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日本共産党議員の「同和脱税」追及国会議事録(1)
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[出典]
以下のデータは、国会会議録のホームページより検索・抜粋したものです。





三谷秀治
075回-衆-予算委員会-11号 1975/02/13
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○三谷委員 これは各大臣にお尋ねをしたいと思いますが、残念ながら幾らも時間がありませんから、他の機会にお尋ねをすることにしまして、一つお尋ねしたいのは、地方自治体に対しては行政の公正、平等に関する通達を政府は出しながら、その政府自体がそれに反する処置をおとりになっていないかどうか、この点をお尋ねしたい。

 これは朝田一派によりまして同和地区企業連合会というものが組織されました。同企連と言っておる。これに所属する納税者に対する課税、徴税に当たりまして、税の特別扱いをして脱税を認めていないかどうか、これをお尋ねしたいと思います。

○安川政府委員 お答え申し上げます。

 ただいま御指摘の同和地区の納税者につきまして、団体の方が何か脱税を指導しているのではないか、またこれに対して、それを認めているのではないか、こういう御指摘がございましたが、さような事実はないと聞いております。

○三谷委員 ないと聞いていますとおっしゃったのですか。しかし実際には、同企連に属する業者に限って、国税局内の通達で同和控除が行われております。これは業者自身の証言もあります。同企連の文書でも示されておる。国税局の申告書類の実際の取り扱いの中にもはっきりと示されておる。

 現在、大阪国税局には同和対策室なるものが設置されておる。これは四十四年二月に全国で初めて設置されたものです。大阪国税局同対室、室長外二名になっておりますが、これが事務を担当して、総務部長が責任者になっておる。そして朝田派の大阪府同和地区企業連合会を通じて行われました所得申告の処理その他の税務行政を行っております。明らかに一般業者、国民と区別して特別の取り計らいをしておる。これでありますが、この大企連の報告書によりますと、四十二年から始まりましたが、たとえば四十八年度におきましては、所得税申告数四千五百三十六件、法人申告は二百四十五件に及んでおりますが、この分だけ特別な控除処置をとっておる。この事実を否定されますか。

(9/35) 次の分割内容へ

○安川政府委員 第一点でございますが、大阪国税局に同和対策室というものがあるのではないか、職員二名が従事しておる、こういう御指摘でございますが、これは昭和四十年八月の同対審の答申がございまして、それを受けまして、昭和四十五年、国税庁から通達をいたしまして、趣旨は、同和地区の納税者に対しましては今後とも十分実情に即した課税を行う。つまり同和対策審議会の御答申によりますと、同和地区におきましては歴史の積み重ねの上で特別な社会的あるいは経済的な問題がある、こういうような御指摘なわけでございます。したがいまして、課税関係につきましても、十分そういった同和地区の実情というのは、私ども把握いたさなければならないわけであります。十分実情を把握いたす、またその実情に即した課税を行う、これが私どもは本当の公平な課税の態度ではないか。そういたしますと、これはいろいろ研究を要する問題が多うございますから、特別な専担者というものを設けまして、十分地区の実情を把握する、こういうことをやっておる、これが実情でございます。

 それから第二は、何か同和控除というような特別な措置を講じておるのではないか。こういう事実はございません。私どもといたしましては、ただいま御説明申し上げましたように、実情をよく把握して課税する、かようなことでございます。

 同和地区におきましては他の一般の方と違う点がある。たとえば税の面から見ますと、一般の納税者とは異なります不利な借り入れ条件というものがございます。あるいは通常の場合でも、いろいろな事業をする場合に、高いあっせんの手数料というようなものを払う必要、そういうことがございます。あるいは譲渡関係につきましても、所得税と同様な、たとえば立地条件が非常に悪い、それから土地等の売却条件が非常によくない、あるいは譲渡いたしました場合に特殊な立ち退き料がたくさん要る、こういうような実情は事実あるようでございます。そういうものは経費として私どもは実情に即して認める、これは当然なことでございます。したがいまして、そういうような実情に応じた課税はいたしておる。しかし何か同和控除というような一律的な扱いはいたしておりません。

 なお、パンフレットをお示しになりましたけれども、いろいろな団体につきまして計数をとる場合もあろうかと思います。また、私どもの方の、ただいま申し上げましたような実情に即しました課税につきまして、その方面がいろいろ名前をつけて呼ぶということもあり得ようかと思いますが、私どもとしては、ただいま申し上げましたような同対審の答申に即しまして、本当に実情に応ずる、実質的によく公平の問題を考える、こういう態度で進んでおるわけでございます。

○三谷委員 局長、ひとつあなたに見てもらいたい。これは納税申告書です。同和控除というのが明らかに記載されている。いま、その部分をお見せしましたように、税務署の申告書の扱いの中で同和控除というのが明らかに記載されています。

○安川政府委員 ただいまお示しの資料を拝見いたしましたが、これは税務署の手で書いたものではございません。納税者の方がそういうような名称をつけられた、こういうふうに私は拝見するわけであります。

 それから、相当以前のことでございますけれども、納税者の方から、同和控除という名前をつけまして、そういうような申告書が出た場合もあるやに聞いております。しかし現在は、さようなものはございません。

○三谷委員 確かにこれは納税者が書いたものに違いがない。しかしこれは税務署が受け付けて確認している書類だ。認めている書類だ。これはたくさんここに書類があります。ありますが、たとえば本来言いますと、所得税法百二十条によりまして、確定申告書というのは税務署長に出すのでしょう。ところがこの大企連というのは税務署に出さないのでしょう。国税局を窓口にして受け付けをやっている。そのことを証明する書類もここにちゃんと出ている。それからまた、いまお見せしましたように、同和控除というものがちゃんと控除欄に記載されている。これを受理して認めてきている。それからまた、ほかの例でいきますならば、国税局自体が大企連という捺印をしているのでしょう。判をつくってついている。それは団体がついているものではない。国税局がついたものです。なぜ、そういう特殊な判をつくって、これを押さなければならぬのか。そこに特別扱いの証明が明確に示されている。この問題につきましては、いま、さらに詳しくはお尋ねできませんけれども、こういう不公正な処置が行なわれている。税金というのは、憲法によりまして法定主義なのです。法の規定がないのに、そのような、たてまえとしまして三割控除をする、そういう内容になっている。書類もそれを示している。それについてどうお考えか。これは大阪国税局長として、いまの高木事務次官がいらっしゃるときに起きてきて決まった話なのです。

○安川政府委員 お答えいたします。

 申告書は税務署長に提出する、これが法律でございます。しかし、多数の納税者の方々の中には、これを間違えまして、他の税務署長に御提出される方もございます。あるいは郵送でもって国税局に入る場合もございます。いろいろのケースがございます。本当は冷たい法律論から申し上げますれば、それはそのまま受理できない、期限を徒過したものである、こういう扱いになるわけでございますけれども、しかし、これはやはり親切に取り扱う必要がございますので、他の署に参りました場合でも、できるだけ本来の署に送る。国税局に入りました場合、あるいは郵送の場合でも、これを当該署に戻しまして、できるだけ正当な申告書と扱う、こういう措置を実はやっておるわけでございます。多数の方の場合には一括という場合もないわけではございませんが、税務署の場合でも、これを一括お持ちになる方もございます。いろいろケースがございますので、それは実情に応じた措置をする、ことに親切に扱う、これを旨にしておるわけでございます。

 それから、先ほども、経費につきましてはるる申し上げましたように、これは一括やってはおりません。できるだけ実情に即して認める、こういう措置をとっておるわけでございます。

 また第三の点でございますが、何か国税局の方で特別な判こをつくって、それを押したということでございますが、私どもが一番旨といたしますのは、すべての納税者が同じようなことで扱われる、こういうふうに考えております。申告書の上にいろいろ役所の方で区別をいたすということは本質的に好ましくない。したがいまして、恐らく大阪国税局で何かさような判を押すということはあり得ないことである、私はかように考えております。

○三谷委員 あり得ないことが実際に行われているわけなんです。そこに問題がある。いまこの文書について一件ずつ詳細にお尋ねしますと、その全貌が出てきますけれども、きょうは時間がありませんから、私の場合はこれで終わっておきますけれども、いずれこれは機会を改めて明らかにさせてもらいたいと思います。

 そもそもこういう事案が、よしんばいまおっしゃいますように、同和地区対策として特別な考慮が必要であるとしましても、それなら同和地区住民全体にしなくちゃいかぬのでしょう。特定の団体だけを対象にすべきものじゃないでしょう。それが行なわれておるところに一つは問題がある。

 それからもう一つは、租税法定主義に反しておる。あなたは昭和四十三年一月三十日の大阪国税局長と解同中央本部及び大企連との確認事項を御承知ですか。

○安川政府委員 大阪国税局長が確認をいたしたということは、私聞いておりません。

(10/35) 次の分割内容へ

○三谷委員 その確認書もちゃんとここにあるのです。この内容は七項目になっておりますけれども、これは大阪だけじゃありません。東京におきましても東企連というのができて、六項目の確認事項ができておる。ごまかしちゃだめですよ。こういう公の文書がちゃんとできておるわけです。それに基づいてこれらの問題が進んできておる。国税局長通達も出ておるわけなんです。そして特別な扱いが行われておる。ただ、これをやりますと租税法定主義に反しますから、あなた方の方ではこれは認められない。認めたら大変なことなんです。しかし、実際はそうであるということは、税務署の申告書類の取り扱いの中で明確に示されておる。

