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日本共産党議員の「同和脱税」追及国会議事録(2)
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[出典]
以下のデータは、国会会議録のホームページより検索・抜粋したものです。





沓脱タケ子
084回-参-決算委員会-13号 1978/04/24
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○沓脱タケ子君 それでは、私は地方税における同和減免についての質問を行いたいと思います。

  〔委員長退席、理事野口忠夫君着席〕

 わが党はかねがね国税につきましても問題にしてまいりましたが、ちょうど昭和五十年三月十二日の衆議院の大蔵委員会でも、わが党の東中議員が、国税における同和地区の税務行政についての質疑を行っております。そのときには、大阪国税局が部落解放同盟の指揮下にあります大阪府同和地区企業連合会、略して大企連と言っておりますが、ここを窓口にした確定申告書につきましては、所轄の税務署ではなくて、直接国税局が一括して受けつけをする。それから二番目には、法律で定められている提出日の三月十五日を過ぎても受け付けを行う。それから三番目には、申告書に金ラベルを張り、一般税務職員はさわらないという特別の取り扱いをしていることを御指摘をしております。これに対して当時の森大蔵政務次官また当時の磯辺国税庁次長は、これらの事実をお認めになって、いまやっていることはいいとは思っていない、努力をして是正をしていきたいなどと御答弁をされております。その後もこの国税におきましての金ラベルの問題というのは問題になっているところでございます。

 きょうは、市町村や都道府県の一部が実施をしております地方税における同和減免についてお聞きをしたいと思っています。

 去る五十年の二月二十六日の衆議院地方行政委員会で、わが党の三谷議員がこの問題につきまして取り上げまして、そして自治省にお伺いをしておりましたが、自治省は同和減免の実情についてはそのときにはよく御存じなかったようでございます。その後御調査をされたように伺っておりますが、初めに、この実情について自治省としてはどのように把握されておられるか、その点についての内容をまずお聞かせをいただきたいと思います。

○政府委員(森岡敞君) いまお話の中にありました昭和五十年二月二十六日の衆議院地方行政委員会におきます質疑を機会に、その際に御質問の中に出ておりました兵庫県、特に尼崎市の実態及び大阪府の実態を調査いたしております。

 以上でございます。

○沓脱タケ子君 調査の結果はどうなっているんですか。

○政府委員(森岡敞君) 尼崎市についてまず申し上げたいと思いますが、五十一年度の決算額で市民税の減免が七百七十七件、金額が約三千二百万円でございます。次に固定資産税が六百七十五件、金額は約六千万円でございます。軽自動車税が百四十件、金額は約十九万円。合計いたしまして約九千三百万円でございます。

 なお、兵庫県下の市町村につきまして同様に報告を求めましたところ、これは五十二年度分でございますけれども、固定資産税が六十六団体が減免をしておりまして、その金額が約三億円。それから住民税が六十二団体でございまして、その金額が約二億円。軽自動車税が二十九団体でございまして、その金額は約八百万円でございます。

 それから次に、大阪府下の市町村でございますが、これは五十二年度分の数字でございますが、固定資産税は二十三団体で約二億九千万円。軽自動車税が二団体で約四十六万円。

 以上のような数字でございます。

○沓脱タケ子君 全国的な減免実績はどうなっています。いまおっしゃったのは尼崎、兵庫県、大阪というふうにおっしゃっていただいたんですが、全国的にはどうですか。

○政府委員(森岡敞君) 全国的にはいわゆる悉皆調査というのは実はやっておりません。特に問題が提起されました尼崎市及び兵庫県及び大阪府につきまして報告を求めた次第でございます。

○沓脱タケ子君 そうしますと、私の方が自治省へお願いをして資料としていただきました数字というのはこれはどこの数字ですか、全国で五十二年度十一億二千五百万円ということは。

 そしておたくの方ね、これは間違っているかわからへんですよ、電話で聞いたんだから。資料をくださいというのに、資料を書いてよこさぬのですね。自治省というのはみんないつもそんなことをしてるんですか。数字というのはね、言葉で聞くとやっぱり間違いますよね。一と七とだって、「ナナ」と言えばいいけれども、「シチ」と言うと間違うおそれがあるんだから、資料を表にしてくださればいいのに電話でしか連絡をしてこない。自治省というのはずいぶんずぼらですね。

 いま私が申し上げたのは、これは電話でおたくから聞いたのでは十一億二千五百万円とおっしゃったんですが、これは一体何の数字ですか。

○政府委員(森岡敞君) 先ほどお答え申し上げましたのは、住民税、固定資産税あるいは軽自動車税という各税目につきまして悉皆調査をやっておるわけではございませんというふうに申し上げたわけでございます。いまお示しのありました数字は十一億二千五百万円、これは間違いございませんが、固定資産税につきまして、減免額の一定部分について特別交付税でいわば財源措置をしておるものですから、固定資産税につきましてはそういう調査をいたしております。

 以上でございます。

○沓脱タケ子君 そうしますと、これは、私の方はこれ固定資産税と言って聞いたんじゃなかったものでね。実はいま局長の御説明で、兵庫県だけでも五億円以上あるのにおかしいなと思ったんで、この数字は何ですかってお聞きをしたんです。数字の点で時間をとりたくありませんので、これはひとつ後ほど、お電話でなく、御調査になっておられるところ、私の方は全国の同和減免実態と実績ということでお願いを申し上げましたので、地方税の費目別に、全国幾ら、そして府県別幾らということでお示しをいただきたいと思います。そのことはお願いをしておきたい。

 それで、いま御報告がありました数字ですね、固定資産税の十一億二千五百万。その他を含めたら大分もっと多いようですが、これはあれですか、減免措置と、いわゆる同和対策として理解をさせていただいたらよろしいですか。

○政府委員(森岡敞君) 尼崎市の条例及びいわゆる要綱を見ますと、同和対策としてこの減免措置を行うという表現をされておりますから、市町村といたしましてはそういう観点でこの減免措置が講ぜられておる、かように私どもも考えております。

○沓脱タケ子君 それじゃちょっとお聞きをしたいんですが、総理府の方、来ておられますか。――同対審答申や同特法その他ですね、同和対策の中に税の減免がうたわれておりますか。ちょっとそのことをお聞きいたしたいと思います。

○政府委員(黒川弘君) いまお話しの地方税の減免措置等の優遇措置を講じるというような趣旨につきましては、同和対策審議会答申あるいは同和対策事業特別措置法の中にこれに該当する部分はないというように理解しております。

○沓脱タケ子君 じゃ、この地方自治体が行っております同和減免というのは、地方税法及び各自治体のそれじゃどこに根拠を持ってやっているんでしょうか。ちょっとそれ簡単にお聞かせをいただきたい。同和対策としてということで先ほど御答弁いただいたわけですね。ところが、同特法にもそれから審議会の答申にもそういうものはございませんということを総理府がおっしゃったので、それじゃ地方税法と各自治体のどこに根拠を置いてやっているというふうに理解をしたらよろしいですか。

○政府委員(森岡敞君) 地方税の減免につきましては、各税日ごとにいわゆる減免規定が設けられております。市町村民税についてこれを申し上げますと、第三百二十三条におきまして、「天災その他特別の事情がある場合において市町村民税の減免を必要とすると認める者、貧困に因り生活のため公私の扶助を受ける者その他特別の事情がある者」につきまして市町村が減免をできるという規定があるわけでございます。問題は、「その他特別の事情」というものに何が考えられるかということであろうかと思いますが、減免でございますから、たとえば納税者の担税力、これは確かに一つ。それから、公益上の理由がある場合にも減免はできるという解釈でございます。また、その他個々の地方団体の実情に応じまして減免をすることが認められておりますので、この規定に該当するものとして減免が行われておるものと、かように考えております。

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○沓脱タケ子君 いまの局長の御説明、私もそうだと思うんですよ。地方税法上の減免の規定というのは、いまおっしゃられたようにきわめて限定をされた規定になっていると思います。たとえば、その固定資産税の場合ですけれども、地方税法の三百六十七条ですか、これでも、いまおっしゃられたように、「市町村長は、天災その他特別の事情がある場合」云々と、市町村長が減免できる場合のケースを天災、災害等の特異なケースに限定していますし、またあくまでも臨時的な事象による市町村長の取り扱いも定めていると思います。

  〔理事野口忠夫君退席、委員長着席〕

同和問題を、この「その他特別の事情」の範囲に含めて取り扱うというのが妥当なのかどうか、私は非常に無理があるというふうに理解をするわけです。

 税における減免の取り扱いというのは、このような身分差別に起因する社会上の諸問題について税制面で取り扱うというのは、やはり非常に不適当ではないかと思うわけです。もしもこれを百歩譲って、同和地区の人々に対して地方自治体が特別な減免を行う必要がある場合でも、これは「貧困に因り生活のため公私の扶助を受ける者その他特別の事情がある者」というこの三百六十七条後段の規定によって、同和地区であるかいなかを問わず、これはすべての住民に対して減免の道というのは開かれている規定なんですね。だから、この規定によってなされるのが適当ではないかと思うんです。なぜなら、「社会的、経済的、文化的に同和地区の生活水準の向上をはかり、一般地区との格差をなくすことが必要である」、同対審はこう言われている。その同対審答申にうたわれている同和対策事業を仮に税制度の面で実施するなら、やっぱり後段の規定で該当させて十分ではないかと考えるわけです。

 そこで、総理府にちょっとお聞きしたいんです。この同対審答申の中に私が問題にしている税制面における対策はうたわれてない、税制面における対策というのはどこにうたわれているかということですね。先ほどもお答えをいただいておりますのではっきりしているんですけれども、これはどうですか。うたわれていると思わないんですね。

○政府委員(黒川弘君) 先ほどお答え申し上げたとおりでございますが、地方税等の減免措置を講じよというような趣旨につきましては、同和対策審議会答申それから同和対策事業特別措置法の中におきまして、そういう趣旨の部分はないというふうに理解しているところでございます。

○沓脱タケ子君 法律、それから答申等の立場というのは非常に明確だと思うんですね。差別をなくしていくというのは、やはり答申には非常に細かく規定がなされておるのは御承知のとおりです。同和地区の環境改善、それから社会福祉対策の強化、それから産業・職業に関する対策、教育問題の充実強化、それから人権問題に関する対策、それぞれもう非常に具体的な施策の内容を展開されているのは御承知のとおりです。しかも、これらのこういうふうに細かく決められている中で、税制面における対策というのは含まれてないんですね。ですから、やっぱりはっきりしなきゃならぬと思いますのは、税は本来応能原則によって、負担力のある者が負担するんだとさっき局長も言われた。そういう一応民主的な形態になっておるのは事実です。もちろんそれは大企業とか大資本家に対する特別優遇措置などという問題点はありますけれどもね。だから逆に言いますと、負担能力のない者はさまざまな税法上の規定によって多様な形で免税規定というのは設けられているんですね、税の負担は応能、負担力に応じて負担するという立場から言いまして。だから逆に言えば、負担能力のない者はいろいろな形で免税規定というのが設けられている。こういうことというのは、当然すべての負担能力のない国民や住民に対して適用されるというのは当然のことですよね。ことさらそれじゃ同和地区の住民に限定して税負担の軽減を図る必要というのはあるんだろうか。これはないと思うんですね、その立場から見れば。このことは同時に、経済的な差別をなくしていくという答申の目的は、税制面において何ら特別な措置をとる必要を認めていないという点も含めますと、これは非常に両面から見てはっきりすると思う。

