が出ているでしょう。大臣、どうですか。

○国務大臣(宮澤喜一君) どういう資料でありますか、はっきりしませんので……

○佐藤昭夫君 大蔵大臣あてにも出たんでしょう、この意見書は、

○国務大臣(宮澤喜一君) 特にコメントはございません。

○佐藤昭夫君 そんな無責任なこと言いなさるな。この意見書は総務庁にも国税庁にも大蔵省にも出ているんです。大臣、見たこともないですか。この意見書見たこともないとすれば、大蔵省の中でだれか見せなかった者がおるのかと要らぬことも言わざるを得なくなる。見たこともないですか。

○国務大臣(宮澤喜一君) 今初めて拝見をしております。

○佐藤昭夫君 そうですか。

 この報告書を実際に裏づける実例があるんです。この吉備町を所管する税務署として湯浅税務署というのがあるんです。吉備町も含めて所管をしておる税務署ですね。そこの目の前の土地を九千三百七十万円である人が売却をした。本来、国税、地方税合わせて約二千五百万円以上課税をされるはずだ、譲渡所得。ところが、今の経費一〇〇%で税金はゼロになっている事例がある。もう一人の事例、七千六百六十万円で売却をした。これも経費一〇〇%で税金はゼロだということで、私はここにその実例の報告書も持っています。こういうケース、御存じのはずでしょう。

○説明員(冨尾一郎君) お尋ねの件につきましてはいわゆる個別の案件でございますので、内容に立ち入った答弁は差し控えさしていただきたいと思いますが、一般論として申し上げますと、私どもとしては日ごろからいろんな外部からの情報を含めましていろんな資料を集め、課税上問題があると認められるものにつきましては税務調査を行うなどいたしまして適正な課税に努めているところでございます。

 先ほどから一定の地域の納税者についていろいろと御質問でございますが、私どもとしては先ほどから申し上げましたような観点に立ちまして適正に対処しているところでございます。

○佐藤昭夫君 適正に対処をしていると幾ら繰り返しても、大臣、ここまで町議会が意見書を出してきているんですよ、数字も挙げて。こんなもの知っちゃいない、あるはずないということだけで言い通せますか。当然、大臣あてにも出たものだから、一遍内容はよく調べてみようと、せめてそんなことぐらいの発言があってしかるべきでしょう。今これだけ税の問題が国民的関心を持たれている時期に、見たこともないということで国会をすり抜けようという態度は何ですか。大臣、答えてください。大臣に聞いている。大臣、答弁拒否ですか。

○国務大臣(宮澤喜一君) 今初めて拝見しましたので、そのコメントをせよとおっしゃっても、どうもこれコメントのしようがございません。

○佐藤昭夫君 何回も言ってますように、大企連とか中企連とか、そういう企連に対しての特別扱いはあってはならぬわけですね。もう一遍確かめます。

○説明員(冨尾一郎君) 税務を行うに当たりまして、すべての納税者に対しまして適正公平に課税をしていくことは、これはもう税務の大原則でございます。

 なお、先ほど吉備町の件につきまして私どもとしてもいろいろやっていく際に、町議会からこのような意見書が出てまいりましたことは当然念頭に置きまして、それを踏まえた上でいろんな処置をとり、適切に対処しているということは御理解いただきたいと思います。

(28/35) 次の分割内容へ

○佐藤昭夫君 それなら聞きましょう。

 この吉備町の意見書の内容は認めがたいものだと、こう言うのですが、それなら、吉備町の方がこの内容は間違っていましたということで訂正しましたか、町議会として、

○説明員(冨尾一郎君) 私ども、その後町議会の方から格別の御意見等は承っておりませんが、こういうような御意見が出た以上、私どもとしても税務の立場から内部的にチェックをいたしまして問題があると認められるケースにつきましては、私どもの判断として適正な課税を実現するために、必要に応じ調査等を行って適正な税負担をしていただくということは当然のことだというふうに思っておりますし、かつそのような方向で実施をしていると、このように考えております。

○佐藤昭夫君 昨日、この問題の有田郡の人たちも加わって大阪国税局と話をやっているんですよ。こちらへ当然その報告が来ているはずだと思うんだけれども、大阪国税局の方は、これはどうもおかしいというものについては調べ直して正すべきものは正すということでやりましたと。だから、間違っておったケースがあるんですよ。こういう報告知らぬと言うの。

○説明員(冨尾一郎君) 昨日の大阪国税局の応対につきましては私どもいまだ報告を受けておりませんので、内容は承知しておりませんが、ただいま私も申し上げましたように、御意見があるなしにかかわらず、私どもとしては課税上問題がある場合には適正な税負担を実現するために調査等を行わしていただいて、きちっとした処理をするということは当然行うべきことだというふうに考えております。

○佐藤昭夫君 結局、私の指摘している問題を認めざるを得ないでしょう。そういう言い方で、間違いがあるとすれば一般論として正さなくちゃならぬということはようやく言ったということですけれども、聞いてみたらわかるんですよ、大阪国税局に。現に間違いのケースがあったということで正している。大臣、本当にこの問題は氷山の一角だと思うんですよ。たまたま吉備町からはこういう意見書が上がってきたから、いよいよ正すべきものは正すということで、この大阪の国税局としても腰を上げざるを得なくなってきているという、こういう状況だと思うんです。