 これについては、そんなことは絶対にあり得ないとおっしゃいますか。もう一ぺんそれは確答していただきたい。

○安川政府委員 税務行政の場合には、納税者からいろいろな御要望、あるいは場合によりまして陳情と、それぞれの組合から、当該業種についてはこういうことをやってくれ、こういう相当な御要望がございます。それがいろいろな意味で項目別に整理されていることは十分ございます。したがいまして、ただいまの確認書というお話がございましたが、いろいろな同和地区につきましてそういうような御要望が出ておることは事実でございます。また、私どもといたしまして、できるだけ同対審の答申に沿いまして、実情に応じて課税をいたすという趣旨でございます。さような御要望につきましても、われわれが行政的にとり得るものはできるだけ尊重して、実情に即した課税をする、こういうことはやっております。

○三谷委員 時間がないようですから、残念ながらこれで終わらざるを得ませんが、このような同和行政におけるゆがみというものは至るところに出ているわけなんです。それが、同和地区の地域の住民だけでなしに、同和地区内の住民の不満をも買っておるというのが今日の事態になっております。ですから、同和行政の公正、民主的な施行、逆差別、新差別をなくするということは、今日の政治の中心的な課題であって、このことのために、たとえば羽曳野や松原や亀岡などにおきまして、これを争点とする選挙におきまして大変な変化が起きてきた、これは御承知のとおりだと思います。

○小山(長)委員長代理 三谷君、時間が終了しております。

○三谷委員 ですから、このような、市民や住民の支持できない、理解できない同和行政を強行しては、部落解放の課題は少しも前進しません。これは明確なことなんです。いま大阪府知事は、勇気と良識を持って正しい方向にこれを改めるという態度をとっている。東京でもこの問題が重大な問題になって、都政の真価が問われております。真に行政の公正と地方財政の実情を憂うるならば放任できない問題なんだ。民主政治の基幹にかかわる問題でもあります。

○小山(長)委員長代理 三谷君、時間が終了しております。簡単に願います。

○三谷委員 遺憾ながら、今日、革新と言われる政党の中にも、この暴力を容認して、不公正な同和行政を支持する向きもあります。東京、大阪では、これが革新統一の障害になっております。政府はこれに期待をかけて、もしも朝田派の暴力と不公正な同和行政を放置しておるとしますならば、これは公権力、党利党略に利用するものであります。暴力が政治を左右することは絶対に見逃してはなりません。政府は法令を遵守して厳正な指導を行ってもらいたい。暴力行為は親告罪ではないわけでありますから、これほどの連続する暴行事件がありながら、警察が適正に対処していないという具体的な事実の中にも、国民は重大な疑惑を持っております。これに対して私は、政府の姿勢を正すことを要求して質問を終わります。

○小山(長)委員長代理 これにて三谷君の質疑は終了いたしました。


東中光雄
075回-衆-予算委員会第二分科会-04号 1975/02/27
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○前田主査 次に、東中光雄君。

○東中分科員 最初に大臣にお伺いしておきたいのですが、日本の税制度ですが、申すまでもなく、憲法三十条なり憲法八十四条なりに基づいて、いわゆる租税法律主義で、法律に基づいて公平の原則によって課税されなければいけない。いやしくも、特定の団体に入っておるから差別をして重税を課すとか、あるいは特定の団体に入っておるから差別をして特別な軽減措置をとるとかいうようなことは、断じてあってはならぬことだと思うのでありますが、大臣としてはどういうふうにお考えになるか、最初にお伺いしたいと思います。

○大平国務大臣 仰せのように、税務行政の目的は、すべての納税者に対しまして税法を適正、公平に執行してまいることにあると存じております。不断にそういう信念を持って公正に事に当たらなければいかぬ。特定の団体に属するからといって特別扱いをするということはございません。

    〔主査退席、谷川主査代理着席〕

○東中分科員 全国に十一の国税局がありますが、いまこの国税局のうちで、同和対策室が置かれておるのはどことどこでありますか。

○磯辺政府委員 いわゆる同和対策室と言われております機構を持っておりますのが、国税局で申しますと東京国税局、大阪国税局、広島国税局、高松国税局、以上の四局でございます。

○東中分科員 いま、いわゆると言われたのですけれども、いわゆる同和対策室と、いわゆるでない同和対策室とがあるのですか。

○磯辺政府委員 私がいわゆると申し上げましたのは、これは大蔵省設置法等に基づいたものでないということと、それから局によりまして、同和対策室というふうな看板を掲げておる局もありますし、それから看板を掲げずに事実上同和――失礼いたしました。ただいま申し上げましたのは、全部同和対策室の表示がございます。それで、いわゆると申しましたのは、大蔵省の設置法、そういったものに基づいたものでないということで申し上げたわけでございます。

○東中分科員 国税局の部課の構成については、設置法に書いてないのはあたりまえですが、大蔵省の組織規程によってもそういうものはないということだと思うのですが、組織規程にないそういう組織をわざわざつくっておられるということになるわけですね。いわばもぐりの室がつくってある。

 大阪の場合を見ますと、写真に撮ってきましたけれども、十二階の南にちゃんと、案内プレートにも、向こうへ行けば同和対策室がありますよと書いてあります。その部屋にも同和対策室とちゃんとプレートを掲げてあるわけですね。大阪国税局の場合に、そういった同和対策室の部屋までつくってあるのですが、その構成はどういう人間構成になっておるか、これは何をやっておるのか、それをお聞きしたい。

○磯辺政府委員 大阪の場合申し上げますと、同和対策室の室長が一名、それからあと二名の係官が配属になって合計三名でございます。

 それで、その所掌事務といいますと、これは、いわゆる同対審の答申に盛られました精神を税務行政の上に反映させるために、関係各課と連携して署の指導に当たるというふうなことでございますけれども、具体的に申しますと、同和問題について局署の職員に対する研修等の実施、あるいは同和関係者に関する実情を把握すること及び実情に即した課税について局署職員を指導することというふうになっております。

○東中分科員 この間の、二月二十三日の三谷議員の質問については、同和地区の実情把握ということがその仕事なんです、こういうふうに国税庁長官は答えているんですね。あなたのいま言ったのとは大分違いますね。この三日の間に任務が訂正されたわけですか。

○磯辺政府委員 長官は簡単にお答えになったのではないかと思いますけれども、私は、できるだけ詳しくお答えする意味で、詳しく申し上げたわけでございます。

(33/39) 次の分割内容へ

○東中分科員 あなたの言っているのは違うじゃないですか。長官が言っているのは、同和地区の実情把握ですね。あなたのいま言ったようなことを、長官が同和地区の実情把握として答弁したとすれば、明白にこれは概念の違うことを言っていますね。地区の実情を把握するということと、関係者の実情を把握するということとは、これは明白に違いますね。同和対策事業というのは、御承知のように対象地区についてやられる事業ですから。そうでしょう。次長のいまの答弁では、対象地区じゃなくて、今度は個人であるということになるわけですが、そういうことをやっておるというふうに聞いていいわけですか。

○磯辺政府委員 厳密に申しましたならば、いわゆる同対審に盛られました精神というのが、同和地区というふうに地域的にとらえるものか、あるいは広く同和地区の関係者というふうにして人的にとらえるのか、私たちは、むしろこの同対審に盛られましたその精神にのっとりまして、厳密な意味におきまして属地主義、あるいは属人主義ということではなくて、要するに同和地区並びにその中に居住しておられる方々、その関係者というふうに広くこれを取り上げておるわけでございます。

○東中分科員 国税当局は、同和地区関係者であるかないかということについて調査をするのですか。調査をしないとすれば、あなたの言う同和地区関係者である人と同和地区関係者でない人と、その区別は一体どういう基準で決めるのですか。

○磯辺政府委員 私たちは、どこが同和地区であるとか、あるいは同和地区でないということはわかりませんし、また、そういった明確な差別があってはならないというふうに考えております。したがいまして、御本人の方から、これは同和地区関係であるというふうな申告がございました場合には、私たちは、それをもって同対審の精神に盛られました措置を適用すべきものと考えております。

○東中分科員 そうすると、同和地区関係者だと本人が言うてくれば、それがあなた方の頭の中にある本当の同和地区関係者であるかないかは、これは調べようもないし調べない、相手の言うままにとらえる、こういうことになるわけですね。

○磯辺政府委員 私たちは、それ以外に調査する方法もございませんし、また、あえてそこまで突っ込んで調査をするという必要はまだないと思っております。

○東中分科員 それは相手の言うままだ、相手の言うままで、同和地区関係者だと言われたら、ほかの一般納税者とは別に扱う、この同和対策室を設けることによって別に扱うということになるわけですね。

○磯辺政府委員 別に扱うというふうに先生おっしゃいましたけれども、その別にという意味、私たちにはよくわかりませんけれども、同対審の答申に盛られました精神にのっとりまして、実情に即した適切な課税を行うということに相なるかと思います。