 その面では、幾つかの例でもはっきりすると思いますのは、一つは運動面から考えましても、いわゆる部落差別をなくするという立場で運動している幾つかの団体がありますが、これは運動面で、いわゆる部落解放同盟朝田・松井派と言われている団体ではこういう要求をしておりますよ。他の団体ではこういうことがやられていない。もう一方、現状から見てみますと、政府の調査をなさっておられる一九七一年六月一日及び七五年六月一日に行った全国同和地区調査、この同和地区調査によって見ますと、同和地区の地方税所得割課税世帯七一年は四四・三%、七五年は五三・九%ということで、九・六%の上昇率を示すということが御調査の結果明らかです。これは全国平均の上昇率というのは四・五%ですから、これをはるかに超えておる、つまり経済的にはよくなってきているという指標を非常にはっきり示してきていると思うわけです。こういう現状に立って自治省は、税法上の減免規定を拡大解釈して、自治体が実施している同和減免を合法化するというのですか。そういう態度をとって、これは先ほどお述べになった金額というのは同和対策として理解をしてよろしいということだから、こういう中で税法上の減免規定を、特別の事情という後段の解釈に立って、そして同和減免というものを合理化するというんですか、適法だというふうに御理解をされているわけですけれども、客観的に見たらこれは改めるべきではないかと思うんですが、どうでしょう。

○政府委員(森岡敞君) 地方税でございますから、国税のように一〇〇%細部に至るまで税法で事柄を決めてしまうということはこれはできませんし、また望ましくもないということが基本にあると思います。したがって、いまお話しのありました、税法上たとえば非課税でありますとか、軽減とかというのが設けられておりますが、これは各地方団体に共通するいわば画一的な税の負担の免除とか、あるいは軽減ということを決めておるわけで、そのほかにやはり条例とか議会の議決によりまして、地域の実態に応じた税負担の軽減という措置があってそれがしかるべきだと思うんでございます。

 そこで問題は、その設けられております減免規定から言って、一体いま御指摘の問題をどう理解するかということだろうと思いますが、先ほど申し上げましたように、確かに納税者の担税力というのはこれは一つの指標でございますし、また、減免規定の中にもそのことは書いておりますが、しかし、そのほかにその地域の実態に応じた公益上の理由というものも、これはやっぱり否定することはできないと思うのでございます。やはりその地域の実態に応じた公益上の理由によって減免することがあることは、法律は当然予想しておると思うんでございます。その具体的な公益上の理由に何が当たるかということは、これは地方税でありますから、各地方団体が具体の実情に応じて判断していただくというのがまず第一義的に考えなければならないことだろうと思います。

 そういう意味合いで、各市町村の、先ほども申し上げました減免の要綱とか、そういうものを見てみますと、同和対策に関する行政措置の一環としてこういう措置をするんだというふうに書いておられるわけでございまして、これはやはりこの規定に基づいてこういう減免が行われておるというふうに私どもも理解をいたしておるわけでございます。

○沓脱タケ子君 その一環としてというふうな表現が地方税法の拡大解釈になるではないか。特に私先ほどから申し上げた点は、同対審答申にも、同特法にもないことを行うというのは、やっぱり非常にこれは審議会でも十分な御検討になった答申ですよね。そういう点では、真の同和対策を推進する点から言っても問題があるんじゃないかと思うんです。だから、関係自治体に対して、税法上に規定している以外の措置というものを拡大してやるという立場をこれは是正するように行政措置を行うべきではないかと思うんですけれど、非常にその辺があいまいなんで、その辺をもう一度伺っておきたいと思う。

(32/38) 次の分割内容へ

○政府委員(森岡敞君) いま申し上げましたように、担税力あるいは公益上の理由というものに応ずる減免規定があるわけでございます。その理由をどういうふうに解釈をし、具体に当てはめて個別の条例措置なり、あるいは減免措置、議会の議決に基づきます減免措置を行うかどうかということは、やっぱりまさしく各地方団体の千差万別の具体的な実情に即して判断されるべき問題でありますので、第一義的にどうこうというわけには私どもとしてはまいらないのではないかと、かように考えておる次第でございます。

○沓脱タケ子君 これは私はもう余り時間がないので、突いたり、押したりしたくないんですが、この先ほどちょっと申し上げた、昭和五十年二月の二十六日に衆議院の地方行政委員会で三谷議員がこの問題について質問をされたときに、当時の首藤さんがこう言っておられるのですね。同和控除とか、そういったことがあるようには考えておりませんと。それからさらに、「個々の納税者の担税力等について特別の事情がある場合に限りまして減免をすることができる旨の規定がございますので、それに基づいて、個々の具体の実情に即して減免措置がとられておる、こういうように私ども理解をしておるわけでございます。したがいまして、同和控除といったようなもので減税措置をやっておるというようには私ども存じてはおりません。」と、こういうふうにそのときにはお答えになっておるんですが、いま局長の御答弁ではちょっと違うんですね。このとおりですか。ちょっと違うんでしょう。その個々の具体の実情に即しての減免措置という内容を、個々の自治体がいろいろな形で条例等をおつくりになっておるんだからというお話ですね。そうすると、この五十年のときの御答弁の状況から見たら後退するのですね。その点はどうですか。だから同和控除というのは、そんな減税措置をやっているというふうには私どもは存じてないって、そのときには明確におっしゃっておられるのですね。

○政府委員(森岡敞君) 前税務局長が申し上げましたのは、いま申し上げましたような尼崎市とかあるいは兵庫県とか具体の例を引いて、こういうことがあるのでどうかと、こういう御質問に対して、事実の調査が行き届いておりませんでしたからそういうふうに申し上げたものと私は考えております。いまお読み上げになりました中でも、担税力その他特別の事情ということを申し上げておるわけでございますので、その他特別の事情というものにこれが該当するかどうかという判断の問題ではないかと、かように思うのであります。

○沓脱タケ子君 そういう話をしていると、なかなか具体的でないもので、言葉のあやになってくるわけですが、いまの御答弁を聞いておりますと、ちょっと後退をしたんじゃないかという感じがするのです。

 次に、いわゆるいま言われておる同和減免の運用についていろいろ意見がちょっと対立しますけれども、仮に百歩譲って、自治体が行っておる同和減免の制度というのは、税法上あるいは税の条例上適法だというふうに仮定をしましょうや。それで仮定の上に立って話を進めるのですけれども、このいわゆる同和減免が、他の同和対策の施策と同じように、多くの自治体では特定団体を経由して、そして特定団体の承認を得た者だけに限定されて税の減免がされておる。つまり窓口一本化と言われている典型なんですがね。この窓口一本化というのは、私ども、自治体が行う場合でも国の施策であっても非常にいま問題だということで、繰り返し是正を要求してきた点はもう御承知のとおりです。これに対して政府も、これは四十八年でしたかね、関係各省の次官通達というのをお出しになって、そしてこの事態の是正の御指導をなさった。

 ところが、その後も大きな変化は余り見られない。むしろ、ある場合には地域が拡大されている。内容もさらに拡大をされているというところがございます。ですから、この同和減免が同和対策として実施されているという場合に、これの適用が特定団体、これを通じる者にしか適用されないというのは、やっぱり行政の公正性あるいは均てん性、この観点から見て問題だという点は、もう従来から一貫して申し上げているとおりであります。

 それがどんなかっこうになって出ているかというのは、これは論議だけではわかりにくいので具体例を出しますが、これ一つは大阪府の実例と大阪市の実例を、非常にはっきり書いてありますので、実例を出していきたいと思いますけれども、大阪府の同和減免要綱というのがあるんですがね、同和関係納税者に対する税務事務特別処理要綱、これ昭和四十三年からずっとやられているわけです。これによりますと、同和減免を適用するものは、課税事務において特別処理を行う納税義務者は、大阪府同和事業促進協議会を通じて申告書または申請書を提出した納税義務者とするというふうに規定しておりますね。これは第二章にそういうふうに規定されています。それから大阪市の方も、「昭和五十二年度にかかる固定資産税における同和対策について」という、これは大阪市財政局長通達、これが各区長に出ている。これによりますと、これは「固定資産税における同和対策について」という文ですが、これによりますと、「対象と対策の内容」というところに、同和地区住民で「社団法人大阪市同和事業促進協議会を通じて申請のあったものについて、固定資産税(都市計画税を含む。)の減免を行う」、それから減免率は、(一)は、「地区内に所在する固定資産年税額の三分の二の額とする。ただし、七十平方メートル以下の土地および家屋については免除する」。(二)は、「地区外に所在する固定資産」「イに掲げるもの以外のもの」、ですから地区内を除くんですね。「当該資産にかかる年税額の区分に応じ、次の表に掲げる率とする」。年税額十万円以下の場合は減免率十分の六、それから十万円を超え三十万以下の場合十分の五、三十万を超え五十万以下の場合は十分の三ということで、手続は、「減免申請書は、市同促を経て、財政局主税部固定資産税課において受け付けるものとする」というふうに言われているわけですけれども、これを見てみますと、三十万を超え五十万以下の固定資産税といったらかなり大きい住宅、住宅にすればかなり大きなりっぱな住宅になりますね。そんな貧しいという、あるいは税の負担能力がないというふうな方だというふうには理解しにくいですね。普通の私ども勤労者が使っているようなマイホームだったら、とてもじゃないけれども年額固定資産税三十万、五十万というのはかかるはずないですからね。それでも固定資産税として都市計画税はちゃんと払っているんで、だから先ほど局長がおっしゃった特別の理由、事情という点で税の負担能力がないという人たちに適用するのを各市町村の事情によって条例をおつくりになってと言われた点は、ちょっと事情が違うと思うんですね。だって固定資産税年間三十万、五十万というのを納めるというような方が本当に担税力がないかどうかわからぬでしょう。私はそんなことないと思いますよ。相当りっぱな資産だと思います。

 大体年間固定資産税五十万の資産というのはどの程度のものですか、ちょっと教えてください。

○政府委員(森岡敞君) 先ほども申し上げたことでございますが、地方税法の減免規定は、担税力をあらわす指標に応じてその担税力を勘案して減免ができるという規定だけではございませんで、特別の事情というものを認めておるわけでございますから、その特別の事情というのは、公益上の事情とかその他の特別の事情が考えられるわけでございます。したがって、担税力だけでこの減免規定を動かさなきゃならないと、こういうことではないということを申し上げたわけでございます。