 この大阪国税局についてだってエリアは広いわけですし、本当にこういう問題がほかの地域にないのかということで、ひとつ徹底したこの同和という名の税の特別扱い、そうしてその結果税額についてどういう実態があるかと、これをぜひ――去年私が質問していたときから大蔵大臣はかわっていますから、あのころは竹下さんでしたが、今は宮澤大蔵大臣ですから、宮澤さんにこの問題をただすのは初めてになりますけれども、ぜひひとつ実態と真実を明らかにするということで調査をやっていただきたい。大阪国税局がどういう対応をしたかということも含めて、ぜひ調査をやっていただきたい。どうですか、大臣。

○国務大臣(宮澤喜一君) 私は初めて伺いましたので具体的なことをお答えはできませんですが、国税庁次長から先ほど申し上げておることを聞いておりますと、はっきりこれといって個々には申し上げておりませんけれども、こういうことがあれば必ずそれに対応して、しかるべき調査をいたしております、処置をいたしておりますとお答えをしておるようでございますし、またこれからもそうしてもらいたいと思います。

○佐藤昭夫君 今までも調査をしていると言いつつ、調査をしてみたけれどもそんな事実ない、そんな通達ない、しかし新しい通達が次から次へ出てくるじゃないですか。そうして、現に和歌山県の吉備町という町議会から意見書が上がってくるということに示されるような、もうのっぴきならない具体的事例が上がってきているということなんでありますから、何としてもひとつ宮澤大蔵大臣の責任と勇断で、こういう同和を名のるそういう団体に対する特別扱い、その結果としての税の実情がどうなっているかということを、国税庁任せじゃなくて、大臣の責任で徹底した調査をひとつやってもらいたいと思います。重ねて聞きますが、どうですか。

○国務大臣(宮澤喜一君) ただいま申し上げましたとおり、十分適切な処置を国税庁においてとらせるようにいたします。

○佐藤昭夫君 なお、この機会に私、委員長にもお願いをしたいと思います。

 大蔵大臣としてはよく調査をしてみたいという答弁でありますけれども、今まで何回か取り上げてきて、もう最後にしようがないから国会の席上では調査しますと言うけれども、調査らしい調査もやらないで、このことが一向にはっきりさせられないということで推移をしてきておりますので、とにかくこの関係についての通達類、同和を名のる関係の特別扱いについての通達類、それから、その結果減免の実態、こういうものを委員会としても正式に大蔵国税当局に委員会に資料を出すよう委員長からもひとつ御指示をいただきたいと思いますが、どうでしょうか。

○委員長(菅野久光君) 後刻、理事会で相談させていただきたいと思います。

○佐藤昭夫君 会計検査院にお尋ねをいたします。

 ずっと論議の状況をお聞きいただいておったかと思いますけれども、検査院の第一目的であります国の収支のまさに収入にかかわる問題、この収入をめぐっていかなる不公正があってもならないという点で検査院として大いに注意を向けていただきたいと思います。しかも、それが単に若干のミスがあったという程度ではない、法違反のおそれを含んでいるという内容を私はきょう提起をしているわけでありますので、そうした点で、今大阪国税局との関係で具体的には出したわけですけれども、ぜひ会計検査院として特別検査をこの問題について実施していただきたいと思いますが、どうでしょうか。

○説明員(疋田周朗君) お答えいたします。

 先ほど来、佐藤委員御指摘の事態につきましては、従来私どもの検査におきまして把握しておりませんでしたけれども、法律の規定によらない税の不当な減免があってはならないというように私どもも考えております。

 私どもの検査は、租税の賦課徴収が法律に基づいて適正に行われているかどうか、こういうような観点を主眼にいたしまして、同和関係、とりわけえせ同和行為の問題につきましても十分留意しながら従来検査を実施してきたところでございますが、今後の検査に当たりましては、ただいまの御議論あるいは昨年暮れに決定されました今後の地域改善対策に関する大綱の趣旨を十分念頭に置きながら、さらに充実した検査を実施することに努めてまいりたいと存じております。

○佐藤昭夫君 それで、そういうことで十分注意を向けて検査をしていただいて、これは必要だというときには特別検査をやるという問題も、そういう判断をなさったときにはひとつ御検討願いたい、どうでしょうか。

○説明員(疋田周朗君) 一般論的なお答えでまことに恐縮でございますが、私ども検査の結果、特定の分野におきまして不適切な事態が傾向的に多数認められるというような場合には、その後の検査におきましてその分野について重点的に検査するというのが私ども会計検査院の検査の基本姿勢でございます。

(29/35) 次の分割内容へ

○佐藤昭夫君 そういう基本姿勢に立って、必要と判断したときには特別検査をやるということで、今の答弁、私理解をしておきますので、ぜひ検査院としても大いに真実を究明するということで御努力を願いたいと思います。