○東中分科員 あなたは、同対審答申の趣旨に基づきと言いますが、同対審答申の趣旨は一体どういうものだと思っているのですか。

○磯辺政府委員 私たちとしては、同和地区については、社会的、経済的な諸問題が存在するということを聞いておりますので、その実情を十分踏まえて課税をするということであろうかと思います。

○東中分科員 社会的、経済的、そういう実情を踏まえると言うんだったら、その実情を調査するなり何かしなければ踏まえようがないでしょう。しかもあなたは、そういうようなものについては、どこが同和地区だかわからぬから調べに行きません、こう言っているでしょう。地区の調査にも行かない、行ってはいけないんだ、しかし、それを踏まえてやるんだ、一体どういうことなんですか。じゃあ、踏まえてどうするんですか。

○磯辺政府委員 私たちは、申告書が出ましたら、その申告書におきまして、同和関係である、あるいは同対事業に関連した者である、あるいは同和事業に関連した者であるというふうなことを、御本人の方から申告ございましたら、その段階においてきめの細かい配慮をし、実情に即した課税処理をいたしたい、かように考えておりまして、必要と認めた場合には、もちろん調査に行くということもあるわけであります。

○東中分科員 同和地区関係者だという申告があったら、その申告のあった人については実情に即してやる、こう言われましたが、ほかの納税者については実情に即してやらないのですか。すべての納税者に対して、実情に即して課税するのじゃないんですか。実情を無視してやるのですか。ほかの人たちと、あなたの言う同和地区関係者との間に違いがあるのかないのか。ほかは実情に即してやらないと言うのだったら、これはまた話はわかりますよ。その点はどうなんです。

○磯辺政府委員 もちろん、私たちの課税と言いますのは、実情に即した課税処理をするというのが基本原則であります。ただ、ただいま申しましたように、特に同和地区につきましてそのようなきめの細かい実情に即した配慮をし、課税処理をすると申し上げましたのは、御承知のように長年にわたり同対審におきまして審議がございまして、その結果、審議会の答申というのが四十八年の八月十一日に出されたというふうな長い間の歴史的な特殊な事情にかんがみまして、われわれは特に配慮をしておるということでございまして、それ以外の納税者については、実情に即する必要はないといったような処理をもちろんやるようなことはございませんし、いずれの納税者につきましても、実情に即して課税処理をするということは、当然のことだろうと思います。

○東中分科員 すべての納税者に対して実情に即した課税をする、実情について必要があれば調査する、あたりまえのことなんです。それなのになぜ、あなたの言う同和地区関係者と言うてきた人、実際はどうかわからぬけれども、と言う者に対してだけ特別に、そういう組織規程にもない同和対策室をつくってやるのか。特別な扱いをしているじゃないですか。別な扱いをしているじゃないですか。明白でしょう。言葉では言われていないけれども、そういうことになっていますね。なぜこういう同和対策室をつくることになったのか。大阪の場合は、いつからつくることになりましたか。

○磯辺政府委員 大阪の場合には、四十四年の二月に専担者を置きまして、四十四年の十一月に同対室という表示を出すようになっております。

○東中分科員 ここに部落解放同盟朝田派の解放新聞という新聞があるわけですが、これは一九六九年二月五日付の新聞です。これによると、一月二十三日に佐藤大阪国税局長初め神戸、奈良、和歌山各税務署長など責任者が出席をして、ここに部落解放同盟朝田派の中央役員あるいはその他の人たち約五百名が国税局に詰めかけまして、ここで部落対策専門担当者を置かせるという確認ができたのだという報道をしています。一月二十三日にいわば五百人の圧力といいますか、交渉が加えられた後、それを認めて二月に設置するということにして、いま言われたような組織規程にもない同和対策室なるものを設置することになった、これが経過じゃないですか、どうですか。

○磯辺政府委員 私たちとしましては、ただいま申しましたような経過で大阪に同対室をつくったわけでございますが、それは一にこの同和問題というものがなおざりにできない、真剣にこの問題に取り組んでいかなければならないというふうな税務上の基本的な考え方から、そういった同和対策室というものをつくったものでございます。

○東中分科員 大阪国税局の総務部の中には、同和対策室と別に税務相談室というのがありますね。税務相談室というのは、組織規程に基づいたものである、そうじゃございませんか。

○磯辺政府委員 それは組織規程に基づいたものでございます。

○東中分科員 組織規程にない、しかも組織規程にある税務相談室があるのに、あえて別の室をつくった。そして、どれに対しても実情に即してやらなければいけない、なのに未解放部落、あなたの言う関係者については特別の担任者を置くということにした。ここで具体的にやっておることは、税務申告をいわゆる同和関係者と言われる人たちが国税局へ持ってくるように、そこで受け付けるということを、大阪府同和地区企業連合会員、あるいはそれを窓口とする人たちには、そういう扱いをするという約束をされて、実際にそうやっているのではないですか。

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○磯辺政府委員 そういった約束をして、それによってここの同和対策室で申告書を一括して受け取っておるという問題ではございませんで、そういった御希望のあるということはわれわれは存じております。

 それからまた、これはこの前、長官が三谷議員の御質問に対して御答弁申し上げましたかと思いますけれども、事実上その同対室の方に申告書を持ってこられた場合には、それを拒否するというわけにもまいりませんので、その場合には便宜国税局で受領いたしまして、それを関係の税務署の方に届けておるというふうな状況でございます。

○東中分科員 大阪府同和地区企業連合会会員の証と書いた大きな判こを申告書に押して、このいわゆる大企連は全部ここへ持ってくる。国税局で受け付ける。国税局は丸印で大阪国税局総務課受付という受付判を押すというシステムに実際上なっていますね。その事実はどうですか。

○横井政府委員 私から一般論とあわせて申し上げます。

○東中分科員 一般論はいいですよ。時間がないのですから、いまの事実に答えてくださいよ。

○横井政府委員 御指摘のようなことがございますけれども、これは特定の団体であるからそのような扱いをしておる、こういうことではございません。御承知のように、国税通則法二十一条では、申告書等は所轄の税務署へ提出するということになっておりますけれども、納税者の方々の中には、過って税務署にお出しになるという場合もございますし、また局へ持ってみえる場合もございますが、その場合におきまして、その申告書が無効であるという扱いにするとか、あるいは一たんお返しするとかいうことは大変な問題を起こしますので、受け取るということにして関係署へ移送するということにしておるわけでございまして、同和関係者の申告書につきましても、局へ提出されました場合には、便宜局で受理いたしまして、所轄の税務署へ移送しておるという状況でございます。

○東中分科員 大阪国税局関係で局へ直接持ってくる大企連関係の申告書はどのくらいありますか。

○横井政府委員 正確にいま手元に資料がございませんが、約三千通くらいかと存じます。

○東中分科員 それならほとんど全部じゃないですか。大企連の扱っているものは全部国税局へ行っている。しかも、それは大企連、大阪府同和地区企業連合会員の証という、ここに写しがありまけれども、申告書の一番正面のところへごつい判こを押して、その横へ受付判を押すというかっこうになっていますが、大体そういう扱いになっているでしょう。三千通とすれば相当の量じゃないですか。過って持ってくるという問題じゃないのではないですか。

○横井政府委員 正確に把握しておるわけでございませんが、全部局へ出るということではございませんで、署の方へ出されているというのもあるやに聞いております。
 なお、御指摘のように大企連、東京でございますと東企連というふうなゴム印が押してあることが多いというふうに聞いております。

○東中分科員 本来は税務署長に出すべきものだ。国税通則法もそうなら、所得税法にしてもそうです。法人税法にしてもそうです。それを組織的に――あなたの言うように例外はあるかもしれませんが、ほとんどが組織的に持ってきておるのに対して、これは税務署に持っていくべきものなんだ。過って持ってきたんじゃなしに、意識的に持ってきておることは明白ですから、当然、署長に出せと法律上は書いてあるんだから、そういう指導をするのがあたりまえでしょう。あなた方の言う同和関係者にはそういう指導はしないのですか。指導をするために同和対策室をつくったというんでしょう。本来なら自分の所管のところへ出せばいいはずのものを、わざわざここに持ってくるのはなぜか。というのは、国税局に対して、先ほど言った五百人もの人が、解同朝田派の指導する大企連が押し寄せていって、各署の税務署長を集めて、局長も出て、そうして、それをのまされて、そういう特別な扱いをしているというのが事実の経過じゃないですか。過って持ってきたというようなものとは全く異質のものだということですが、どうなんです。

○横井政府委員 先ほど次長から御答弁申し上げましたように、局へ持っていらっしゃいとか、あるいは局の方でいただきますとかいうふうなお約束をいたしておるわけではございません。ただ現地におきまして、局で要望等を伺ったときに、先方の方でそういう御要望があったことは聞いておるわけでございます。いずれにいたしましても、お約束したわけではございませんが、大企連の方方が局の方にお出しいただくということでございますので、私どもは、お出しいただいたものをお返しするわけにもまいりませんし、これを無効だというふうな扱いをするわけにもまいりませんので、先ほど申し上げましたように、便宜国税局で受け取りまして、所轄税務署へ移送するという扱いをしておるわけでございます。