 で、五十万円の固定資産税ということになりますと、大体資産の価額にいたしまして三千五百万円ぐらいということになろうかと思います。

○沓脱タケ子君 それで、いま私ちょっと同和減免の要綱の二つの事例を示しましたが、この中で出ておりますように、特定団体同和事業促進協議会は同和地区住民のすべての人たちを組織しているものではないというのは、これは御承知だと思うんですね。この事情について総理府はよく御承知だと思いますが、そうですね。全部いわゆる同和地区住民全体を組織しているという団体ではありませんね。

(33/38) 次の分割内容へ

○政府委員(黒川弘君) いまお示しの団体につきましては、大阪府あるいは大阪市が行政の助けにする意味で組織した団体だというふうに理解しておりますが、その団体の構成がどうなっているかについては詳しく存じません。

○沓脱タケ子君 詳しく御存じないんですか。それではやむを得ませんので、私はたまたま大阪だからよく知っておりますけれども、これはすべての住民を組織したものではありません。このいわゆる市同促あるいは府同促と言われておるのは、これは社団法人という形になっておりますが、それのもとの団体というのは部落解放同盟ですね。その団体というのは、大阪における部落住民全体のこれは半分以下ですね。私ども承知しておりますのはもっと少ないですが、皆さんの方では数字をきちんと握っておられるでしょう。地域住民、いわゆる同和地区住民の総計というのは何万で、そのうちでいわゆる部落解放同盟に組織されている人はそれじゃ何万ですか。

○政府委員(黒川弘君) 政府が行いました調査によりまして、各府県に存在する同和地区の数、それから同和地区の住民につきましては数を把握をしておりますが、それらの住民の方々がどういう運動の団体に属しているかについては承知しておりません。

○沓脱タケ子君 これは現在正確に私いま数字を持っておりませんけれども、私どもがかねがね存じておりました数字では、大阪では約二〇%内外が組織をされているというふうに承知をしております。これは一遍御調査、いまおわかりにならないようでしたら御調査の結果を教えてください。

 で、その団体だけが入っているのが大阪市の市同促あるいは大阪府の府同促という形になっているわけですね。だから、そういう特定の団体を通じてだけ税の減免を実施するということになれば、当然、先ほど申し上げた、四十八年度にいわゆる各省の次官通達としてお出しになったあの通達から言うといまだに逸脱しているということになるわけですね。これはどうですか。そういう税の減免の対象をそういういわゆる地域住民全体を組織していない団体、そういう団体を通してだけ扱うというふうなことは行政の公平性、均てん性から言って問題ではありませんか。これは税務局長どうです。

○政府委員(森岡敞君) 行政が公平に行われなければならないということは、これはもう御指摘のとおりでございます。そのようなことから、御指摘の中にございましたように、四十八年五月十七日に関係事務次官通達においてその点明らかにして指導しておるわけでございます。ただ、その個々の地方団体におきまして、行政がいろんな種類の行政がありますけれども、それが公平に行われているかどうかはやはり当該地方団体自身がまず判断すべき問題ではなかろうかと私どもとしては考えるわけでございます。いまお話しの、大阪府同和促進事業協議会を通じてこの減免をする場合の事務が行われておるということが公平かどうかということにつきましては、大阪府としてその実態に応じて、適切妥当であるという判断に立って行われておられるんだろうと、私どもとしては思うわけでございますので、その限りにおいて、当方といたしまして恐らくその判断にゆだねるべき問題だというふうに考えておる次第でございます。

○沓脱タケ子君 行政局長の御見解どうですか。

○政府委員(近藤隆之君) ただいま税務局長がお答え申し上げましたとおり、同和行政につきましては、特にその公正な執行ということが期待されておるところでございまして、そのために先ほど来お話しになっておるところの六省事務次官の共同通達というようなことになったわけでございます。各地方団体はこの趣旨を受けまして、それぞれの同和行政を推進しておるわけでございますが、全国の実態は千差万別でございますので、それぞれの地域において最も適当なやり方でその同和行政を推進するということだろうと思います。大阪府市のいま実例がございましたが、その団体の構成その他私どもよく存じませんけれども、それと連携をとってやることが大阪府市にとっては最も公正な行政だということで大阪府市がやっておるのであろうと推測するわけでございます。

○沓脱タケ子君 その問題、もうちょっと具体的な問題を出さないとまた論争にだけなりますので、具体的にちょっと聞いていきますが、最初にちょっと財政局にお聞きしたいんですが、こういういわゆる窓口一本化というのが税の減免にまでやられているんですが、こういう減免によって起こってくる市町村の財政負担について、自治省として特別措置を行っておられますね。それをちょっとお聞きしたい。

○政府委員(山本悟君) ただいまもお話しになっておられます事項についての減免に関しましては、固定資産税の減免を行っております市町村に対しまして、減収分にかかります基準税額の二分の一相当額につきまして特別交付税の積算の基本にしております。先ほどおっしゃいました十一億何がしという金額そのところを基礎にいたしまして、その七五%の二分の一というと約四億二千万ぐらいになりますか、これを五十二年度特別交付税の積算基礎に算入いたしております。

○沓脱タケ子君 そうしますと、特別交付税で市町村のいわゆる欠損分ですか、これを補てんしておられますね。いま先ほど言われた固定資産税の減免の十一億二千万に対しては四億二千万を補てんされた、こういうことですね。自治省としては、そうすると市町村がこれは同和減免というのは独自に実施している措置だと、地方税法のその他のという後段の規定に基づいて独自に実施している措置だとおっしゃりながら、片方では財政負担については特別交付税の措置という形でお認めになっていると、こういうふうに理解をすればいいんですね。

○政府委員(山本悟君) 御案内のとおり、固定資産税というのは当該市町村の税目といたしましては基幹的な税目でございますし、個々の団体がいろいろな事情によりまして減免せざるを得ないというような場合におきましても、一定の額を、率によって計算した額なりを特別交付税で、やはり収入減になることは事実でございますから、それを見ざるを得ない、やはり財政的な影響があるという意味で見ざるを得ないという観点から算入いたしているわけでございます。

○沓脱タケ子君 その運用は、先ほど私申し上げたように、特定の団体を通さないとやってくれない、やってもらえない。実例をちょっと申し上げますと、特定団体を通じないと減免申請というのは受けられないということになっていますからね。どういうことが起こるかというと、これは五十年八月の池田市の古江というところで、谷畑いちよさんという方と神谷平次郎さんという方が不動産取得税を大阪府の総務部に減免申請をしたのです。これは受理をされなくて申請は却下されています。これは調査をしておいてください言うたけれども、確認しておられますか。

○政府委員(森岡敞君) お話しのように、大阪府同和事業促進協議会を通じて申請してほしいということで返却をいたしております。

(34/38) 次の分割内容へ

○沓脱タケ子君 それは、その団体に提出をしたけれども受け取ってもらえなかったので、直接大阪府に減免申請を持っていったのです。だから、その団体に所属をしていない人の場合にはその団体には受け取ってもらえないわけです。ところが、先ほどの要綱には、その団体を経由したものだけを処理すると、処置するというふうに書いてあったでしょう、私先ほど申し上げたように。だから、同じ地域住民いわゆる同和地域の住民であっても、その団体が受け取らない人については、せっかくの恩典があっても、この恩典がいい悪いはちょっと話別ですが、同じ行政の効果というのは期待できない、こういうことになっているわけです。これが先ほどの次官通達から言ったらぐあい悪いじゃないか。

 私、もう時間がありませんから端的に言ますが、片方ではこういういわゆる地方税法の拡大解釈というかっこうになり、総理府でもおっしゃっておられるように、同対審答申にも同特法にも税の減免等についての措置を行えというのが一言半句もない、そういう中で、地方税法のいわゆる拡大解釈という形で、市町村がそれぞれの事情でやっておられますからということでお認めになり、しかもそのやり方が、所属団体のいかんによって同じように行政の効果を受けられない、こういう不公正なやり方がやられている。そういう好き勝手なやり方をやっているところへ、さらに自治省は、いわゆる市町村が負担をこうむるということで特別交付税を交付されている、こういうことになるわけですね。非常に理解をしにくいわけですが、かっこうはそうなっている。つまり形から言ったら、地方自治体の同和減免を自治省が特別交付税で補償するということになるわけですから、地方自治体は政府の公認の同和施設ということで受け取ります、損害ができたら穴埋めしてくれるのだから。これでは自治体としてはまともに見直しをし、是正をするというふうなことにはなかなかならぬです。しかも、いわゆる窓口一本化ということで所属団体によってその要綱の恩典も受けられない、こういう不公正なやり方をしているわけですが、こういう不明確な、不明朗なところへ、五十二年度は四億二千万という特交の支出をやっておられるわけですが、非常に理解に苦しみます。
 そこで、最初にちょっとこういう状態というのは――会計検査院来ておられますか、どんなふうに考えられますか。

○説明員(前田泰男君) ただいま先生のお話承っておったわけでございまするけれども、会計検査院といたしましては、市町村民税あるいは固定資産税、都道府県民税といったような、こういったものの徴収のやり方、あるいはその結果、そういったものにつきましていままで検査は一遍もやったことがございません。したがいまして、これが、交付税でもって後で埋めるという話を聞きますときに、一応われわれといたしましては、この税の減免なり何かは法律の規定に適正に従って行われたものであろうという類推のもとに、そういうものに対して交付税を出さなければならないという必要性があるのであればやむを得なかろうと、このように考えておったわけでございます。

○沓脱タケ子君 それ、会計検査院おかしいじゃないですか。必要があろうと理解をしておりましてというような話じゃないでしょう。さっき言ったように、まず第一に根拠法である同対審答申、同特法には税の減免をやれということはないといって総理府は明確に言っておられる。そういう中で地方税法の中の減免規定の後段の特別の事由というところの拡大解釈をやって、地方自治体がそれぞれに条例や要綱をつくって実施をしている。しかも、そのやり方はいわゆる窓口一本化で、所属団体等によって差別が起こっている。そういうかっこうでやられて、穴のあいたところを特別交付税という形で穴埋めをするという、こういう税の使い方というのは疑問ではありませんか。そんなことに疑問も感じないんだったら、それはあなた会計検査院一体何検査します。おかしいじゃないですか。

○説明員(前田泰男君) 私、ただいま先生のおっしゃいましたことがそのとおりであるかどうか、われわれとしては検査いたしました結果をもって判断するわけでございまするけれども、それについて、そういう検査はわれわれは一回もやったことがないわけでございます。むろん、こういうことを検査するのが適切であるということであればいたしますけれども、現在までのところは、こういったような地方自治体そのものの行政運営というものにつきまして、国の会計監査をやりますところの会計検査院がこれに入っていくということは、地方自治の本質上どうであろうかという御意見がかなり強い。それから、別に地方自治法上、監査委員という特別の監査制度を持っておられるわけでございます。したがいまして、われわれとしてはそういう検査をしたことがないわけでございまして、実情がどうであるかということが全然われわれにはわからないと、こう申し上げたわけでございます。