 大臣、いろいろ申し上げました。大臣も広島の選挙区でございますので、同和問題をめぐっての現状はよく御承知のところと思いますけれども、私どもは一貫して同和問題の本当に正しい発展のためにということで、ちょうど党創立六十五周年ですけれども、同じ時期に水平社も創立をされまして、本当の意味での部落解放運動の正しい前進のために一貫して努力をしてきたつもりです。ただ、それを名目にして特権扱いや不正がまかり通るということは、これは断じて正しくないし、またそれは部落解放に役立たないということで今までいろいろ意見を申し上げてきた。

 しかし、るる申し上げましたように、この通達というのはあの四十三年の七項目合意、あそこで、企業連を窓口として出されてきたものは全部フリーパスだ、更正決定や滞納督促、これも形だけで実際は発動しない、延滞税も取らないと、こういう信じがたいようなことがまかり通っておるということを私きょう具体的に提起をしたわけです。

 自治体でも大問題になって意見書が出ている、こういうことでありますが、この中で和歌山では今度は、この不正を告発した農民とか御商売をなさっている零細業者、ここに対して報復的な調査に入って更正決定を打ち、権力的な徴税攻勢をかける、こういうやり方が現に出始めているんです。これはまさにこんなに道理の通らないしっぺ返しというか、報復というか、こういうものは、これまた断じて許されないということで、もう時間の関係ありますので、あえて答弁求めませんけれども、そういうことも起こっているのだということをよく念頭に置いて、国民の批判を招かないよう、本当に公正で民主的な税務行政推進をするために監督大臣として大いに御努力をいただきたいとお願いをしておきます。


佐藤昭夫
112回-参-予算委員会-07号 1988/03/15
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   〔委員長退席、理事林ゆう君着席〕

○佐藤昭夫君 年末までに検討するという形であいまいにしていますけれども、臨教審の答申は義務づけという方向が出ているんだから、もう文部省の方向は事実上決まっていると思うんですよ。

 問題は、「望ましい」という表現になっておる現在の事態でも処分が起こる、これがいよいよ義務づけということになったら重大なことになる。いわんや君が代の意味をどう教えるのか、「君が代は千代に八千代に」を。ということで大問題になるこれを義務づけるというようなことは、これこそ本当に思想、信条の自由の根本じゅうりん、絶対に許されない問題として、私はこの学習指導要領の改悪には断じて反対だということを強く申し上げておきます。答弁は求めません。

 話を変えます。同和行政の問題です。

 総務庁長官、昭和六十一年十二月十一日、地域改善対策協議会から意見具申が出ましたが、その主な内容を御説明ください。

○政府委員(紀嘉一郎君) 昭和六十一年十二月十一日に地域改善対策協議会の意見具申が出ましたが、この主な内容は「地域改善対策の現状に対する基本的認識」、それから「地域改善対策の今日的課題」、「地域改善対策事業のこれまでの実績と今後の課題」、「今後の地域改善対策の在り方」等について意見を取りまとめたものでございます。

○佐藤昭夫君 もうちょっと迫力を持って答えていただきたいですね。

 総理もこの意見具申の立場に立ってこれからの同和行政の改善を進めていく、確かめるまでもないと思いますけれども、そうですね、総理大臣。

○国務大臣(竹下登君) 今後とも十分尊重してまいる所存であります。

○佐藤昭夫君 そこで総務庁長官、この意見具申において税の適正化の問題にかかわって四つの問題を大きく提起しておると思うのでありますが、御説明ください。

○政府委員(紀嘉一郎君) 税のところでございますけれども、読み上げてみます。

 税の問題や公営住宅等の一部にみられる著しい低家賃の実態は、現在の国民感情を考慮すれば国民の間に不公平感を招来し、新たな差別意識を生む要因のひとつともなっている。国税において、一部にみられるような特別な納税行動については、その是正につき行政機関の適切な指導が望まれる。同和地区の納税者について、一般の納税者と異なった配意をすることは、決して、同和問題の解決という精神に沿ったものとは言えない。また、地方税においては、かなりの地方公共団体で、同和関係者等に対する減免措置が講じられているが、このような措置についてもその内容の見直し、適正化を図ることが望まれる。

以上でございます。

○佐藤昭夫君 国税庁長官、「特別な納税行動」、この意見具申で触れている、これは一体何でしょうか。その是正のためにどういう指導をしてきて、どんな成果の実が上がっていますか。

○政府委員(日向隆君) 今委員が御指摘になりましたように、地域改善対策協議会が六十一年十二月十一日、内閣総理大臣及び関係各大臣に提出した「今後における地域改善対策について」、いわゆる意見具申とおっしゃられておりましたが、国税については二つの指摘がございます。「一部にみられるような特別な納税行動については、その是正につき行政機関の適切な指導が望まれる。」、第二点は「同和地区の納税者について、一般の納税者と異なった配意をすることは、決して、同和問題の解決という精神に沿ったものとは言えない。」ということでございます。