○東中分科員 そうすると、法律上は税務署へ持っていくものである、過って持ってくる人もあるから、そういう場合は国税局で受け付けて回す場合もある、大企連の場合は、あるいはほかのところもそうかもしれませんが、東企連の場合も、一括してあるいは組織的にずっと持ってくる、こういう要望がある、その要望を突っぱねるわけにもいかぬから聞いている、その受け付けをやるのが同対室だ、結局こういうかっこうになっているわけですね。向こうの要望に押し切られて、明らかに税務署長に出すべきものを、国税局へわざわざ持ってくるということを受け付けている、こういう結果になっておるというのは、あなたの表現こそ違え、実態そのものを言えば、そういうことになっているということは明白であります。組織的に意識的になぜ国税局へそれを持ってくるのか、なぜそういう要望をするのかということについては、国税局としてはどう思っていますか。

○横井政府委員 先ほども申し上げましたように、お約束したわけでもございませんし、押し切られたということでもないと存じておるわけでございますが、どういう理由かは存じませんけれども、局の方へお出しになるわけでございますので、先ほど申し上げたような扱いをしておるわけでございます。

 なお、局へお出しになる理由につきましては、私どもといたしましては、先ほど次長から答弁申し上げましたように、一般の納税者につきましても、実情に即した課税をするわけでございますが、同和地区関係者につきましては、同対審答申にございますように、特に社会的、経済的な諸問題があるということで、きめの細かい、実情に即した取り扱いが必要だということで、念のために国税庁長官から四十五年の二月に通達を出しておる、こういうふうな事情でございます。一般の納税者に比べまして特別に優遇するといいますか、不公正な扱いをすると申しますか、そういうことではございませんで、あくまでも実情に即した課税をいたしておるわけでございますので、私どもの立場からは、なぜ局へまとめてお出しになるのか申し上げる手段がないわけでございます。

○東中分科員 理由もわからぬ、わからぬどころか、理由については理解できないということでしょう。わからぬというのは理解できない、理解できたらわかるわけですから。理由は理解できないけれども、とにかく三千通ものものを大企連では持ってくる、そいつを受け付けて、また税務署へ持っていって、きめ細かく特別に扱う、こういうことになるわけですね。いまあなたの言われていることは、そういう事態になっている。

 どういうように扱っているかと言えば、所轄税務署ではいわゆる金ラベルをつけている。黄色のラベルをつけて統括官しか扱わない、こういう扱いをしていますね。どうですか。

○横井政府委員 局へお出しになる理由につきましては、御指摘のように私どもわからないわけでございますが、署へ送りまして、署の方で実情に即した課税を行うようにいたしておるわけでございます。

 金ラベルを張っておるのかどうか、統括官だけということになっておるのかどうか、その辺、私ども十分存じておりません。署で必要に応じて適正な処理をしておるというふうに判断しております。

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○東中分科員 特別に金ラベルを張って、一般職員にはタッチさせないで、統括官だけがそれを処理するということをやっておるかどうか、あなたは知らぬとおっしゃった。知らぬなら知らぬでよろしいが、そういう特別の扱いをすること自体いいことなのかどうか。国税庁としては認めておるのか認めていないのか、実際にやっているかやっていないかは別にしてですよ。実際はそうやっているのですが、そういうやり方を認めておるのかどうか。次長どうですか。

○磯辺政府委員 いわゆる同和地区の課税の問題につきましては、第一線でいろいろと考えて配意をしながらやっているわけでございますが、具体的にどういうふうな措置を講ずるかというようなことにつきましては、それぞれ同和地区の実情も違いますし、いろいろ歴史的な問題もございますので、それぞれの出先が、現地におきまして実情に即して創意工夫をこらしてやっていることと思います。

○東中分科員 あなた何を言っているんですか。それぞれの同和地区の状況について、地区の実情を調査するということはしない、どの地域がどうなのかわからないとあなたさっき言ったじゃないですか。ただ相手の言うことだけしか決められないのだとさっき言ったでしょう。それが国税庁の立場でしょう。この地域はどうなんだ、この地域の歴史的な条件はどうなんだ、そんなことを調べるのですか。所轄署でそれを調べさせるのですか。そんなことはしないと先ほど答弁したでしょう。いま言っていることと明らかに矛盾しているじゃないですか。

 私がいま聞いているのは、そういう矛盾したごまかしの答弁じゃなくて、税務署の中で金ラベルをつけて、その書類だけは特別な扱いをして、担当官も一般職員をつけないという扱いをする、大企連から来たものについてはそういう特別な扱いをする、東企連から来たものはそういう扱いをするというようなことが許されるのかどうか、それが国税庁の方針なのかどうかということです。そういう方針でないならない、そういう方針ならそういう方針と、どっちかしかないのですから、はっきりと答弁をしてください。

○横井政府委員 いまの御指摘は、先般、三谷議員の御質問に対しまして、長官が同和地区の状況を調べるとお答え申し上げた。次長からは、同和対策室の所掌事務が研修等の実施とか実情を把握すること、実情に即した課税について職員を指導すること、こう申し上げたので、その食い違いをお聞きになっておるように思うのでございますが、次長の答弁は、当然、同和地区の事情等を調べまして、その上で実情を把握し、それから実情に即した課税について局署職員を指導する、また研修等の実施も指導するということを申し上げておるわけでございます。

○東中分科員 そんな答弁じゃだめだよ。地区の状況は調べないとさっき言ったじゃないか。どの地域が同和地区なのか、だれが同和地区の人なのかわからないのだ、そういうものは調べませんと、こういまここで次長が答弁したんですよ。直税部長は、上司の言っていることを合理化するような違ったことを言いなさんな、私はいま次長が言うたことについて聞いているのだから。

 私がいまここで質問しているのは、そういう内容についてじゃなくて、金ラベルの、特別の担当官を決めてやるという扱いは庁の方針なのか、方針でないのか、これは、やっちゃいかぬことなのか、大いにやってよろしいということなのか、どっちなのかと聞いているんですよ。

○磯辺政府委員 ちょっとくどくなりますけれども、私、特別に調査をしないというふうに申し上げましたのは、納税者が同和関係の人であるかどうか、そういった個別的なことまでは税務署の方で立ち入るべきじゃないし、調査をしないと申し上げたわけでございます。ただ、同和地区の方たちが来られて、その実情をいろいろと税務署の方に言ってこられますので、それに応じまして当該税務署あるいは国税局が、実態に即したきめの細かい配慮をしながら課税処理をしていく、そのために、それぞれの状況に応じまして第一線で考えていると思います。したがいまして、これは、やはり現地の判断に任せてしかるべきものだと考えます。

○東中分科員 そんなことを聞いているんじゃないんだよ。金ラベルをつけて統括官だけが担当するというやり方はいいのか悪いのか、庁の方針としてどうなのかということを聞いているんですよ。どうなんですか。

○磯辺政府委員 一概に、いいとか悪いとか、ちょっと申し上げるわけにはいかないわけでございます。といいますのは、署の方でいろいろと創意工夫をしてやっておりますから、やはり私たちは、第一線の実情に即したやり方というものを尊重していきたいと考えます。

○東中分科員 いま、いいとか悪いとかいうことは言えないという答弁ですけれども、ということは、そういう扱いをやってもよろしい――そういう扱いを必ずやれと言っているわけじゃないけれども、やってもよろしいという姿勢を国税局がとっているということですね。どうですか。

○磯辺政府委員 長官の方の通達では、「今後とも実情に則した課税を行なうよう配意すること。」という基本的な方針を示しております。第一線におきましては、その基本的な方針を受けまして現地でいろいろと一番適切な方法を講じておると思いますので、私たちは、それがいいとか悪いとかじゃなしに、現地のやり方というものを尊重していきたいと考えます。

○東中分科員 大臣にちょっとお伺いしたいのですが、いま次長はのんべんだらりと言っているわけですけれども、特定の団体が出してきた申告書について、要請があったからということで国税局で受け付けて、そして所轄署へ渡す、所轄署では金ラベルをつけて、統括官以外はタッチしないという特別の扱いをしている。そういう特別の扱いをすることは、納税者に対して、一番最初に言われました公平の原則から言っていいとお考えになっておるのか。大蔵大臣として、しかも、あなたは税務関係の出身者でもあられるわけですから、ひとつ大蔵省としての考え方をここではっきり示していただきたいと思うのですが、いかがでしょう。

○大平国務大臣 本来税法は、その執行を人によって二にすべきものでないわけでございまして、公正に適正にやるべきものだと思います。いわば、これが公理だと思うのであります。

 それでは、税務の実際においてどういうことをやって、実情に即した適実な課税を実現してまいるかということは、いま国税庁も申しておりますとおり、それぞれ工夫を現地でやっておることと思うのでございまして、それが第一に述べました、原則に不当に背馳しないというものである限りにおいて、それぞれの工夫は、適正な適実な課税をやっていこうという上から申しまして許されるのではないかと思います。

○東中分科員 公正であれば許される、しかし金ラベルをつけて特別な扱いをするというようなことが公正でないことは、明らかにほかと違うのですから、そういう点で公正でないことは明白だ。