○沓脱タケ子君 私は地方税を調査しなさいと言っているんじゃない。特別交付税をこういうかっこうで五十二年度は四億二千万支出したと言っているんでしょう。その間に疑問があるから、調査をしたことがないんなら調査をしてみなさいよ。そのことを言っているんです。調査をしたことないんだったら、調査をしていただいたら結構だと思う。そのことのお答えと、最後に加藤大臣の御見解を伺っておきたい。

○説明員(前田泰男君) 自治省が何億でございましたか、ちょっと計数はつまびらかにいたしませんが、それだけお出しになったということは調べるわけでございます。これは普通交付税の場合でもずっとわれわれは調べております。ただ、たとえば道路の面積に従いまして普通交付税で道路費を払う。その場合に道路台帳というものがございまして、その台帳に従いまして、少なくとも申請の際に意識的に申請をごまかしたのではないかと、ここまでわれわれは調査いたします。しかし、道路台帳の内容が絶対正しいかどうか、ここまではいままでは検査すべきでないと考えて検査いたしておらない。したがいまして、自治省の方で何億お出しになったという場合に、自治省の方の書類をずっと見せていただきまして、それで妥当と認めればそれ以上の検査はしない。これ以上の検査をするということは、われわれにとっても物理的に全く不可能でございます。

○国務大臣(加藤武徳君) ただいまの質疑応答を伺っておりまして、自治省といたしましては地方団体の自主性を尊重する。そこで一般的な指導助言等はいたしますけれども、個々の市町村行政につきましては介入はいたさないと、かようなたてまえを持っておりますがゆえに、答弁も隔靴掻痒の感がいたしますような、さような受け取り方をなすった点があるといたしますならば、理由はさようなことだと、かように御理解をいただきたいと思うのでございます。

 そこで、地方団体におきましては、減免規定が法制上ありまする場合には、その規定に基づきまして処置をとってまいっておるのでございますけれども、しかし、それにはそれなりの理由がなければならぬことは申すまでもないことでございまして、したがって、同和減税なるものもそれなりの理由はありとして地方団体がいたしておるのでございますから、そのことのよしあしにつきましては、自治省といたしましては個別の介入になり、極力避けなければならぬと、かような感じを基本に持っておりますがゆえに先ほど来の答弁がなされたと、かように私は聞いてまいっておりましたようなところでございます。

 が、しかし、行政は公平でなければならぬことは申すまでもないことでございまして、こういう観点から、昭和四十八年に六省が協議をいたしまして事務次官通達がなされておるのでありますから、この線に沿いまして公平な行政、そうして均てんした行政、このことを私ども強く期待をいたしておるところであります。


神谷信之助
087回-参-予算委員会第二分科会-03号 1979/03/30
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○神谷信之助君 これはひとつ汚職腐敗の防止策の一つとしてせっかく検討していただきたいというように思います。

 次の問題に移っていきたいというように思うんです。

 それは大阪国税局長と解同中央本部及び大企連との確認事項の問題です。

 私は、納税の義務は憲法に定められているところの、すべての国民に課せられた義務でありますが、これは課税の公平を前提としなければならぬというように思うのです。ところが、現状では必ずしも課税が公平に行われていない。その一つの問題として、解放同盟あるいは東京都同和企業連合会、略称東企連と言いますが、あるいは大阪府同和地区企業連合会、略称大企連等に加盟をする者あるいは加入者に対する課税問題があるわけです。

 そこでお尋ねいたしますが、大企連等は、昭和四十三年一月三十日以降大阪国税局長と解同中央本部及び大企連との確認事項なるいわゆる七項目確認事項、これを発表しております。この問題はしばしば国会でも取り上げられておりますから御存じだと思うのですが、同時にまた、東企連等は、昭和四十六年十二月十四日東京国税局と解同関東ブロック及び東企連との確認事項なるいわゆる八項目確認事項、これを発表しております。

 最初の質問は、国税庁はこれを確認事項としてお認めになっているのかどうか、この点をお伺いしたいと思います。

(12/17) 次の分割内容へ

○政府委員(米山武政君) 同和問題は御承知のようになかなかむずかしい問題でございまして、四十年に出されました同対審の答申にも、やはり社会的経済的いろいろむずかしい問題がある、したがって、現在のこの同和問題というのは解決には早急な解決が要る、これは国の責務であるし、また同時に国民的課題でもあると、こういうふうに述べられているわけでございまして、私どももこの趣旨を十分くみまして、この同和関係の問題につきましてはきめ細かい配慮をしているわけでございます。

 いま委員おっしゃられましたこの大阪国税局長と解同中央本部及び大企連との確認事項というものも、これは確認事項と言われておるものがあります。ただ、これは私どもはいま申しましたような趣旨で、同和関係の方の要請とか陳情とかそういうものを受けとめましていまの趣旨に基づきましてきめ細かくやっていきたい、こういうふうに考えているわけでございます。この確認事項と申しますのは、いま申しましたようなその要請とか陳情というものを整理したものでございまして、これにつきまして私どもはこれを実行するとかそういう約束をしたものではございません。これは整理したものでございます。

○神谷信之助君 もう一度確認しますが、確認しているものでもなければ約束したものでもないというように理解していいんですね。それでいいですね。

○政府委員(米山武政君) 私どもはこれは、これを確認したものでも、これについてこれは約束事項としてこのまま実行すると、こういうことを相手に約束したこともございませんので。

○神谷信之助君 私はそれは当然だと思うんですよね。この七項目あるいは八項目の内容というのは、これは課税の公平あるいは課税の法律主義といいますか、これから言っても内容自身そう約束できるものでもなければ確認できるものでもないというようなものです。たとえば第二項には、「同和対策控除の必要性を認め、租税特別措置法の法制化に努める。その間の処置として、局長権限による内部通達によってそれにあてる。」と、これは税法で定めていない同和対策控除なるものを事実上認めるということになりますから、この租税法律主義を否定するものだということになります。

 それから第三項は、「企業連が指導し、企業連を窓口として提出される白、青色をとわず自主申告については全面的にこれを認める。ただし内容調査の必要ある場合には企業連を通じ企業連と協力して調査にあたる。」と、これは言葉をかえて言いますと、企業連加入者の申告についてはすべてこれを認めよと、申告是認の扱いをせよと、修正申告とか更正決定等の必要がある場合には企業連と協力してやると、企業連の協力がなければ調査はするなということになるわけで、これは特定の団体、個人に対する優遇措置で、大蔵省当局が公平かつ公正なものとしている税法をみずから否定をするということになる内容だと思うんです。

 第四項は、「同和事業については課税対象としない。」と、これも第三項と同じく公平税制をみずから不公平な税制にするというのに等しい内容だと思います。

 さらに第五項は、「国税局に同和対策室を設置する。出来るまでの措置として担当は総務部長、窓口は総務課長とする。」ということで、これも五十年三月のわが党の東中議員が質問して指摘したように、大蔵省の組織規程から見ても問題があるというように思うんです。

 それから第六項は、「国税部内全職員に対し、同和問題研修会を行う。この際、講師については府同室及び解放同盟と相談して行う。」これは、全体の奉仕者であって公平な行政を進めるべき公務員に特定の思想を押しつけるようになり、大問題だと私は思います。

 このように考えるんですが、ところが相手の方は確認事項だと言って現行の税務体系全体を覆し、あるいは租税法律主義を否定するようなことになるのをじゃんじゃん宣伝をしているわけですね、そういうように言っています。これそのままにしておいていいのかどうか、この点いかがですか。長官は来ていないのね。

○政府委員(米山武政君) ただいま申しましたように、この確認事項といわれるものは、解放同盟の方々が要望され、その事項を整理したものと、こういうふうに私どもは理解しておりまして、これに対して双方で文書を交換したとか署名押印したというようなものではございません。ただ、この内容につきましては、先ほど申しましたように、やはりこの同和問題というのは非常に深刻な重大な社会問題であるし、この問題についてはやはりこの解決は国の責務でもあり、また国民的課題である、こういう認識を私どもとしては深く持っているわけでございます。したがいましてもちろん税法の範囲内におきましてできるだけその方向でその実情を深く理解し、できるだけ要望に沿うように税法の許す範囲内で助力すると、こういうつもりで運用しているわけでございます。

○神谷信之助君 その歴史的にも長い間そういういわれなき差別のために苦しんでこられた方々が未解放部落の方々ですよ。それを差別をなくするために、だからといっていわゆる大企連なり東企連に加盟している人々、しかもその加盟している人がすべてがすべて未解放部落の出身者かどうかというのは明確でないわけです。国税当局も御存じないし税務署も知りません。そうでない人もおられる場合もある。それに対して差別をなくするためには一定の配慮をしなきゃならぬ、一定の配慮をするということはどういうことかと言うと、税金をまけてやるということ、あるいは申告税を認めてやるということ、そういうことではかえって私は、差別をますます助長することになるんですよしだから、国民として当然払うべき税金は払うと、それから軽減すべきものは軽減すると、こういうのをやっぱり厳正にやるというのがあたりまえであって、いままでの、部落の人だからといって特別にその人の言い分を聞かないとかどうとかいうのは間違いだけれども、当然課税すべきものは課税するのはあたりまえなんだから、私はそういうように思うんですが、何か配慮せにゃいかぬ配慮せにゃいかぬと言って、実際にはこの項目が実際に行われておるというようなことをいまの言葉の端々にうかがうんですけれども、その点はどうですか。

○政府委員(米山武政君) 昭和四十五年二月十日に国税庁長官通達がありまして、同和地区納税者に対しましては、今後とも実情に即した課税を行うように配慮すること、こういう通達を出しております。この趣旨は、やはり同和問題というのは先ほど申しましたように非常にむずかしい問題であるし、また同和地区というのはいろいろの特別の問題がある、そういうことをよく頭に置いてきめ細かい配慮をしていけ、こういうことでございまして、もちろん税法の定める範囲内であるということは、これは当然であると思います。

○神谷信之助君 それではお尋ねしますが、昨年の十二月二十二日に大阪国税局で管内の総務課長あるいは総務課長補佐の会議が開かれたと思いますが、それは事実でしょうか。

○政府委員(米山武政君) 五十三年十二月二十二日に総務課長会議とその総務課長補佐を集めた会議を行っております。

○神谷信之助君 で、その会議は五十三年の確定申告を前にした重要な会議だったと思いますが、どういうような目的でどのような内容の会議だったのか、主要な点だけでいいですから、簡単に御説明いただきたいと思います。

○政府委員(米山武政君) これは例年二回開催する定例の会議でございまして、総務関係の事務についての連絡調整を行うということを目的とする会議でございまして、特に特別の問題だけを重点に扱った会議ではございません。

○神谷信之助君 同和問題も出たんじゃないですか。

○政府委員(米山武政君) 議題には同和問題は入っておりません。ただ、局長、総務部長の訓示等におきまして、特に大阪国税局管内は非常にそういう問題が重要な問題、ウエートを占めておりますので、一般的な訓示の中に触れている程度でございます。