   〔理事林ゆう君退席、委員長着席〕

 私どもとしては、ここで言われていることは、具体的には、同和団体に属する納税者がその確定申告書を国税局に一括して提出し、またこれまで国税局がその一括提出に係る確定申告書を受け取ってきたということを指摘しているというふうに理解しております。これについては、委員も御案内のとおり、確定申告書は国税通則法第二十一条等により住所地等を所轄する税務署に提出することになっておりますので、国税局に提出された場合には、例えば誤った意図をいたしまして例外的に提出された場合には、現に提出されている申告書を突き返したりまたは無効扱いにしたりすることはこれは不親切でございますから、所轄税務署に移送し、または当該税務署においてこれを収受するということにいたしますけれども、一般的には現在住所地を所轄する税務署に提出するよう指導し、特に六十一年分及び現在行われております六十二年分の確定申告に際しましては、各国税局に対しましてこのことを徹底いたしまして、先ほど申し上げました地対協の意見具申で述べられていることが実現するよう努力しているところでございます。現にこれまで私どもが各国税局から聞いているところでは、そのような状況になってきているということでございます。

○佐藤昭夫君 国税庁、同時にこの意見具申が言っています同和地区の納税者について、一般の納税者と異なったどんな配慮が今までやられてきたんでしょうか。

○政府委員(日向隆君) 今私が申し上げましたように、意見具申で言われております特別な配慮といいますのは、各国税局に対して一括して確定申告書が提出されました場合に、これを受け取ってまいってきたという事実だということでございます。

○佐藤昭夫君 ちょっと違いますね。

 昭和四十五年二月十日付での国税庁長官通達、「同和問題について」という表題のがありますね。その内容を述べてください。

(24/29) 次の分割内容へ

○政府委員(日向隆君) 今委員御指摘の長官通達は、昭和四十年の同対審答申及び昭和四十四年の同和対策事業特別措置法の施行の際、昭和四十五年二月十日付で、その大要を申し上げますと、第一に、「同和問題に関する認識を深め」「法の精神に反するような言動のないよう周知徹底をはかる」ため「職員に対する研修等を実施すること」、第二に、「同和地区納税者に対して、今後とも実情に則した課税を行うよう配意すること」について、私どもの国税庁長官が国税局長に当時通達したものでございます。

○佐藤昭夫君 そこで、今も言われました第二項、「同和地区納税者に対して、今後とも実情に則した課税を行うよう配意すること」という、これは具体的にはどういう内容でしょうか。

○政府委員(日向隆君) 今委員がおっしゃいました「実情に則した課税」と私どもこの通達で言っておりますその内容は、当時の同対審答申でも指摘されていますように、同和地区には社会的経済的に特別な事情が多いので、これを念頭に置いて同和地区納税者の実態をよく見て、その実情に即した適正な課税を行う、こういう趣旨であると、こう思います。

○佐藤昭夫君 もう少し具体的に言っていただけませんか。

 昭和五十年の二月十三日、衆議院予算委員会での我が党の三谷議員に対する国税庁答弁、あるいは私自身が六十一年の八月二十二日、参議院の決算委員会で質問をしているのに対して、もっと具体的な答えがありますから、それを述べてください。

○政府委員(日向隆君) ただいま委員が仰せられました議事録等を私今手元に持っておりませんので、それを言うことについては、できないことを御理解いただきたいと思いますけれども、この通達で言っております、同和地区納税者の実態をよく見てその実情に即した適正な課税を行うということは、例えば同和地区におきましては幾つかの、例示でございますけれども、他の一般の納税者とは異なった不利な借り入れの条件があるとか、通常の場合よりも高い例えばあっせん手数料がいろんな事柄をあっせんする場合にかかりますとか、例えば土地の譲渡の場合に例をとりますと、通常の必要経費のほかに、立地条件が悪いために土盛りや石垣積みなどの費用、売却条件を少しでもよくするための仲介手数料が普通の場合よりもかかるといったような、こういう社会的経済的な特別の事情がありまして、それを私どもが委員御案内のように収入からいろんな諸経費を引きまして所得を計算する際に、正確な所得を計算する必要がありますから、その同和地区納税者の実態をよく見てその実情に即した課税をするようにと、こういう意味でございます。

○佐藤昭夫君 具体的には、経費として認めるという答弁がありますね。

○政府委員(日向隆君) 所得計算の過程はいろいろございますけれども、私が今説明しましたところに従いますと、大部分が今委員が仰せのように経費の問題であろうかと思います。

○佐藤昭夫君 国税庁、同和地区関係者かどうかの判定はどうやってやるのですか。

○政府委員(日向隆君) これも委員重々御存じと思いますが、私ども税務行政を展開するに当たりまして適正公平にそれを実施しているわけでございまして、したがいまして特定の団体に所属しているかどうかという点については把握しておりません。

○佐藤昭夫君 申告に基づいて判定をするわけですね。私は同和地域に住んでいるという、そういう申告に基づいて。

○政府委員(日向隆君) もとより私ども、申告その他申告を判断するに至りますいろんな資料を見ておりますので、その中にありまして当該納税者が同和地区の居住者であるかどうかということがわかりますればそれはもとよりわかるわけでございますけれども、それについて執行上特段の扱いをしておりませんので、私どもとしては、つまり国税庁としては知り得ないと、こういうことでございます。