 そこで、そういう事実があるかないかについては知らないという形でいま言われましたけれども、事実はありますから、それをはっきりと調査して、そういう特別な扱いを是正すべきだということをここで強く要求しておきたいと思いますが、やられますか。そういう事実があるかないかということについて調査をして、それについての回答をちゃんと出されますか。国税庁どうです。

○磯辺政府委員 現状を調査してみたいと思います。そしてその上に立って、それがいいか悪いかということを、私たちなりに深く考えてみたいと思います。

○東中分科員 では調べてぜひ検討してもらう。これは明白な差別ですから。

 そこで、話は変わりますが、同和控除というのが言われています。同和控除は、事業所得の三〇%を同和控除ということで申告書の中に書かして、そしてその分を、書いてきたものを税務署が認めるというふうな扱いをしておるわけでありますが、法律上、租税法律主義のたてまえからいって、同和控除という一律事業所得の三〇%を控除するという制度があるかないか。まず、その制度があるかないかということについて聞きたいのですが、国税庁どうですか。

(36/39) 次の分割内容へ

○横井政府委員 御質問の同和控除というのが、法律、政令等にあるかどうかということでございますが、そういう特別の控除は、法令上認められておりません。また御質問でございますが、私ども、そういう同和控除というふうなものを認めておるということでもないということを申し上げておきたいと思います。

○東中分科員 同和控除は制度上ない、制度上ないものを認めたら、それは違法だということになりますが、そうでしょうね。

○横井政府委員 おっしゃるとおりでございます。

○東中分科員 もしそれを認めるということになったら、脱税を認めることになりますね。そういう名目をつけて一律三〇%所得から引いちゃうというのは、これは脱税行為になりますね。そうじゃないですか。

○横井政府委員 予算委員会におきまして、長官からお答え申し上げましたように、最近におきましては、同和控除というふうなことを明記いたしました申告書は提出されておらないというふうに報告を受けておるわけでございます。

 かつて、そのような同和控除というふうなことを書いた申告書がなかったかどうかということについては、私、正確な記憶を持っておらないわけでありますが、いずれにいたしましても、納税者の方々から申告書が出ました際におきましては、私どもは、申告審理をいたしまして、違法な申告書あるいはまた妥当でない申告書につきましては、これを調査対象ということにいたしまして、署全体の事務量等を勘案いたしまして、緊要度の高いものから調査をいたしてまいる、こういうたてまえにいたしておるわけであります。

○東中分科員 同和控除という申告書が、これはある税務署、特に名前は言いませんが、昭和四十二年度の申告から出てきているようですね。ここに私が持っているのは、四十三年度の分の一例でありますが、この人の場合は、同和控除で九十四万二千何がしの計算をわざわざし直して、そうして字が違うのですけれども、一般の申告書の中を訂正しているのは、これは税務署の人が書いたのじゃないかと思うくらい数字の書き方が、素人が書いた場合は金くぎみたいになりますけれども、すすっとした非常にスマートな書き方をしているんですよ。そして、これはそのまま認められている。四十三年度です。たまたま私の手に入ったのがそうですけれども、そういう扱いがされている。違法な、同和控除と堂々と書いてあるわけです。

 この間、予算委員会でお見せしたようでありますが、そういうものが四十七年までずっと続いておったということ。そういう実態について、いま、やっておったかどうか知らぬということを言われましたけれども、これは少なくとも明白な違法行為になるわけですね、それをもし税務署側がそのまま認めているということになれば。これは実際に認めているのですから、そういう点について調査をして、もしそういうことがあれば是正するという処置をとられますかどうですか。四十七年度までありますから、いまの点でまだ時効じゃありませんから。どうですか。

○横井政府委員 先ほど申しましたように、税務署では申告を審理して調査対象を選定した上で、緊要度の高いものからやっております。かつ御指摘のように、通常のミステークあるいはまた計算の誤り、解釈の相違というようなことでございましたならば、三年間という課税の期間があるわけでございます。御承知のように、税務署の所得税の職員は、一万人で八百万件の処理をするわけでございますが、そういう中で、緊要度の順番に応じまして課税年限の中で極力努力をしながら課税の公平を保っていくということでございますので、今後とも努力をしてまいりたい、かように考えております。

○東中分科員 今後それを調べるということはいいですけれども、私がここで申し上げていることは、一般的なことを言っているのじゃなくて、あなたが先ほど、年間大企連で三千通と言われた、大企連を通じて出てくる大阪府同和地区企業連合会会員の証という判この押してある、国税局の受付判が押してあるその事案について、わざわざ同和控除という項目をつくって、三〇%の計算をしてやっているのですが、そうしてこれは認めるべきものでないということをあなた言われたけれども、ところが実際に認められておる。しかも、申告ではそういうものを出してきたことがあるということは認められた。大企連というのは同じ行動を起こしているわけですから、大企連の中で一人は同和控除を書いて、ほかの人は書かないというようなことはないのですから、これは制度的なものとしてやってきたということは明白ですから、はっきりと調査をして是正をすべきものはするということを、これは強く要請しておきます。

 ところが、最近になっては、なるほど同和控除とは書かなくなった。いまここに、私の手にあるのは昭和四十八年度の法人税申告ですが、これを見ますと、この明細書では三千七百三十二万、「当期利益」または「当期欠損の額」という項目にそう書いてある。そして減加算をやった後で、減加算をやった後の額のちょうど三〇%を今度はさらにそこから引くように数字が並べてある。項目にはどう書いてあるのかと言ったら、「同和控除」という言葉は書いてない。空欄にして三〇%を引くようになっている。これが法人の申告で出てきているわけです。「所得金額の計算に関する明細書」の中でそういうふうにちゃんとなっている。別表四です。

 あなた方は、同和控除ということは認められぬということをいま言われた。言葉は認めないけれども、実際はそういう数字は、わざわざ数字だけはきっちり三〇%で書いて出してきている。しかも法人税です。こういう事態があるのですが、同和控除は認められないというのは、名前だけが認められないので、実際はそういうことをやっていくということなのかどうか。そういうことは断じて許されぬことだと思うのですが、どうですか。

○横井政府委員 私どもは、同和控除というふうなことでございますとお認めするわけにはいかないと思うのでございます。ただ、先般の予算委員会におきまして、長官からお答え申し上げましたように、同和地区関係者につきましては、社会的、経済的な特殊な複雑な事情がございまして、そのために、たとえば借入金の利子でございますとか、あるいはまた立ち退き料でございますとか、特殊な経費がかかるような場合がございますならば、これは経費というふうなことになるわけでございますので、そういうものはお認めできるということでございます。

○東中分科員 それはあたりまえのことですよ。特別な金利が要ったら、その項目を起こすのはあたりまえでしょう。そういう項目を全部起こした上で、それと別に事業所得の三〇%を引いている。そこが問題なんですから、そういうことはやるべきでないし、やらないということをここではっきり言えますか。その点はどうです。

○横井政府委員 同和控除という名目で、経費がないにもかかわらず経費を控除するというふうなことでございますならば、適法あるいは適当ではないということでございます。それにつきましては、先ほど申し上げましたように、税務署は非常にたくさんの案件を抱えておりますので、全部について調査するということは実は大変困難でございます。で、緊要度に応じましてだんだんに調査をしてまいる、こういうことにいたしておるわけでございます。

○東中分科員 ことしは三千件と言われたが、大企連関係で三千件についてそういう扱いをしているということが問題になっているのであって、一般的な問題でなくて、特別に扱っているということを問題にしているのだから、特別に扱っていることについて、これは当然違法だということをあなたは言われているのだから、違法を正すのはあたりまえだと思うのです。

 会計検査院からお見えいただいていると思うのですが、その点について会計検査院としては、そういう金ラベルの扱い、それからこういう扱いがされているということについてどういうふうにされますか。

(37/39) 次の分割内容へ

○高橋会計検査院説明員 いまも先生と当局との間のお話を承りまして、いろいろな点が参考になったわけでございますが、われわれの日常の検査の上では、そういう事実がわれわれの検査の網の上に上がってこないのが実情でございます。

 それで、それにつきましてどういうような見解かということでございますが、私の税法で知る範囲におきましては、金ラベルとかあるいは同和控除とかいうような種類の問題は、これは税法上どこにも規定のないものじゃないかと思われますので、不適正な申告だと思われます。

○東中分科員 だから会計検査院としては、実際に定期に検査に入られるわけですから、入ったときにそういう内容について、大企連関係、解同朝田派の組織している企業についてそういう特別の扱いをしている問題、私たちは、そういう扱いをしているという事実をここで挙げているわけですから、そういう点について、ちゃんとした検査をやるということをここで約束してほしいのです。