(13/17) 次の分割内容へ

○神谷信之助君 その会議の内容の一部を記したメモのコピーを私は持っているんですが、それによりますと、総務部長が冒頭、職場管理、職場のかなめとして第一線の意見を聞かせてもらいたいということで始めて、提起を幾つかの問題なさいました。その一つとして、同和問題が取り上げられています。それは、総務部長は同和関係の課税については七項目ルールに従って取り扱っていくと述べているんです。メモにも七項目、そう書いているんです。さらに、総務課長は窓口として論議を起こさないように、そういう指示もしています。ですから、先ほどからこの確認事項は、確認もしておらなければ約束をもしておらないんだと、そうして同和問題のそういうむずかしい状況をよく考えて実情に即した課税を行うように配慮ぜいというので、特別な扱いを別にするわけではありませんというようにおっしゃっているけれども、現実の正規の会議では総務部長の方からは七項目ルールに従って取り扱っていくと、総務課長は窓口なんだと、論議にならぬように、問題起こさぬようにうまくやれという指示をなさっているんですよ。そうしますと、現実には七項目が職場で生きているということになるわけでしょう、いかがですか。

○政府委員(米山武政君) 先ほど申し上げましたように、七項目というのは私どもがこれを実行することを約束したことはございません。ただ、やはり同和問題というのは非常に重要な問題であり、取り扱いにいろいろ慎重を期さなきゃいけない、こういう問題でありますので、そういったことを、七項目という要請があるということを頭に置いてこの問題に取り組むようにと、こういう趣旨を申したものだと思います。七項目をそのまま実施するように指示したというようなものではありません。

○神谷信之助君 七項目ルールに従って取り扱っていくようにというんです、ルールです。もうルール化されているんですよ。

○政府委員(米山武政君) 七項目を実施するというルールがあるとは私ども聞いておりません。総務部長がそのときにどういう言葉を使ったか私ども細かな、要旨しか私どもは連絡を受けておりませんので、具体的にどういう言葉を使ったかわかりませんが、国税庁、国税局、税務署がこの問題に取り組むに当たりましては、先ほどからるる申しておりますように、やはり同和問題というのは非常にむずかしい微妙な問題であるから、よく納税者の要望というのは頭に置いてやるようにと、こういう趣旨のことを常々申してあるわけでございます。七項目ルールをやれと、こういうふうな指示をしたことは一度もございません。

○神谷信之助君 これはなんでしょう、大企連で全部申告集めて持っていくんでしょう、一括して。

○政府委員(米山武政君) 現状は全部かどうかわかりませんが、相当数の物を国税局の方にまとめて出してくるのが現状でございます。

○神谷信之助君 ですから、そういうやり方で特別な扱いをして配慮しなさいということで、結局は全部そのまま認めるというような状況が生まれているというのがいまだに続いているというのが私どもの調査をした内容です。

 で、そこでいま総務部長がどう言ったのかという点も調査を直ちにしてもらって納得いく説明をしてもらいたいし、それほどまでにおっしゃるならば、これは確認事項、一方的に確認をしたんだ、したんだと言っているわけですから、そういう確認事項を確認もしていないし約束もしておらないとおっしゃるならばはっきりそのことをおっしゃって、そうしてそのことを取り消すと、確認事項でも、確認もしていないのに確認事項とおっしゃるのは困るということをはっきりすべきだと思うんですけれども、いかがですか。

○政府委員(米山武政君) 先ほど申しましたように、やはり非常に重要な問題であり、早急にこういう問題についてこういう事態が解消することが望ましいということでございますので、私どもとしましてはこういう納税者の言い分というのはよく聞きまして、税法の認める範囲内でできるだけのきめ細かい配慮をしていくと、こういうことでございまして、向こう側が要請したものをこれを取り下げろとかなんとかというのは適当ではないと思います。

○神谷信之助君 大臣、これやっぱり不明朗なんですよ、確認もしてない、約束もしてないと言いながら、向こうは確認事項だ、確認しちゃったんだと、こう言っている。そして申告は実際一括して国税局へ持っていく、そして特別扱いをする。七項目ルール、先ほど読み上げましたようにもうまさに税法もくそもなしですよ。そういう同和の特別控除も、法制化されていないのにもかかわらずそれをちゃんとやりなさいと、ちゃんと認めると、全面的にとにかく申告したやつは文句言うなということまで確認事項の中に入っている。それを、いやそんな確認もしていない、約束もしていないと言いながら、それは公表もしなければ相手に対して取り消しも要求しない。そうすると一般の国民は、税務署というのはやっぱりああいう力の強いところ、暴力的なところにはもうふるえ上がって何にもよう手つけぬのかと、私ら小さいところばっかりぎゃあぎゃあ言うと、こうなるんですよ。実際なっているんだよ。最近の大企業なんかの使途不明金の問題と同じで、私はこれははっきりさせなきゃいかぬと思うんですよ。この点ひとつ大臣のちょっと見解をお聞きしておきたいと思うんです。

○国務大臣(金子一平君) 次長の申し上げているようなことで今日まで推移しておると思うんでありますが、そのポイントは御承知のとおりの実態でございますので、実情に即するような課税をということでいままでやってきたと思うんでございますが、いろいろ御指摘の点もありますし、十分これから検討させます。


三谷秀治
087回-衆-決算委員会-12号 1979/05/09
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加藤委員長 三谷秀治君。

三谷委員 時間が短いですからごく簡明に御答弁いただきたいと思うのです。

 そこで一つは、同和関係企業連の年間における減税の件数はどれぐらいになっておりますか。それから、減税の金額はどの程度になっておりますか。これをまずお聞きしたいと思うのです。

米山政府委員 私ども、いま御質問がございました大企連関係の課税の実績あるいは減税と申されたのはその趣旨がよくわかりませんが、そうしたものについて統計的に把握しておりません。

三谷委員 そうしますと、どの程度の範囲で減免が行われておるか、それは全然御承知ないわけですか。

米山政府委員 大企連関係の個人あるいは法人の課税状況でございますが、ただいま先生おっしゃられましたどの程度減免がなされておるかというようなことでございますが、これにつきましては特別に法律に基づくもの以外の減免というものは私どもは何も行っておりません。

三谷委員 いま大企連とおっしゃったが、大企連だけではない、東企連もある。そのほか全国にこれは敷衍されております。

 そこで、これは現実の事態を見ますと、三〇%減免というものが一般的に行われておるということになっております。

    〔委員長退席、原(茂)委員長代理着席〕

これは関係団体の報告書などにも出ておりますし、社会的な認識になっておるわけでありますが、これは国税庁は御承知ないわけでしょうか。

(20/25) 次の分割内容へ

米山政府委員 同和地区関係者に対する課税につきましては、四十五年に国税庁長官通達がありまして、同和問題の歴史的に形成された経済的、社会的ないろいろな困難な問題があるので、同対審の答申等の趣旨にかんがみまして、実情に即した課税を行う、こういうことでございまして、この通達の線に沿って私どもは課税を行っておりますが、いま委員の御質問にありましたように一律三〇%控除というような事実はございません。

三谷委員 国税庁の長官の通達が出ておりますが、この通達の意味はどういうことなんでしょう。「今後とも実情に則した課税を行なうよう配意する」となっておりますが、一般には実情に即した課税を行っていないということなんでしょうか。具体にはこれはどういう意味なんですか。

米山政府委員 税務当局が課税を行うに当たりましては法令に基づきまして課税するわけでございますが、個々の法令の適用に当たりまして実情をよく把握してその実情に即して課税する、これが大原則でございまして、すべての納税者にそういう態度で税務当局は臨んでおるわけでございます。

 特に長官通達を出されたゆえんは、当時長年議論されましたその結果、四十年に同対審の答申が出まして、同和問題の困難性、特殊性、そういうものからこの問題の解決は国の責務であり、また国民的課題である、こういうふうな答申が出ております。また四十五年にはこのための特別の法律も制定されたわけでございます。それを契機にこの同和問題の意味をよく職員に徹底させるとともに、とりわけそういうむずかしい問題であるから、その意味できめの細かい実情に即した課税を行うようにと特に明示したわけでございまして、その趣旨というのは、実情に即して課税するというのは、他の中小企業、他の納税者と何ら変わるものではございません。

三谷委員 一般的な原則を改めて通達として出すというのは一体どういうことなんですか。ここにつまりトリックがあるわけなんです。この通達というものは徴税の原則であって、事新しく通達など出す必要はないものだ。それをこういうものを出して、そして表面的には一定の敏腕を試みながら実態においては一律減免などが行われてきておるというところに問題があるわけです。

 そこで、あなたは同対審の問題などとおっしゃいましたね。その問題は私の専門でありますが、同対審の答申というのは審議会ないし委員会などの答申にすぎないものであって、それを行政行為に移す場合に実定法が要るのでしょう。その実定法は何を根拠にしておやりになっているのですか。

米山政府委員 同対審の答申が出されたこと、あるいは同和対策のための特別の法律が出されたこと、これを契機に、われわれとしては同和問題の認識を深めて、実情に即するような課税を行うように、こういうことでございまして、それを機に出した、こういうことでございます。

 それからもう一つ、特に実情に即した課税を行うのは一般のどの納税者に対しても同じでございますが、同和地区には特別な経済的、社会的ないろいろな問題がある。たとえば譲渡所得の計算一つとりましても、そのためにいろいろ他の地区に見られないような経費がかかったり、あるいは金利の場合でもなかなか高い金利で借りたり、あるいは売る場合の手数料等も他の場合よりはよけい取られるといったようないろいろな他の地区と違ったような実情もございますので、そうした問題もよく頭に置いてやるように、こういう趣旨でございます。

三谷委員 いまおっしゃいましたことでありますが、そういういろいろな格別な事情などというものが税の算定に影響するという場合には、その実情に基づいてやっていくべきものであって、それはあながち同和控除という問題にはなってこない。ただし、同和控除が必要でありますならば実定法を当然おつくりになるべきだ。そのことを団体も要求している。同和対策租税特別措置法というものが要求されているわけです。税というものが法律主義に立ちます限りは、当然そういう措置をとります場合、必要がある場合には法律をつぐっていくというのが本来の姿であって、法律もつくらないままで恣意的にこういう通達を出して、しかも大阪だけでも四千五百件というものがこの減免の対象になってきている。これは団体の報告書によりますと三〇%減免、そういう状況になっておるわけでありますが、そういうことが税の公正の面から見て妥当でしょうか。

 あわせてお尋ねしますが、私はこの間参議院の予算の分科会のあなたの御答弁を見まして大変危惧の念を持ったわけでありますが、いわゆる七項目の協定書というのがあるわけであります。この協定書については国税庁の方は全く関知していない、認めていない、そういう要望があっただけだとこうおっしゃっている。ところが、この七項目というものは全部実現されているじゃないですか。神谷委員が質問しましたのは、そういう確約事項があったかなかったかということよりも、それが実際に実施されているかどうかということが問題なんです。あなたはそういうことを確約していないとおっしゃっている。単に要望を整理しただけだとおっしゃっている。ところが、実際の措置を見ますと、この七項目は全部実行されている。そういう状態でありながら、これは確認したものではないとか、あるいは相手方の要望にすぎないとか、そういう全く奇怪な遁辞を設けていらっしゃる。大変姿勢に公正性が足りない。七項目で実施されていない項目がありますか。あれば説明してください。