○佐藤昭夫君 だから、わからぬから申告に基づいてやっていると。
 この特別の配慮によって、年平均どれぐらいの配慮件数、配慮金額になっていますか。

○政府委員(日向隆君) 先ほどから同様な答弁を繰り返して恐縮でございますけれども、先ほどの通達は決して税の減免をしろと言っていることではございませんで、今申し上げましたように、同和地区納税者の実態をよく見てその実情に即した適正な課税をするようにという趣旨でございますから、それによる減免ということはあり得ないことでございます。

○佐藤昭夫君 余り人を食った答弁をしてはいかぬでね。さっき二つほど実例を挙げて、事実上それを経費として認めるというのだから、経費として認めるというのは税金が安うなるということに決まっているじゃないですか。

○政府委員(日向隆君) そういう意味でございましたら、そのとおりでございます。ただ、減免とおっしゃいましたから、その減免はありませんと、こう言ったわけでございまして……

○佐藤昭夫君 それはアプリオリにないということで……

○政府委員(日向隆君) そのとおりでございます。

 また、つけ加えて申し上げますと、それについて統計上の数字はございません。

○佐藤昭夫君 意見具申はまた、地方税における同和関係者に対する減免措置もその見直し、適正化が望まれるということで、国は自治体に助言、指導せよというふうに自治大臣、書いていると思いますけれども、自治大臣としてどのように指導し、どのように適正化が現在進んできていますか。

○政府委員(渡辺功君) 御指摘のように、地域改善対策協議会の意見具申におきまして、同和関係者に対する地方税の減免措置についてその見直し、適正化について指摘されているところでございます。この意見具申を踏まえて立法されました地域改善対策特定事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律の施行に際しまして、昭和六十二年四月でございますが、各省次官名で「地域改善対策特定事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律の施行について」を地方団体に通知いたしているところでございます。

 この通知の中におきまして、「地方公共団体独自に実施している関係施策についても、意見具申で示された地域改善対策事業の見直しの考え方を踏まえ、その見直しを行うとともに、事業運営の適正化に努めること。」と指示をしているところでございます。

 お尋ねの減免措置等につきまして行われている場合におきましても、地方団体の自主的判断ということに基づくわけでございますが、それによって行われておるわけでございますが、それぞれの事情に照らしまして通知の趣旨を踏まえて適切に対応されているものと、こう考えておるところでございます。

○佐藤昭夫君 今の趣旨、自治省の指導のもとでここがこういうふうに改善をされたという事例、一つでもあったら挙げてください。

○政府委員(渡辺功君) この問題につきましては、まず地方税法におきますところの減免というものの法的な位置づけといいますか、そういったものについて申し上げなければなりませんが、これは担税力のいかん等に着目して行われるという場合だけじゃありませんで、公益上その他の理由により必要があると認める場合には条例の定めるところにより行うことができる、こういうふうになっているわけでございます。公益上その他の理由があるかどうかということでございますので、これは専らそれぞれの地方団体において自主的に判断されるべき問題でございまして、そういう理由からいたしまして私どもといたしましては、地方団体においてどういう状況に見直しが行われているかということを把握しているところではございません。

○委員長(原文兵衛君) 関連質疑を許します。沓脱タケ子君。

○沓脱タケ子君 それでは、地方税関係の話が出ましたので、自治省、ちょっとお伺いをいたしますが、災害等特別の事情がないのに七十平米以下の固定資産税を一律に免除するということができますか。

(25/29) 次の分割内容へ

○政府委員(渡辺功君) 地方税法の減免の規定は、委員御高承のとおりでございまして、それぞれ、例えば固定資産税でありますと固定資産税の章に減免の規定がございます。ただいま御指摘の、災害等による減免というようなことがまず書かれております。その後に、その他特別の理由がある者に限りということが書いてありまして、これにつきましてはその地方団体の公益上の判断その他特別の事情ということで減免ができることとなっておりますので、その地方団体におきますところのそうした判断がございますというと減免が可能であるというふうになっているところでございます。

○沓脱タケ子君 佐藤さんの資料の四ページに私の資料がとじられておりますが、この資料は昭和六十二年度の大阪府市長会の文書でございます。

 ごらんになっていただいたらわかりますように、部落解放同盟系の財団法人大阪府同和事業促進協議会、それから社団法人大阪市同和事業促進協議会、略称、府同促、市同促と言うんですが、これを通じて申請した同和地区住民の固定資産税は減免率三分の二ということで、自動的に三分の一にまけます、それから七十平米以下の土地、家屋には一円も固定資産税はかけませんという内容になっておるわけでございます。

 意見具申が出たのは六十一年十二月十一日でございますが、この六十二年度もこういうことがやられているということを、自治大臣、御存じですか。御見解はどうですか。

○政府委員(渡辺功君) 減免の状況につきましては、先ほど申し上げましたように、地方団体それぞれ独自の、地方税法に認められた枠の中での自治の権限でございます。したがいまして、それについて一般的な把握をしておりませんのでそうした把握をしていないところでございます。