 時間がありませんのでもう一点申し上げますと、ここに私が持っているのは譲渡所得であります。これを見ますと「要調査対象事案審理表」というのがある。これは、この事案について付せんが回ってきて税務署として調査に入ったということなんですが、その中で「選定理由無申告」というところに丸が打ってある。「無申告の理由等」というところに「大企連」と書いてある。こういう形です。そして最後に「譲渡所得納税相談兼申告審理事績書」という文書を見ますと、これは国税局の中でつくるものですが、大企連という判こがわざわざ押してある。これは国税局当局が押していることになるわけですね。その中に最後の処置が書いてあるのですが、局からの交渉で四十九年二月二十七日署長同行で資産税課何々何、これは特に名前を言いませんが、何々に説明し、少数事案として処理相当と認むということなんです。一番最初は一千万以上の案件だということで、そこに丸を打って調査に入って、こういう形の処理がされているわけです。これは全くでたらめきわまるものだと言わなきゃならぬと思うのです。そしてその結果、譲渡税は全部ゼロになっているんですね、当初は一千万ぐらいのことということで入ったわけですが。

 それから、もう一つの例をここに持っていますが、これは大企連関係者に対して、やはり譲渡所得をゼロにした例です。譲渡所得が問題になる場合に、当然その譲渡資産を取得した時期が明らかでなければ課税のしようがないというのは明白ですね。ところが、この申告書ではその欄は空欄ですよ。そして譲渡価格の総額が二百万円、取得価格、設備費、改良費が百七十五万円、結局は特別控除額十七万五千円を入れて譲渡所得金額ゼロ、こう落としているんですね。しかもこの記録によると、統括官AならAという人のその同じ判が担当者のところに押してある。統括官が担当して、そして譲渡所得の申告をゼロで認めるについて、それを取得年月日空欄のままで処理する。

 このものについて私、調べてみました。これは大阪の税務署でありますけれども、この物件は東京なんです。世田谷区です。りっぱな住宅地域です。その売った土地は、建設省が告示している公示価格によると千四百万円ですよ。それが二百万円と書いてあるわけですね。税務署の路線値の評価価格でも五百五十万円ですよ。これは同和地区の問題じゃないのです。大企連の判を押してあるだけなんです。こういう処理がされている。これはゼロになるように計算して逆算して書いていったとしか思えぬわけですね。ゼロにして、それで二百万にして、百七十五万にして、しかし余りにもつじつまが合わぬものだから、取得年月日は、短期と長期で明白に課税率も違うわけですから、その部分は空欄にしてある。こういうことを税務署側がそのまま認めているんですよ。

 これについて大企連が発行しているこの文書によると、税務署側、大阪国税局長と話し合いをやって、そして自主申告については全面的にこれを認めるという約束をさした、確認事項をとったのだということを言っている。その線に沿って実際に処理されている。もし申告を無条件に全面的に認めるというような約束をしているとすれば、これは違法行為の最たるものだと言わなければならぬが、こういう処置がいまやられているわけです。

 これは、なぜそういうことになったのかと言えば、解同朝田派が、あるいは大企連が、税務署へ行っていろいろ圧力をかけた。おまえが差別していないと言うのだったら、おまえの娘をわしの息子の嫁に渡すか、こういうようなことを言う。それについて、いやそれは人権に関するものですからと言ったら、そういうことを言うのは差別だということで、これは富田林ですかでやられた例が報告をされています。そういう圧力が加えられた中で、いま考えられぬような措置がされている。玄人なら、あるいはもう常識的に考えたって、取得時期が白地のままで譲渡所得の計算をして、それが統括官担当を通ってくるというようなことは考えられぬことですが、事実あるのです。こういう扱いをやめるべきだ。国の徴税機構というのは、非常に中枢的な権力機構だと思うのですが、それがそういう事態になっているということについて、速やかに調査し、措置するということを国税局に約束してもらいたい。

 それから大臣、こういう状態を置いておいては、これはもう大変なことになると思うのですが、御所見を承って質問を終わりたいと思います。

○磯辺政府委員 いまいろいろ東中先生の方から、現状といいますか、課税のやり方等について御指摘がございました。同和問題というのが非常にむずかしい問題である、それからまた、あれほど長い間の議論の末同対審の答申が出された、しかも、その中に盛られておる同和関係者の人たちの長い間の歴史の積み重ねである社会的あるいは経済的な差別、あるいは不当な取り扱い、そういった状態に置かれた人たち、その人たちの実情にわれわれはきわめて深い理解を示して、私たちといたしましては、課税に当たりましても、きめの細かい、実態に即した課税をやっていきたいというのが基本的な考え方であります。そういった意味におきまして、現地の国税局並びに税務署を指導していきたいと思います。

○東中分科員 私のいま言うたことについてどうするのだ。

○磯辺政府委員 私たちは、きめの細かい配慮をして課税をしていきたいと考えております。

○東中分科員 譲渡所得で、その不動産の資産の取得年月日を書かない、そして時価から言えば、いま言ったように明らかに違う、しかも、その不動産は同和地区にあるのではないということが書面上明白なんですから、そういうものについてはどうするのか。それもあなたの言う、きめの細かいことで結構なんだという考えなのか、そういうのはあってはいけないということなのか、それを言っているんですよ。

○横井政府委員 技術的なことからお答え申し上げますが、現在御承知のように、長期の譲渡事案につきましては、譲渡価格の五%が取得価格というふうに認められておるわけでございまして、必ずしも取得時期がはっきりしなくともよいということは、御承知のとおりでございます。これは御承知のように、非常に古くから持っておられます土地につきましては、取得価格が非常に低いわけでございます。四十四年の土地課税改正に当たりまして、そういう案件につきまして五%まで認めよということでできておるわけでございます。

 それから全体的な問題でございますが、所得税につきましても同じように資産税関係につきましても、大変たくさんの案件を抱えております。三千人の職員がおりまして百五十万件、一人当たり五百件の案件を抱えておるわけでございまして、私どもは、それらの案件につきまして、緊要度に従いまして順次調査をいたしてまいっておるわけでございます。

 それから大企連と国税局等の間で申告をそのまま是認をするというふうなことを約束したということはございませんで、現に、調査をいたし、修正申告を出していただくとか、あるいは更正をいたした例もあるわけでございます。いずれにいたしましても、緊要度に応じまして、かつ課税の時効の問題もございますから、だんだんに努力をいたしたい、かように考えております。

(38/39) 次の分割内容へ

○東中分科員 時間が過ぎておるのであれですけれども、質問に答えてくださいよ。長期か短期かということは、取得時期がわからなかったらわからぬでしょう。その取得時期も書かないで、長期だという判断をするか短期だという判断をするか、そんなことできっこないのだから、そういう処置がなされているということについて、ぼくは具体的に指摘しているのだから、そういうことがされておったのでは、これは税務行政としてはきわめてぐあいの悪いこと、あるいは違法状態を認めることになるということなのだから、そういう点についての調査をするかどうかということを言っているわけです。私の言っていること、わかるですね。そういう調査をする、これは当然のことじゃないですか。特定団体大企連から申告してきたものは、無条件に認めるというのじゃないのだということをあなたは言われた。しかし、実際にこういう不合理なことが起こっている。ぼくらの方には全部の資料が入っているわけじゃないのだから、たまたま入ったやつを見ただけでも、大企連の判こを押してあるものは、全部そういう疑問のものばかりだということで指摘をしているわけですから、そういう点について調査をし、適正な課税をすべきものはする。重くかけたりなんかしたら、それはいかぬのはあたりまえのことです。実情に即して、それこそ適正に課税するのはあたりまえじゃないですか。そういう点の調査をやるということ、これを私は言っているわけです。

 それから、こういう文書で書いている、私が読み上げたような青色、白色を問わず、全面的に自主申告を認めるということを書いているのは、そういう話ではないとあなたはおっしゃったから、いま頭を抱えて肯定されているのですが、そうすると、この大阪府同和地区企業連合会の名前で出しているこのパンフは、うそのことを書いて出しているということをあなたが認められたことになるわけですが、そういうふうに理解していいかどうか。

 それから大臣、異常な事態が起こっているわけです。そういう点について適正に調査し、公平に課税するというのは当然のことだと私、思うのですが、大臣の決意のほどをお聞きしておきたい、こう思うわけです。

○大平国務大臣 税務は適実、適法に執行されなければなりません。それが適実でなく適法でない処理が行われておるというようなものがございますならば、これは、われわれの手で是正し、修正してまいらなければならぬことは当然でございまして、鋭意努力してまいるつもりです。

東中光雄
075回-衆-大蔵委員会-15号 1975/03/12
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○上村委員長 東中光雄君。

○東中委員 政務次官にお伺いしたいのですが、大蔵省、国税庁、国税局、税務署、それぞれの組織は、大蔵省設置法あるいは大蔵省組織令あるいは大蔵省組織規程、こういった法令、規則に基づいてやられておるものだと思うのです。当然のことでありますけれども、確認をしておきたいと思うのですが、いかがでございましょう。

○森(美)政府委員 東中委員のおっしゃること、そのとおりでございます。

○東中委員 前回、予算委員会の分科会でお伺いしたのですが、大阪国税局、東京国税局、高松国税局及び広島国税局で、組織規程にない同和対策室という機構がつくられておるということの御答弁があったわけですが、組織規程に基づかないそういう機構をつくり、それに人員を配置するということは、国税局には特別に認められておるのかどうか、組織規程に基づいてやるべきだというふうに思うのですが、いかがでございましょう。