    〔原(茂)委員長代理退席、委員長着席〕

米山政府委員 御質問の第一点でございますが、三〇%の一律同和控除があるような御質問でございます。私どもは同和控除というものは認めておりませんし、まして各申告から経費として一律三〇%見ているということはいたしておりません。先ほど申しましたように、その地区の実情、諸慣習等のいろいろの特殊事情があるので、その実情をきめ細かく配慮するように、こういう趣旨で課税を行っているわけでございます。

 それから、第二の点でございますが、いわゆる七項目の確認事項、四十三年の問題だと思いますが、これは当時いろいろ問題がございまして、解放同盟の方々からいろいろ陳情なり要望がございまして、それを国税局サイドが十分意見をお聞きしたことがございます。その際、解放同盟の方々がそのときのいろいろの要望を取りまとめたものがありまして、これについてわれわれがそれを確認し文書を交換し合ってこれを全部実行するというふうな約束をしたものではございません。あくまでこれは相手側が要望を取りまとめたものでございます。

(21/25) 次の分割内容へ

三谷委員 相手方が取りまとめたとおっしゃいますけれども、この確認事項はいまの税務行政の中に全部実現しているのじゃないですか。

 一つ目は別です。これは措置法の立法化でありますから何も税務当局の関係ではありませんが、その次の「同和対策控除」、それから立法化をするまでの間の処置として「局長権限による内部通達によってそれにあてる。」現に内部通達も出ている。そしていまだこれは法制化ができておりませんから、その内部通達によりまして三〇%減免というものが実際にやられておるという社会的な認識になっている。

 それからその次の、窓口の問題がありますが、これも青、白を問わず自主申告について全面的に認める、国税局に特別窓口を設けまして、いわゆる金ラベル案件という扱いがなされている。これが三つ目の案件。

 四つ目は、同和事業については課税対象としない。これも実行されておるそうであります。

 五つ目が窓口の問題でありますが、これは三つ目の問題を実施しますための方法として、五つ目の窓口を設ける、いわゆる金ラベル案件であります。

 それから六つ目は、これもこのとおり実際に実施されておる。ただし、この問題につきましてこれ自体が税に関係するわけじゃありませんが、実施されておることは間違いない。

 七つ目も実施されておるというふうに団体側から聞いております。

 そうしますと、あなたは、この七項目の確認事項というのは相手側の要望であって何ら国税庁が確認したものではないとおっしゃいます。しかし、実際にはそれが全部現実の行政手段として施行されてきておるということが問題であって、だから、あなた方は約束したものではない、相手側の希望だとおっしゃいますが、希望が全部実現してきているという問題なんです。そこに確認の蓋然性がはっきり出てきているわけだ。そういうごまかし的な答弁や処置ではだめだということを言っているわけだ。

 どうです。これが実現してないとおっしゃるのですか。

米山政府委員 このいわゆる確認事項なるものは、私どもは、あくまで要望事項を取りまとめたものだ、こういう認識は変わっておりません。またそういう態度でこの問題には臨んでおるわけです。

 ただ、先ほど申しましたように同和問題は非常にむずかしい問題でありますし、できるだけその地区の納税者の実情に合った課税をする、こういうわれわれの基本的態度に基づきまして、要望の中でもできるものは実行していく。これはいかなる要望に対しても同じでございます。ただ、税法の許す範囲におきましてできるものを実行していく、こういうことでございます。たとえば窓口をつくっていろいろの実情を聞いたりするとか、あるいは必要な研修を行う、こういうことは私どもとして行うのは当然のことだと思ってやっておるわけでございますが、いま委員のお話にありましたように、特別の同和控除を認めろ、こういうものに対してそれを認めているとか、あるいは企業連が指導してその窓口を通じて出されたものについては全面的に認めることにしているとか、あるいは同和事業について課税対象にしないとか、こういう問題につきましては、われわれは現在の税法に照らしましてできないものはできないということで処理しているわけでございまして、現在でもこの窓口を通じて出されたものについて修正申告をとるなり、あるいは更正決定を打った例は幾らもございます。

三谷委員 いまいろいろおっしゃっておりますが、おっしゃっていることを突き詰めていきますと、結局は一般的に扱っていくべき税の徴収に係る基本原則というものをここで強調しながら、しかも一方におきましては、大変むずかしい問題であって答申がある、こういう事情をおっしゃっている。そして特殊性をそこで強調されておる。そういう特殊性を一方において強調しながら、七項目の確認事項につきましても、やっていないものもある、こういうことをおっしゃっておる。ですから、おっしゃっていますことが首尾一貫していないのだ。大変欺瞞的なといいますか、問題をすりかえるような態度が絶えず一貫して見られます。

 それでお尋ねしますけれども、これについて大臣の見解もお尋ねしたいわけでありますが、法制上存在しない減税はできないことは当然のことなんです。しかし、存在しない、存在しないと言いながら特殊性を盛んに強調されておる。そして特別な窓口もできているわけです。いわゆる相談に乗って納税者の意思を十分にそんたくするという問題は一般的な問題であって、何も同和問題だけに限ったわけじゃない。ところがそれを盛んに強調される。そしてそれは特別な扱いはないとおっしゃっている。そこの論理が非常にあいまいなんです。そして実際の処置と変わっている。

 一体何ぼぐらいの減免件数を国税庁は御承知になっていますか。

米山政府委員 いまの御質問でございますが、私どもが特別扱いをしないと言いながら実は特殊性を強調して特別扱いをしているじゃないか、こういうふうな趣旨だと思います。やはり非常に特殊な問題でございますので、きめ細かくその実態に応じた取り扱いをする、しかしそれはあくまで税法の許容される範囲、税法に定められた範囲におきまして、よくその地域の実情を反映させるような課税を行う、こういうことで、その点については私は矛盾はないのじゃないかと思っています。

 それから、いま幾ら減税しているか、こういう意味でございますが、特別の控除、あるいは特別一律控除等はしていないものでございますので、そういう特別の減税というものはあり得ないと思っております。

三谷委員 金ラベル案件についての特別な減免はない、こういうことなんでしょうか。

米山政府委員 いまの金ラベル案件という特別の案件があるような御質問でございますが、これは特別なものではございませんで、同和関係の申告が出てきますと、なかなかむずかしい問題でありますので、こういうものをよく実情のわかったベテランに取り扱わせるという意味で、税務署がいろいろの区分の方法として、黄色いラベルを張ったりいろいろその他の方法をやっているわけでございまして、何か特別なそういう案件というものはございません。

 したがいまして、いまそういう黄色いラベルを張りましてベテランが調査をするわけでございますが、その調査に当たりましても、先ほどからお答え申し上げておりますように、やはり税法の許す範囲内でよく実情に即した課税を行っている、こういうふうに理解しております。

(22/25) 次の分割内容へ

三谷委員 いまおっしゃいました説明というものは実態とかなり遊離しております。私どもが税務署の内部の方の話を聞きましても、それから団体の報告書、総会議案などを見ましても、あなたのおっしゃいますのとは大変違っている。ただ、われわれは税務の担当者じゃありませんから、それは一つ一つ具体の指摘はできません。ただ、大きな利益を上げながら税金が大変安いという事例につきましては、幾つかを握っております。しかし、これをいま申し上げる時間がありません。

 それは税金というものは所得に対する課税でありますから、旧身分に対する制度ではないわけであって、旧身分のいかんにかかわらず所得のいい方には税がかかる、そうして一般地区住民でありましても所得の低い人に対してはそれ相応の処置があり得るものだ。そういうものであってこそ初めて同和問題というものが国民的な理解の中で解決できるものであって、あなた方のお話を聞いておりますと、どうも何か非常にむずかしい特殊な事情があるようにおっしゃっておりますが、そういうものはありません。

 ただ、同対審答申が出まして、それに基づく実定法としましては同特法が成立しております。この同特法の中に税の問題などはないわけであります。同和対策事業はいろいろと指摘されておりますけれども、税金の問題までここに包含して処置するというふうなことにはなっていないのであります。ですから、もしもそれが必要でありますならば、税のための実定法をつくるべきである。少なくとも四千五百件からの減免税があるとしますならば、これは当然そういう処置をとって、国会やあるいは国民の民主的な管理のもとに置くべきである、そういう統制のもとに置くべきである、これが税の法律主義のたてまえになってきておる。恣意的に国税庁の長官やあるいは国税局長の意思によってそれをかげんをするという性質のものであってはならぬということは言うまでもないわけでありますが、こういう点につきまして、私は会計検査院がお越しになっておれば御意見をお聞きしたいと思う。

 それからもう一つ、もしも同和地区というものが、おっしゃいますように非常に複雑な要素があるということでありますならば、これは同和地区住民すべてに対して均てんしてその制度が行われるというのがあたりまえであって、特定の団体だけが対象になるということでは、これは法の公平性、公正性に反すると思いますが、その点はどうでしょうか、会計検査院の御意見を聞きたいと思います。

岩井会計検査院説明員 おっしゃることはごもっともでございまして、法律の規定によらずして一律に税の減免をするということは、これはあってはならないことと存じます。

 また、一部の団体についてのみ適用するのはおかしいではないかという御質問でございますが、まあこの法律に基づかない減免となりますと、一部の団体のみならず、すべてに対してもこれは適当でないというふうに考えております。
 なお、おっしゃるような三〇%一律減免というような事態は、私どもの検査におきましては、いまだ把握はいたしておりません。

三谷委員 いまの団体の点について、国税庁はどうお考えでしょう。

米山政府委員 私どもも、いま会計検査院からの御答弁がありましたように、特別の団体について特別の取り扱い、特に課税上の特別の取り扱いというようなことは一切すべきでないと考えておりますし、また、してないと考えております。

三谷委員 そうしますと、一般の同和地区の住民の方が、いまの国税局の特別窓口に出かけていって申請をするという場合には、どのような扱いをされるという意味なんでしょうか。

米山政府委員 いま委員の御質問の窓口の問題でございますが、これは各国税局に同対室というものを設けて、同和問題の職員に対する認識を深めたり、あるいは研修を行ったりする窓口でございます。ここが課税上の窓口ではございません。

 ただ、恐らく委員の御質問の趣旨は、特定の団体はここの窓口に申告書を出している、ほかのところの方々がこういうところに出した場合にこれを受け付けるのかどうか、こういうふうな御質問じゃないかと思いますが、私どもといたしましても、申告所得税なり法人税なりの申告書は、これは国税通則法に基づきまして、その納税地の税務署長に出す、こういうのが原則でございます。ただ一部のところは国税局のそこへ持ってきておるわけでございます。こういう形が私ども好ましいと思っておりません。