○沓脱タケ子君 自治大臣、どうですか。――いや、局長、よろしいわ、わかりましたから。

○政府委員(渡辺功君) 私どもは承知をいたして把握しておりません。大臣もしたがいまして、私ども補佐しておりますが、把握をいたしておりません。

○沓脱タケ子君 いつから大臣の指導に当たっているのか。ばかなことを言いなさんな。

○政府委員(渡辺功君) なお、先ほどちょっと落としましたけれども、こうした事柄についてどう考えるかというお話でございますが、私どもとしましては今回の、先ほども申し上げましたが、意見具申に従いまして、適正化について指摘されている、こういうことをきっちり踏まえて、しかし、それぞれの地方団体でそれをよく検討して、そしてどういう適正化を図るかということを真剣に検討してもらいたい、こういう立場でございまして、そういう意味で指導をしているところでございます。

○沓脱タケ子君 大体、自治省というのはえらいところになっているんですな。大臣の指導をするのが局長ですか。

 私、限られた時間ですから次に行きますけれども、その次の資料、五ページの資料ですね、それをごらんいただきますと、この二枚目の資料は大阪府市長会のこの減免規定に基づいての不当な減免が実際に実行されている具体例です。ある部落解放同盟支部の文書でございます。やっぱりこれは市長会の方針どおり、三分の一に減免、七十平米以下は全額免除と明記してあります。固定資産税は免除または三分の一。そのかわり解同は会費として、昨年度の減免額の一割を会費として持ってきなさいというふうにちゃんと書いてある。全くあきれた。いわばピンはね同様なんですね。

 私、時間がないようでございますから最後に申し上げますが、地方団体だから地方団体の自主性に任せるというふうに局長はさっきおっしゃったけれども、しかし意見具申によればちゃんと言われているんですね。自治体として大変苦慮しているんだから政府としては強力な指導や援助を行え、そして改善せよというふうに言われているわけです。

 そこで総理、こういうことが、固定資産税一つを取り上げてみましても同和減免という形でやられている。国民一般からいいますと、地価高騰で固定資産税が上がって本当に頭が痛い、そういう国民が聞けば、こんな事態があるということになれば、これは税金を納める気がなくなりますよ。そういう点では、公平の立場あるいは差別をなくしていかなければならないという立場に逆に差別をつくるというふうな、不公正そのものだと思うんですが、これは少なくとも早急に厳正に是正をするべきだと私は思いますが、総理、御見解を伺いたい。

○政府委員(渡辺功君) 冒頭申し上げましたように、この見直し、適正化について触れた意見具申、これは私どもとしましてその趣旨に沿ってこれを進めていかなければならない、こういうことでございます。

○沓脱タケ子君 おかしいやない、総理の意見を聞いている。

○政府委員(渡辺功君) しかしながら、その場合におきまして……

○沓脱タケ子君 その具体問題はいいんだ。

○政府委員(渡辺功君) その意見具申の精神に沿って、それぞれの地方団体の状況に応じて適正化を図っていく、こういうことでございます。
 そこで、どういうふうに申し上げたら御理解がいただけるかということを考えてみるんですが……

○沓脱タケ子君 現状についての判断を総理に聞いているんだ。

○政府委員(渡辺功君) 現状につきまして、地方団体が独自に実施している地方税の減免措置につきましても、この際地方団体においてその内容について十分検討を行いまして、広く住民一般のコンセンサスが得られるものとなるように適正化を図っていく、これが地方団体のあるべき姿勢といいますか、そういう努力が必要ではないかというふうに考えているところでございます。

○沓脱タケ子君 総理、最後に一言聞かしてください。

○国務大臣(高鳥修君) 同和問題を担当いたしておりますので、私の方からお答えを申し上げます。

 まず、同和問題につきましていわゆる意見具申というものが地域改善対策協議会から行われているところでございますが、その中で指摘していることは、やはり十八年間に及ぶ地域改善対策の推進により、同和地区の実態が相当改善されたという認識をまず持っておるわけであります。

 そしてまた、この十八年間やはり積み重ねてきておりますので、非常に難しい問題がたくさん山積していると思います。地方自治団体も大変御苦労なさっておると思いますけれども、私どもは今回いただきました意見具申や、あるいは「今後の地域改善対策に関する大綱」というものを私ども定めております。さらに、地対財特法の施行の通知などを踏まえまして、適正化を進めていただくように関係各省庁にお願いしているところでございまして、自治省からも当然そのような要請を地方公共団体にしていただき、そしてなお今後努力をしていただかなければならない、このように考えております。

○沓脱タケ子君 総理、一言。

○国務大臣(竹下登君) 地域改善対策協議会の意見具申を受けて、それから次官通達というものがあって、それに沿って自主的な判断をされるものであるというふうに思っております。