○磯辺政府委員 ただいま御指摘のいわゆる同和対策室の問題でございます。これはただいま先生が御指摘のように、現在大阪国税局ほか三局に置かれておりますけれども、これは法令に基づいて設置されました機構というものではありません。しかし、こういった機構というのはほかに例がございまして、これはたとえて申し上げるのはいかがかと思いますけれども、たとえば各国税局に診療所の設備があるとか、あるいは合同庁舎に入っております場合に、合同庁舎の管理室といったようなものをつくっております。ですから、そういった意味で正式の機構ではありませんけれども、実情に応じて便宜置かれておるという例がほかにもあるということでございます。

○東中委員 建物の管理の問題は、これはその建物に応じて管理の体制というものが要るだろうと思うのです。それから診療所というのは、それ自体は行政行為ではないわけでです。行政行為について担当官を特別の組織規程に基づかないで配置して、そして一つの機構をつくるという例は、いま言われた例とは全く違うわけですね。

 いま同和対策室と言われておるのは、明らかに行政行為、行政機構としての問題であります。必要なら、大蔵省は組織規程を変えればいいわけですから。組織規程は変えない。そういう必要はないということで変えていないのだと思うのですが、組織規程で決められることであります。省内でやれることです。大蔵省は組織規程の中にはそれは入れていない。税務相談室というのはわざわざつくってある。それなのに、それとよく似たような機構をわざわざ別につくるというのは、設置法なり組織規程の精神から言って、あるいは法令の性格から言って、私は逸脱しているのじゃないか、こう思うのですが、国税庁の考えではなくてて、大蔵省として、ちゃんとそういうものをつくっておりながら別のものをわざわざつくっているというのは組織機構として正しくないのではないか、こう思うのですが、政務次官の御見解をお聞きしたい。

○森(美)政府委員 ちょっと事務的に説明させます。

○磯辺政府委員 正式の機構ではありませんけれども、私たちが仕事をいたします場合に、たとえばある一つの問題を取り上げてプロジェクトチームをつくったりすることがございます。そういう場合には便宜何々班という言葉を使っておりまして、その主宰する職員を通称班長といったようなかっこうで、これは正式の任命ではありませんけれども、その職務を扱わしておる例というのは問々あることでございます。

 同和の問題につきましても、特にこれが重要な問題であり、非常に困難な問題であるというふうな認識から、特別に同和対策室といういわば通称の総合調整をするチームを編成しておる、そこのチーフを室長といっておるというのが実情でございまして、これは必ずしも組織規程あるいは法令に基づかないからそういった機構をつくってはならないといった問題というわけにもいかないと考えております。

○東中委員 つまらぬへ理屈の議論をここでやろうと思いませんけれども、チームをつくって班をつくるというのは、その一つの機構の中でそれを実際に運用していく場合に、大きな脱税事件があったという場合、それを追及するのに班をつくるということもあるでしょう。それは全く運用の問題であります。ぼくがいま言っているのは、機構の問題を言っているのですね。同和対策室という――部、課、室という形で機構は成っているわけですね。税務相談室というのは国税局の総務部の中にある。しかし、その総務部の中に同和対策室というのは機構上ない。しかし、実際にはそれが設けられている。そして窓口がつくられて、プレートも張って、私、昨日でしたか行ってみたら、特別のソファーを置いてある。ほかのところは、それぞれの課へ行っても、課長の席の横にちょっと応接セットが置いてあるだけ。ところが、この同和対策室だけは特別のりっぱなソファーがずいぶん広い場所をとって置いてあるという形で、明確に入り口のところにプレートを置き、そういう機構をつくっているということになっておるからには、それは組織機構の法令に基づいてやっていく。法治国家ですから当然のことですね。そういう点からいって、いま言われたような調査についてのチームをつくって班長をつくるというようなものとは、これは明確に違うわけですから、そういうものは正すべきではないかと言っているわけです。

 国税庁の考えはいま言われたようなことかもしれぬけれども、それは、性質の違うことを言っていることはもう明白です。一つのチームをつくってその班長をつくる、それは機構じゃなくて便宜的なものでしょう。あるいは臨時的な、あるいはまさにその問題に対応する行政行為をやるためのチームなんであって、対策室、相談室あるいは何々課という機構とは別のものである。

    〔伊藤委員長代理退席、委員長着席〕

だから、そういう点では明らかにおかしいと思うのですが、大蔵省の組織規程にない、いわばもぐりの機構を対外的に発表し、プレートをつくるという形でやるというのはいかがかと思うわけであります。そういう点で、大蔵省としてこれは本当に検討をしてもらわなければいかぬのじゃないかと思いますが、大臣がおられませんから、政務次官、いかがでございましょう。

○森(美)政府委員 ほかにも実例がありますので、次長から一言言わせます。

(22/35) 次の分割内容へ

○磯辺政府委員 私たちは、同和問題は非常に重要な問題である、また同和問題についての職員の研修と深い理解が必要だというふうな根拠で、これを重点項目の一つとしてつくっておるわけでございまして、これを設置しているということがいまの税務行政にマイナスになるとは考えられないわけであります。そういった意味におきまして、大阪国税局で同和対策室をつくっておる、しかもこれは、いわゆる同和対策室ですけれども、総務課の中でそういった同和問題を取り扱い、研修とか相互調整をやる一つのグループでありますから、これをいますぐ廃止するというふうな考えは持っておりません。

○東中委員 そうすると、それは総務課の中の一つのグループしかすぎないんですね。対外的に麗々しく同和対策室というプレートを掲げて、これの十二階へ上がっていってエレベーターをおりたら、同和対策室はこちらという案内のプレートまで出してあるのですよ、総務課の中の一つのグループで。そういう非常に奇妙な扱いをしているということだけははっきりと指摘しておきたいと思うのです。国税局は何たることだというふうに思いますよ。グループならグループとして扱えばいいんであって、チームについて一々何々チームといってプレートを出しますか。出しはせぬでしょう。総務課の中に三人のグループがいるから、そのグループをわざわざ室と呼んでプレートを出す。同和事業、そして未解放部落の解放あるいは差別をなくしていくことが重要だということとそういう組織的な問題とは全く別のことであります。すべての職員が差別をなくしていく、すべての職員が憲法を守らなければいけなうというのと同じような意味で非常に重要なことなんです。

 ところが、特別のグループをつくって、特別の部屋をつくって、特別のソファーを置いて、特別のプレートを立ててということが重視していることになるか、そういうものじゃないと私は思うわけです。しかもこれについては、次長は、この間の私の質問に対して、所掌事務とは何かということで、所掌事務を三項目挙げましたね。グループについての所掌事務なんというのはないわけですね、本来総務課の所掌事務というのは決まっているわけですから。ところが、その総務課の所掌事務に書いてないほかの所掌事務というのを三項目挙げている。これはあなたがいかにその場逃れの答弁をされようと――所掌事務はこういうものですと、総務課の所掌事務の中には挙がっていない所掌事務を国会で答弁しているわけです。そうしておいてそういう室をつくっているということでありますから、国税庁は納税者に対して公平の原則で、そして租税法律主義に基づいて適正に課税措置をしなければいけないという立場から言って、こういう扱いは明らかに機構の面でも特別に扱っておるということで、当然検討されなければならない問題だと思うのですが、この点をまず指摘しておきたい。

 ここで一体何をやっているんだという問題があります。この間も言われましたが、ここへ、大阪府同和地区企業連合会会員の証という判こを押した申告書が出される。しかも約三千通とおっしゃいました。ところが、これは大阪府同和地区企業連総会の第六回の議事録かと思いますが、大企連が公式に発表しておるパンフレットがあります。ここに載っているのを見ますと、四十八年度の所得税申告数は四千五百三十六、法人税の申告数は二百四十五というふうに公に発表しているわけです。この三千と約五千近くとの違いでありますが、相当数のものが国税局に確定申告書を出してくるということでありますが、大企連、正確には大阪府同和地区企業連合会から出てくるそういう書類については、実情に即した綿密な調査をやるんだというふうに言われたわけです。

 同和地区関係者と言われる範囲は、大阪国税局管内であるいは大阪府下だけでもこんな数じゃないということは御承知だと思うのですが、同じ同和地区関係者であって、大企連の判こを押して出してくるのはここで扱うけれども、それ以外の人たち、この団体に入っていない人あるいはこの団体を窓口にしていない同和地区関係者に対してはどういう扱いをされるのか、その点をお伺いしたいと思います。

○磯辺政府委員 まず事実関係でございますが、いま先生おっしゃいましたように、同和関係者の所得税あるいは法人税の申告書が国税局に持ってこられまして、大阪国税局等では同和対策室でそれを受領する、その後で所轄の税務署の方にそれを回しておるということは事実でございます。

 ただ、私たちが了解しておりますのは、先生御指摘のように、単に大企連に所属しておる方の申告書だけをそうやっておいて、大企連に所属していない同和の方たちの申告書はそこで受け付けないというふうなことはやってないつもりでございます。それは同対審答申の精神に盛られましたような同和問題を一括して同様に私たちは考えておりますので、そういった差別はしていないと了解しております。