 ただこれ、持ってきたから、これはだめだと突っ返すことは、きめ細かい納税者に対する姿勢ではないと思います。確定申告の際にも、よく間違えて局へ持ってきたり、隣の税務署へ持っていったり、いろいろする場合がありますが、これは一応私どもは付せんをつけまして正しい税務署に回付することにしております。そういう意味で、私どもとしては、そういう問題が生じたときにはよくPRしまして、できるだけ所轄の税務署へ持っていくようにということにいたしております。まあ一応間違って持ってきた場合あるいはいろいろの事情で持ってきた場合には、これは付せんをつけてそちらの税務署へ回すようにしておりますが、できるだけ良識を持ってこういうものは納税者のサイドも申告をしていただきたい、こう考えております。

三谷委員 いまのお答えにはずいぶんすりかえがあって困るのだ。いま、本来税務署に行くべきだけれども、国税局に来た場合には帰ってもらうのは気の毒だから受け付けをしておるとおっしゃっておりますが、そうでないでしょう。いま申しました四千五百件というものは全部、これは国税局の対策室というのがありますが、ここで受け付けをして、そうして統括官というのがこれを全部扱っている。下の現場の税務職員には全くこれは見せない、そういう状態になってきておる。そういう運営がなされておる。だから、あなたがおっしゃいますように、本来税務署に行くべきだけれども、紛れ込んできたからやむを得ず扱っているという性質のものじゃないのだ。

 それがもしも同和地区住民であります方に認められますならば、これはすべての未解放部落住民に対して認めていくべきだし、それが間違っておるのであれば全体が現地の出先の税務署において申告手続をするというのが当然の処置じゃないですか。それが行政の公平性の問題じゃないですか。

米山政府委員 先ほど申し上げましたように、国税通則法で申告は納税地の税務署長にする、こういうのが原則でございます。私どもそうあってほしいと思っておるわけでございますが、持ってきて受け取ってくれ、こういうふうな場合には、持って帰ってくれと言うわけにいきませんので便宜上受け取っている、こういうことでございます。国税局へ出したからあるいは税務署へ出しやから、国税局へ出した方が得だというような筋のものでもございません。ただ持ってくる、こういうふうなことでございますので、便宜的に受け取っているわけでございます。これを受け取った場合には直ちに所轄の税務署に回付いたします。ですから、その段階ではもう全く同じ申告書の扱いになるわけでございます。
 それから、それを受け取った後の措置でございますが、先ほど申し上げましたように、これは下の方に一切見せないというような問題でなくて、むずかしい問題であるからなるべくベテランの税務職員に取り扱わせる、こういうことを行っているだけでございます。

三谷委員 あなたのお答えは実態と違っている。がしかし、きょうは時間がありませんから、これ以上はお尋ねできませんが、大蔵大臣、お聞きになりまして、大体の私どもの質問の本旨はおわかりでしょうか。もしも必要があれば特別措置法をつくるべきだ、そしてまた当然それは国会や国民の統制のもとに置かれるべきだ。そして扱う場合は特定の団体だけでなしに、これはすべての未解放部落住民の皆さんが同じ条件にあるわけでありますから、それも扱っていくのがあたりまえであって、そこに差別が存在してはいけないということを申し上げたわけですが、それについて大臣の所見を承っておきたい。

(23/25) 次の分割内容へ

金子(一)国務大臣 税法の前にはすべての人が平等であるべきで、執行官庁の手によって特別の控除が行われるようなことがあってはならないと思います。

 ただ、それはいま米山次長も申しておりますし、また会計検査院の局長からもお話のありましたように、調べた限りにおいてはそういう事実は見当たらないと言っておられますけれども、なおあなたのいまの御質問もありますから、十分私としても調べてみたいと考えております。

三谷委員 終わります。


三谷秀治
096回-衆-地方行政委員会-09号 1982/04/08
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三谷委員 交付税の問題については午前中に質疑をしましたので、私は、きょうここに大蔵省あるいは国税庁もお越しになっておりますから、同和団体の申告に対する違法な減税の問題についてお尋ねしたいと思うのです。

 この問題は、従来からしばしば取り上げられておるわけでございますが、これに対して政府の見解というのもいつの場合でも一致しております。

 たとえば、五十四年の五月九日の衆議院の決算委員会で、米山国税庁次長がおっしゃっておりますのは、「特別の団体について特別の取り扱い、特に課税上の特別の取り扱いというようなことは一切すべきでないと考えておりますし、また、してないと考えております。」これが国税庁の次長の答弁であります。金子大蔵大臣も同じ日に答えておりますが、「税法の前にはすべての人が平等であるべきで、執行官庁の手によって特別の控除が行われるようなことがあってはならない」とおっしゃっております。

 五十年の三月に、これは衆議院の大蔵委員会でありますが、磯邊国税庁次長がおっしゃっておりますのも同じ趣旨です。「私たちも、法の前の平等という憲法の大原則の例外とか、あるいはそれを否定するという気は毫もございません。」同じ五十年の二月に、これは衆議院の予算委員会でありますが、横井国税庁直税部長がおっしゃっておりますのは、「御質問の同和控除というのが、法律、政令等にあるかどうかということでございますが、そういう特別の控除は、法令上認められておりません。また御質問でございますが、私ども、そういう同和控除というふうなものを認めておるということでもないということを申し上げておきたいと思います。」そこでわが方の東中議員が、制度上ないものを認めておったら違法だということかとただしましたら、横井直税部長は、「おっしゃるとおりでございます。」違法であります。こうお答えになっておるのであります。

 また、これも同じ予算委員会でありましたが、横井直税部長が、「私どもは、同和控除というふうなことでございますとお認めするわけにはいかないと思うのでございます。」「同和控除という名目で、経費がないにもかかわらず経費を控除するというふうなことでございますならば、適法あるいは適当ではないということでございます。」こういう答弁が行われております。当時は大平大蔵大臣でありましたが、大平さんも同様の趣旨のことを述べておるのでございます。この政府の見解というものは、もちろん今日におきましても変わるところはいささかもないと思いますが、その点はいかがでございましょうか。

吉田(哲)政府委員 お答え申し上げます。

 ただいま、当時の大蔵大臣あるいは国税庁の幹部の発言を引用されまして御質問になりましたが、国税庁の課税に対する考え方は、いま先生が御指摘になりましたもろもろの答弁と全く変わっておりません。すべての納税者に対しまして適正に税法を執行していくということが基本的姿勢でございます。

(31/35) 次の分割内容へ

三谷委員 ところが、この同和団体の申告に対する税の減免というものは、一般的に普遍的に行われております。従来これをただしましたときには、そういう所見をお述べになりましたけれども、私どもは実態が明白でありませんから、さらに突っ込んだ質問はできませんでしたけれども、今日私ども調査いたしまして、そういう事態が随所にあるということを確認しておるのでございます。たとえば、今次の北九州市の土地転がし問題がありましたが、これの税の課税などにしましても決して適正なものではありません。

 そこで、四十三年の一月三十日に大阪の国税局長と運動団体、これは部落解放同盟でありますが、それから同和の企業団体、これは大企連と言っております。これとの確認書がございます。この確認書に基づいて国税庁の長官通達が出ております。四十五年の二月十四日であります。

 この通達を見ますと――この確認事項といいますのは七項目ありまして、たとえば租税特別措置法の法制化、同和控除ですね、これの法制化に努める。それができるまでの措置としては、局長権限による内部通達によってそれに充てる。それから企業連、いま申しました大企連でありますが、大阪の場合大企連、これを窓口として提出された白、青色を問わず、自主申告については全面的にこれを認める、こういうことでございます。同和事業については課税対象としない、こういう確認事項七項目ありますが、いままではそういう確認はしていない、それは単に団体側の要望にすぎないものである、このようにおっしゃっておりました。

 ところが、この確認事項に基づく減税措置というものは、随所で行われておるということでありまして、これはそういう特別な措置を受けた納税者の自白、それから元の税務職員の証言などによりまして、次第にその実態が明らかになりつつあるわけでございます。私は、きょうここにわかりましたものを幾つか持ってまいりましたが、これは全部その関係の申告書類と税務署の措置文書でございます。これはどのように行われておるか、時間がありませんから、これを一つ一つ読み上げて申し上げることは避けます。

 しかし、これはプライバシーにもかかわりますから、固有名詞などは全部省略しますが、このうちで代表的なものを引き出しまして引例しますならば、A氏という方があります。このA氏は五十五年三月の申告によりまして、長期譲渡所得約五千六百万円を自主申告をしたのであります。税額が約二千万円強であります。ところが、これは申告はしましたけれども払えなかった。そこで滞納処分、差し押さえが行われました。そして、これを徴税官におきまして処分にかかろうとするときに、七月になってからでありますけれども、大企連という判を捺印した再申告書が出てきたのでございます。この書類は一連のものがここにございます。七月の申告でありますから、期限内申告をしておりませんから、一〇%の加算税がつくはずであります。

 ところが、再申告をしまして三日後に、加算税の不徴収決議をしておるのでございます。本税の減免はありましても、こういう加算税の減免などというものはあり得ないことでありますが、これが再申告をしまして三日後におきまして、加算税不徴収決議書というものがつくられております。そしてこの捺印をしておりますのは、担当者は除外している。つまり担当職員にタッチさせない。統括官と副署長と署長、国税徴収官、四人の捺印によりましてこれが不徴収になっておる。しかも、不徴収の理由は何一つ明らかにされていない。不徴収にした場合にはそれなりの理由が記載されるべきでありますけれども、記載をされていない。こうういう状況になっておるのでございます。

 そうして、加算税は不徴収になりましたが、本税はどうなったか。本税の納税者索引簿が申告書類つづりから消えてしまったのであります。要するに署長が管理をしたのであります。そうして、本税も理由不明のままで徴収されておりません。同時に、地方税の方もそういう状態でありますから、市民税の所得割は徴収不能になって徴収はされておりません。こういうような事案がここにあるのでございます。

 それからもう一つ、B氏という方があります。このB氏は、五十六年三月に自主申告をしております。これも土地譲渡所得約六千万円であります。譲渡益が五千五百万円とされております。申告税額が約千二百万円であります。そこで、これも申告はしましたけれども、納税をしない。七月に差し押さえをしたのであります。ところが、五十六年の十二月に大企連を通じて更正の請求が行われました。それから三日後に、理由もなく納税額ゼロという更正決定がなされておるのでございます。

 つまり、五十五年の十二月に土地を譲渡して譲渡益が五千五百万。五十六年三月に申告をする。五十六年七月に差し押さえをする。五十六年十二月にこの判をついた書類が出てきた。そこで同じ十二月に更正決定、全免になってきている。判を一つづきますと、実にこれは全く神通力を示しておるのであります。理由も明らかにしないままで、税のゼロ減免が行われておるのであります。これも理由が不明でありまして、係員の起案がありません。課長と副署長と署長、この決裁でこれが決められております。担当職員はタッチしておりません。そうして、これは市民税の所得割はもちろん徴収はできません。市の方では大変な不満を持っておるわけであります。