○佐藤昭夫君 大阪の例が出ましたけれども、問題は京都でも同様であります。

 まず国税庁、国税の関係ですが、昭和六十一年の事件でありますが、亀岡市の部落解放同盟役員が、わしに任せてくれたら相続税を安うしてやると持ちかけて、かわりに部落解放京都府企業連合会へのカンパ二百二十万円、会費五十万円を受け取っているのであります。京企連の印もある申告済みの証票あるいはカンパ及び会費の領収証まで明るみに出ているわけですが、国税庁、事実ですね。

○政府委員(日向隆君) 個別の問題について私から言うことは差し控えさせていただきます。

○佐藤昭夫君 ちゃんときのうレクに来たときに確認をしたのを、何でそんなに国会の席上でそういう態度をとるの。

 地方税、固定資産税問題、同じように。船井郡八木町の固定資産税三分の二減額、同和地域、これを初めとして京都市以外でも府下三五%の自治体で同和を理由とする減免が行われているわけでありますが、この適正化のためにどういう具体的な指導を自治省は行っていますか。一遍自治大臣が答えたらどうですか。

(26/29) 次の分割内容へ

○政府委員(渡辺功君) 京都府下の具体的な例を挙げられての御質問でございます。

 私どもは、先ほども申し上げましたように、この問題につきましては、減免というものが条例によって行われなければならないとか、そういう画一的に指導できるところは指導をそういう形でしております。しかしながら、具体的にその町が持っているあるいは市が持っている課題にどういうふうにこたえるかということでの公益上の理由、それになりますというと、どれだけのことをどういう形でどういう手順でやるか、これはその地方団体の判断によらなければいけない、そういうことでございます。したがいまして、それぞれの団体に介入するといいますか、そういう形での指導は行っていないところでございます。

○佐藤昭夫君 意見具申に総論としては賛成だけれども、各論になるとむしろ逆のことがあってみたり、遅々として進んでいないというのが国税についても地方税についてもますますはっきりしてきているわけです。

 そこで、国税についての問題の根源は、国税庁も認めました昭和四十五年二月十日の国税庁長官通達ですね。これはいわゆる同対審答申、これを受けてこの通達をつくったという、さっきも朗読をされたというものでありまして、今や内閣総理大臣初め各関係大臣に対しての意見具申ということで答申が出たこの地対協意見具申ですね。これがいよいよ出たというこの局面で、一体国税庁の基本方針をどうするのかということが問われてきている時期だと思うんです。私は、同和地域についてこういう特別な配慮をするといったようなこういう通達は廃止をするべきだと思いますが、どうですか、見解は。

○政府委員(日向隆君) 昭和四十五年の長官通達は、私がさきに申し上げましたとおりの趣旨で出されたものでございます。私どもといたしましては、この通達の言わんとしているところは納税者の実態、実情を十分把握してそれに即して適正な課税をしろと、こういうことでございますから、これは別に同和地区納税者のみならず一般の納税者にも当てはまることでございまして、私どもは委員がおっしゃっていることについて十分ここで承っておりますけれども、この長官通達の趣旨につきましては、その本来の趣旨に照らして十分その徹底を図るようになお一層の努力はいたしますけれども、これを現在廃止しまたは撤回する考えはございません。

○佐藤昭夫君 経費として認めるということを確認したということは、税金をまけろということですよ。そんなものは当たり前じゃないですか。

 そこで、重要な文献を発見いたしました。前の総務庁の同対室室長ですね、同和対策室長熊代昭彦さんという方の著書「同和問題解決への展望」という本であります。ここで、長年の経験を通して、今回の意見具申に至ったその中でのいろんな苦労やらその意義やらを強調しているわけでありますけれども、これに、私はさすがと思いましたけれども、堀内環境庁長官が自民党の地域改善対策特別委員会委員長という肩書で推薦の言葉を載せておられるというのはさすがというふうに思いました。

 問題はこの人、この熊代さんが百六十一ページ、そこの真ん中あたりに、いわゆるそういう特別な配慮をするというこのことをめぐって意見具申が触れているそこにかかわって、昭和四十五年二月十日の問題の国税庁長官通達、この廃止が検討される必要があるというふうに、専門的立場からそのことをはっきり書いているのであります。総務庁長官もこの点については同様の御意見でしょうね。――いやいや、ちょっと。国税庁は後から聞く。

○国務大臣(高鳥修君) 国税に関する適正化につきましては、六十一年地対協意見具申を踏まえ各省庁の合意を得て総務庁が定めた「今後の地域改善対策に関する大綱」に沿って、国税庁において適正化の努力がされているものと理解しております。

○佐藤昭夫君 それなら、適正化の努力がされておるものと期待している、思っていますと言うんです。

 国税庁どうですか、廃止を検討する意思がありますか。

○政府委員(日向隆君) 意見具申で言われております特別な配慮を是正しろという点は、既に私再三申し上げましたように、国税局に提出される一括申告についてこれを是正するということでございまして、六十一年分、六十二年分の確定申告によって既にこの是正の措置をとっております。それは先ほど申し上げたとおりであります。