 それからもう一つ、Cというのがあります。これは五十五年の三月に申告をしました。農地長期譲渡所得、約五千五百万円であります。申告税額は約九百万円であります。しかし、これは税務署が更正決定をしました。更正決定をしましたのは、本人の申告では、農地の譲渡に係る特例を主張しておりましたけれども、これはB農地ではなかった、C農地でありましたから農地に係る特例は適用できないとして、更正決定を税務署が打ったのであります。そして特例の非該当でありますから、申告税額は九百万円でありましたけれども、税務署が決定しました税額は約二千百万円であります。既納分に約千二百万円増額したのであります。過少申告加算税が約六十万円であります。

 ところが、これがまた五十六年の二月になりまして、大企連という印の更正請求書を出してきた。そこでまた税額を約一千万円強減額、ぽかんとやった。九百万円はすでに申告納税したわけでありますから、あとは百余万円で完済、こういうことになる。

 それから、数え上げますと切りがありませんからもう一つくらいにしておきますけれども、D氏という人がおりますが、このD氏というのは五十六年三月に申告をしたのであります。長期譲渡の耕作金であります。これは羽曳野市が陵南の森という総合福祉施設をつくりますのに土地を買い込んだわけでありますが、その際・耕作者に対して耕作金を払ったわけであります。この長期譲渡の耕作金が四千万円払われております。そこから必要経費二百万円を引きまして、特別控除を三千万円として、課税所得額八百万円、税額にしまして約百六十万円の申告をしてきたのであります。

 しかし、これも三十三条の租税特別措置が不適用になったわけであります。つまり、これは公用地として買いましたけれども、収用したわけではありませんから、都市計画法による措置をとっておりませんから不適用となりまして、更正決定によりまして課税所得額が三千八百万円となったのであります。税額もふえまして七百六十万円程度になるわけであります。ところが、これがまたこの団体の交渉によりまして、三千八百万円の課税所得を二千八百万円で修正申告したのであります。理由もわからずに一千万円減額であります。そして、この修正を是認しているわけであります。

 こういう事態があちらこちらで起きておりますから、ここに行って判をついてもらえば税金は払わないで済むというのが地域の共通の認識になっている。しかも、これらの方たちは対象地域とは関係ありませんよ。一般の農家であり一般の農業者でありますけれども、この同和団体の判をついてもらえれば、それで減免が行われるあるいは免除が行われる、こういう状態が出ておるのでありますが、こういう事態に対して国税庁はどうお考えでしょうか。

 私、申し上げますけれども、これは単に偶発的なことではない。そして、国税庁は絶えずそんなことはありません、こう言っているんだ。しかし、従来から同和関係の方の申告は国税庁で一括して受け入れをする。この分はもちろん末端の諸君にはわかりません。約三年とおっしゃっている。しかし、いま申しましたのはその分ではない。つまり、一般の方が地域の税務署に申告をして、税が払えないあるいは税が高いというので、こういう団体の捺印を受けて、そして免税になるあるいは減税になる、こういうことが公然と行われている、こういうことがあっていいでしょうか。しかも、これはあなた方御承知がないとは考えられない。かなり大規模にやっているわけであって、そして主にこれを取得するために署長の管理のもとに置かれている申告書が非常に多いのであります。そういう点から考えて一体どうなんでしょうか、お聞きしたいと思う。

(32/35) 次の分割内容へ

吉田(哲)政府委員 いまいろいろ先生の方で、資料をもとにされまして御質疑があったわけであります。私ども、その内容については存じておりませんが、冒頭に申しましたように、これは租税法定主義のもと適正執行をするというのがわれわれ国税庁の立場でございますから、法律の根拠なくして、法律に反するような取り扱いができないのは当然でございます。一般の申告書の処理の仕方、事後処理、事後調査、そういったものについても、特に私どもはこれを変えるという扱いはしてないわけであります。

 ただ、いわゆる同和関係の方の課税につきましては、これも先生御承知と思いますけれども、国税庁長官通達が四十五年に出ておりまして、その中で、今後とも実情に即した課税を行うということは言っております。しかしながら、実情に即した課税というのは、超法規的なものであってはならないということは当然であろうと思います。したがいまして、特定の団体のグループに入っていることを理由にして、あるいは特定の団体を経由することによりましてそういうような扱いが行われるとすることは、これは非常に問題であろうと思います。

 私ども、課税の公正ということにつきましては、常日ごろ各局署に言っておりますけれども、さらに今後とも十分念を入れていきたい、かように考えております。

三谷委員 これは、間違いもなく税務署における公の文書であります。そしてここには、署長その他担当者の捺印もあるわけであります。そして内容が、いま申し上げましたようなものでございます。そして、いま幾つか例を引きましたけれども、まだこれだけ後に指摘すればあるのであります。私どものようなところにでもこの程度の資料が入ってくる。それほど普遍化した違法な減税が行われておる。

 そうしますと、どうですか、私が先ほど指摘しましたように、答弁の中でもおっしゃっておりますけれども、そういうやり方、そういう税の扱い方は違法であるということになってまいりますが、そういう違法な処置をとっている税務署の署長やあるいは副署長、統括官、これは一体どうなるのか。背任罪になるわけですか。そこら辺はどういうことなんですか。

吉田(哲)政府委員 私ども、その申告書の中身を存じておりませんので、一般的な答弁になると思いますけれども、先ほど申しましたように、法律に規定のない特別の減免といったようなものが税の執行上認められないことは当然でございます。私ども、いわゆる同和関係のいろんな課税問題につきましては、十分慎重を期し、また、地域の実情を酌んで課税するようにということは、長官名でもって各国税局、各税務署に指示しております。しかしながら、法律に反するような取り扱いを認めているわけでは決してございません。

 そういう意味で、いま御質問ございましたけれども、私は、署の幹部がそういったことをやっているということはにわかに信じがたいところでございます。なお、その課税の処理が、署長とか統括官とか一部の者によって行われておるということは、これは事案の性格上ままあり得ることでございまして、ただそれだけでもって、処理がすべて問題がある、疑問があるということにはならないのではなかろうか、かように考えております。

三谷委員 そういうことはあり得ない、あってはならぬことだ。しかし、実際にはこれがかなり普及しているということも事実だ。私どものところに、十通余りのそういう不正な処置に対する書類が来ているわけでありますから、これは少なからずそういうことが行われておるということがわかるわけでございますが、いま私はここで幾つかの事例を引用しましたけれども、こういう処置がとられます背景というものももちろん存在しております。

 私どもの選挙区の中の税務署でありますが、この判をついた申請書から加算税延納金を徴収したというので、統括官が団体に呼び出されて終日軟禁、糾弾されるという事態が起きております。これも遠い昔のことじゃありません。そして翌日、総務課長と統括官が出かけていって、平身低頭して謝罪をしてくる。そしてこの原因、つまり加算税延納金、これは署長預かりになって、そのままお蔵に入ってしまっている、こういう事例もあるのであります。それから一般の納税者の所得調査、所得額が隠されておった、こういう事案が出た場合、この団体の領収書をもらってきて出せば、それで所得調査は打ち切られる、こういう事例も出ております。

 それから、最近は申告をゼロにするのは、だんだんとふえてきますし、この問題が関心を集めてまいりましたから、ゼロにするのは適当にとどめて、申告したものは一般徴収課では扱わずに、徴収も同和関係は署長が直接管理をする。そして、署長が命令をして納税の督促をした、そういう記録をつくる。とどめる。そして、徴収不能という状態に持ち込んで、滞納処分の執行停止を行う、こういう手法も最近は少なからず行われておるということが言われております。

 ただ、御承知のように、今日、税務職員がこういう不公正、不平等、乱脈な税の扱いについては、不満やふんまんを示しておりますけれども、何といいましても税務職員が退職しました後、税理士になって国税局のお世話になる、そういう税務署との友好関係というものが必要でありますから、なかなか内部告発はむずかしいということを、退職した税務署員がしばしば漏らしておるのでございます。こういう事態になっておるわけでございますが、これについて、こういう事態そのものを私は詳しく調査してほしい。

 会計検査院がお越しになっておりますが、こういう事案についての会計検査院の所見と今後の対策、これをお聞きしたいと思う。

平原会計検査院説明員 先生のお示しのような事態は、私どもの検査におきまして把握しておりませんけれども、私どもも、法律の規定によらないところの不当な租税の減免というようなことがあってはならないとかたく考えております。私どもの租税検査は、国税の賦課徴収が法律に基づきまして正当に行われているかどうかにつきまして、税務官署の書類を検討するということによって実施しているわけではございますけれども、先生のただいまの御指摘の点を念頭に入れまして、今後とも検査の実を挙げるように努力してまいりたい、かように存じております。

三谷委員 私は、この個人名を出したりするのは避けたいと思いますが、会計検査院が検査をされます便宜上申し上げますならば、このDと言いますのは、これは羽曳野の総合福祉センターをつくります土地売買に絡む問題でありますから、そう申し上げますと、税務署もおわかりだと思うのです。

 それからもう一つお尋ねしますが、東大阪市に意岐部小学校というのがあります。この小学校の用地を公用廃止をしまして、地主のE氏でありますが、七百坪のこの公用廃止をした土地をさらに東大阪市の土地開発公社に売り渡したのでございます。そうして契約書を見ますと、四億八千二百七十六万円という契約書ができておりますが、このあっせんに入りましたのが運動団体であります。本人が手にしましたのは三億数千万円であって、差し引き一億五千万円ほどが手に入っていない。要するに土地転がしです。北九州市で頻繁に行われました土地転がしが、ここでもこういう形で出てきているということであります。ただし、そのかわりに税の減免を条件としておるわけであります。

 そこで、この取引は五十六年八月でありまして、この所得の申告はことしの三月の申告になるわけでありますが、この申告がなされておるかどうか。何と申しましても四億八千万、約五億円の取引でありますから、これが申告をされないままで済まされておるとなりますと、これまた変わった手法による脱税になってくるわけでありますから、これも調査していただきたいと思います。

 いま申し上げましたいろいろな諸点につきまして、私どもの方で説明が必要なものについては説明をさしてもらいます。しかし、秘匿しなければならぬ部分もありますから資料を全部出すわけにはいきませんけれども、こういう状態について全面的な点検をしてもらいたいと思うのです。それについて、大臣どうでしょうか。御所見をお聞きしたい。

(33/35) 次の分割内容へ

渡辺国務大臣 私は、いま初めてそういう話を聞きまして唖然としておるわけであります。しかしながら、実態がどうであるかよくわからないので、皆さんの方から具体的な資料を御提供いただくならば、われわれはそういうものも放任をしておくというわけにはまいりません。やはり、社会正義の確保ということは政治の上で大事なことでありますから、いかなる団体であろうとも差別をするわけにはまいりません。国税庁長官によく申し伝えておきます。

三谷委員 時間が来たようですからこれで終わりますが、幾つかの例を挙げました。この例だけではないのであって、国税庁がこの問題を本当にしっかりと監視をして是正するという観点にお立ちになりますならば、容易にできるものであることを御指摘申し上げまして、質問を終わります。



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