 それから、経費のことについておっしゃっておりますが、私が長官通達に関連して申し上げました経費といいますのは、収入マイナス経費イコール所得でありますけれども、その経費が同和地区納税者については、同和対策審議会の答申で指摘されておりますように、社会的経済的な事情からして特別にいろんな経費がかかっているだろう、その実際にかかっている経費の実態をよく見て、その実際にかかっている経費について控除をして所得を適正に計算しなさいと、こういう意味でございます。

○佐藤昭夫君 大蔵大臣、ここまで議論をしておるんですけれどもね、国税庁監督の任にある大蔵大臣として、問題の国税庁長官通達、これを見直しの検討の俎上に上せるということは最低やるべきだというふうに思われませんか。

○国務大臣(宮澤喜一君) 先ほどから政府委員が申し上げていることに尽きていると思うんですが、納税申告書を一括して国税局に出すというようなことはこれはよろしくないことであって、そういうことは、指摘がありましたように改めつつございます。そういうものを受け取らないということにいたしております。

 それから、もう一つの問題は別の問題であって、事業なりをいたしますときに、何が経費であるか経費でないかということは業により地域により違うことでございますから、経費を経費と考えるということは、これは何も特典でも減税でも何でもないごく普通のことだというふうに思います。

○佐藤昭夫君 事実上、意見具申で提起をしている、この特別な配慮を是正せよというここの部分については、そんなものには応じられない、その改善をね。応じられないという態度じゃありませんか。もうこうなったら、総理大臣、あなたが決断をしてください。

○国務大臣(竹下登君) 直接国税庁を監督しておられる大蔵大臣の意見と全く一緒であります。

○佐藤昭夫君 意見具申は内閣総理大臣を筆頭に関係各大臣殿ということで出ているのでありますから、ここでは総理大臣がイニシアチブを発揮してもらう必要があるんじゃないかというふうに思うんですが、重ねてどうでしょう。

○国務大臣(竹下登君) 意見具申に基づいて国税庁長官通達というようなものがあっておるわけですから、それは意見具申に沿ったものであろうというふうに私は考えております。

○佐藤昭夫君 私の問題にしておる国税庁長官通達は意見具申に基づく通達じゃないんですよ、繰り返し言っている。同対審答申に基づく通達ですよ。だから、全然環境が変わっておるんですよ、いわば。それでも考え、もう一遍検討の俎上に上せてみようという気持ちさえないですか。

○国務大臣(竹下登君) 率直に言って、事の実態が問答をお聞きしておって必ずしも私自身正確に把握できておりません。

○佐藤昭夫君 大蔵大臣をやって何でわからぬ。納得できぬな。

○国務大臣(高鳥修君) 担当でございますので私の方から申し上げますが、ただいま御指摘のございましたように、要するに地域改善行政の現状は、同対審答申、これは四十年八月に行われておりますが、この当時と大きく変わっておる、事態は既に随分改善されてきておるという基本的な認識をまずこの意見具申において申しておるわけであります。それを踏まえまして、なお内容といたしまして、「同和地区の納税者について、一般の納税者と異なった配意をすることは、決して、同和問題の解決という精神に沿ったものとは言えない。」という指摘をいたしているところでございます。

 したがいまして、そうした指摘を踏まえまして今後さらに、この意見具申の中では行政の主体性の確立ということも強調されておりますので、そうしたことを踏まえまして、今後この意見具申が実現されていくように努力すべきものであると、このように考えております。

○佐藤昭夫君 総務庁長官は、ひとつそういう精神の上に立って、今後国税庁あるいは大蔵省とよく相談してみるということの御努力を願いたいと思います。

(27/29) 次の分割内容へ

○国務大臣(高鳥修君) 総務庁の基本的な態度につきましては大綱で明らかにしているところでございまして、それを踏まえて努力してまいりたいと存じます。

○佐藤昭夫君 自治大臣、先ほどから具体例を出していますように、地対協意見具申に基づいて地方税の減免の適正化を図ることが遅々として進んでいません。で、片一方、自治体職員の給与などについて高水準のところは起債のペナルティーまで科する。しかし片一方、こうやって同和の関係、減免をしますと、その減った分はこれは地方交付税で補てんしましょうということをやっておる。まことに矛盾したことになっておるわけであります。ですから、この際ひとつ、本当に力を込めて自治省としても自治体を指導するということでやってもらいたいと思うんですが、大臣の決意、お尋ねします。

○国務大臣(梶山静六君) 同和減免の問題につきましては、意見具申の趣旨に沿って今後とも適正化に努力をしていくべきものと考えております。

○佐藤昭夫君 渾身の努力ね。

 検査院長、この意見具申では、検査院には直接には提出されておりませんけれども、検査院の機能強化について今度触れておるわけでありますけれども、ぜひとも検査院としても同和行政が公正に進んでいくようにひとつ必要な検査に力を入れるということでやってもらいたいと思いますが、どうでしょうか。

○会計検査院長(辻敬一君) 会計検査院は、同和関係の国の収入支出につきましては従来から検査を進めているところでございまして、検査報告におきましても相当数の指摘を行っております。今後とも各方面の御議論、御意見を参考にいたしまして、引き続き適正な検査の実施に努めてまいりたいと、かように考えております。



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