○東中委員 大企連関係者以外で持ってきている人というのはあるんですか。

○横井政府委員 大企連関係者以外で局の方へまとめて提出されるということは聞いておりません。ただ、次長が御答弁申し上げましたように、国税庁長官通達では、同和関係問題につきまして社会的、経済的諸問題がございますので、実情に即した課税をするようにということを通達いたしておるわけでございまして、各国税局といたしましては、大企連所属とかいうことではございませんで、同和関係者について一様に実情に即した課税を行うということになっておるわけでございます。

○東中委員 同和地区関係者というのは、関係者であるかないかということを国税局としてどうして識別するのですか。

○磯辺政府委員 これは私がこの前予算委員会の分科会で御答弁申し上げましたけれども、私たちの方から積極的に同和地区関係者であるかといったような調査をするということはやるべきではございませんし、またそういった調査をすることは好ましくないと思います。したがいまして、私たちがいわゆる同和関係者として実情に即した課税をやるというふうなことを言っておりますのは、御本人の方からそういった、私は同和関係者である、あるいはその同和地区に居住しておるために特別に実情を見てもらいたいといったような御申告のあった場合、そのときに私たちはそのような措置を講じておるということでございます。

○東中委員 そうすると、同和地区関係者であるかないかは、言うてきた人だけを見るということであって、言うてこない人はわからないという立場ですね。しかも言うてくるのは、大企連ということで判こを押して国税局へ持ってくる人以外にありますか。

○横井政府委員 同和会関係の方とかあるいは正常化連関係の方、こういう方で同和関係者があるというお申し立てを処理なさる方もいらっしゃるというふうに伺っております。

○東中委員 それはどういう形でやるのですか。申告書に判こでも押してくるのですか。大企連関係は申告書に判こを押して持ってくる。というのは、あなた方国税局の中でも大企連と書いた丸い判、横に細長い判を押しておるということ、これは明白な事実ですけれども、その点はどうですかか。

○横井政府委員 申告の段階あるいは調査の段階におきまして、御本人のお話等を伺って判断しておるということであろうと思います。

○東中委員 大企連関係は、話じゃなくて、判こを押してまいりますね。

○横井政府委員 大企連の関係者の方々につきましては、大企連という判こを押印しておられる場合がほとんどであるというふうに聞いております。

○東中委員 税務署の中で、あるいは国税局の中で大企連という略称の判こをつくっておられますね。これはあちこちにあるから、ぼくは押してもらってきたのがあるんですけれども、こういう判こですと言って。

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○磯辺政府委員 この判こは、私は初めて見ますのでよくわかりませんけれども、上の方は昔の、当用漢字にない「聯」ですから、あるいは違うかもしれませんが、下の方の判この「連」は現在の当用漢字にありますから、あるいはつくったのかもしれません。それは一応調査してみなければわかりませんけれども、税務署の方で、たとえば調査カードなどを整理いたしますときに、所属団体ということが、いろいろな参考のデータの中に入りますから、そのときに、大企連の方が多いような場合には、あるいは手で書くかわりにそういうふうな調査カードに判を押して一応の整理をしているということがあるのかもしれません。いずれにしましても、この判こだけでは、税務署でつくった判こかあるいは先方でつくられた判こか、それはよくわかりかねると思います。

○東中委員 私ここに幾らかの、税務署の中でつくった、税務署内部の書類に大企連という判こ、それと同じ判こですね、細長く丸く囲いをしてある方の大企連という判こですが、それを押している書類を持っています。と同時に、国税の職員の人に窓口で聞いても、こんなのは幾らでもありますよと言うから、ぼくは押してもらってきておるのであって、知りませんなんというような――この前、予算の総括の質問のときに、そういうのはないはずだという趣旨の長官の答弁があるから、おかしいということで調べたわけでありますけれども、実際にそういう扱いをしている。

 それから、大企連という組織については、特別にそういう国税局へ持ってきて、そこで受け付けて税務署へおろすという形をとっている。ほかの同じ同和地区の人であっても、言うてこなかったら、それはもうわからないということでほうってある。何かの機会に口頭で言う人もある。それは必ずしも絶無でないということをいま直税部長は言われたと思うのですけれども、組織的に国税局にわざわざ窓口をつくって、そこへ持ってきて、そこで受け付けをするというふうな特別な扱いはやめるべきじゃないか。何のためにそういうことをやるのかということは理解できない、わからないということを次長もこの前私の質問に答弁しておられます。次長ではなくて直税部長であったかもしれないが、どっちにしても国税庁としてそういう答弁をしておられるわけです。理由はわからぬけれどもとにかく持ってくるから、突き返すわけにいかぬからということで、何千通もの税務署長あての申告書を国税局へ持ってくる、国税局がそれを受け付けるというのは、いま言ったそういう組織自体が、機構自体が異常であると同時に、そこでやっていることが異常なんではないか。それを正する意思はないかどうか、その点いかがでしょう。

○磯辺政府委員 先生御承知のように、同和問題というのは非常にむずかしい問題でございまして、さればこそ、政府におきましても長い間時間をかけて同和対策審議会というものが繰り返し開催され、御承知のように昭和四十年の八月に同対審の答申が出たわけでございます。それほど非常にむずかしい問題であるというふうなことから、国税局あるいは税務署、そういった第一線におきましては、その同対審の精神にのっとって、そういったむずかしい問題を適切に処理しなければならないという考えからやっておるわけでありまして、むしろそういったふうな細かい配慮をした取り扱いというのは、やはりここ当分の間必要ではないかというふうに考えております。

○東中委員 大企連という特定の団体、その団体に入っている人が、あなた方の言う同和地区関係者であるのかないのか、これについても、あなた方としては調べようがないし調べていない、こういう答弁をされている。だから、概念として持っておられる同和地区関係者でない人も入っている可能性というのは十分ある。少なくともそうでない人が入っていないということは国税庁としては言えない段階である。そして、そういう一つの団体があって、それが国税局へ一括して判こを押して持ってくる。署長あての文書を、署へ出すものを、そこへ持ってくる。それをそのまま受けるということになると、これは大企連という団体に対して特別の扱いをしていることになるわけですね。

 では、ほかの団体が持ってきたら受け付けますか。納税者の団体というのはたくさんありますね。それが国税局へ持ってくれば、なぜ持ってくるのかわからぬけれども、持ってきたものを突っ返すわけにもいかぬから受け付けるのだということになりますか。その点どうでしょう。

○磯辺政府委員 理屈から言いますと、申告書は、国税通則法の規定によりまして、その所轄の税務署長の方に提出するということになっております。したがいまして、国税局に提出された申告書は、持ってこられたから、違うからといってそれをそのまま突っ返すというふうなことは、やはり私たちとしてとるべき態度じゃないと考えますので、それを分類いたしまして、所轄税務署の方に回付しているというのが実情であります。

 それでは、すべての納税者の方が、税務署に行くのがめんどうくさいから国税局に一括して持っていく、あるいは国税局が近いから、持っていったら全部受け取ってくれというふうなこともあろうかと思いますけれども、それは同和問題の特殊性というものがあるだけに、国税局の方としては、それだけのきめの細かいサービスといろいろと実情に即した取り扱いをするわけでありまして、全部の納税者が国税局に一括して持ってくるというのはいかがかと思います。ただ、持ってこられたからと言って、私たちはそれが無効であるとか、あるいはそれを突っ返すということはする考えはございません。

○東中委員 そうすると、ほかの納税者の自主的な団体というのは、たとえば納税協会もあるし、自主申告会もあるし、いわゆる民商と言われている団体もあるし、そういう団体が国税局へ一括して持ってきても、それは突っ返すようなことはしないと、国税庁次長は責任をもってここで答弁されたということでいいのですね。

○磯辺政府委員 それはやはり納税者の良識なり納税団体の良識に期待したいと思います。

○東中委員 いや、良識に期待するのはいいですよ。しかし、現実に大企連、東企連は持ってきているわけでしょう。この人たちは、良識に期待したいけれども、その期待に背いて持ってきているわけですね。ほかの団体も同じようにした場合には、実際上の扱いとして同じように扱うことになるのかならぬのかということを聞いているのです。

○磯辺政府委員 同じことを繰り返すようで恐縮でございますけれども、同和問題は非常にむずかしい問題がありますので、私たちとしては、特にむずかしい国税局におきましては、わざわざ同和対策室をつくり、それからそれに関する職員も配置いたしまして、そういったやり方をとっているわけであります。さればといって、大企連の方が持ってこられて一括受け取っておるから、それじゃすべての納税団体あるいは業種団体の人が一括して持ってこられて受け取るかと言われても、それは考え方としましては、納税者の方がせっかく持ってこられたことですから、それを突っ返すことは、われわれ公務員の立場としてやるべきではないと思いますけれども、円滑な税務行政の執行のためには、そういったことのないようにお願いしておるということでございます。

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○東中委員 円滑な税務行政の執行のためには、そういうことはないように良識に期待している。ところが、同和関係者じゃないのです。同和関係者で組織しているということになっている、それだけであるかどうかはわからないけれども、そういうことになっている大企連あるいは東企連という組織が持ってきたら、それを受け付けることが、同対審の答申なり同特法なりあるいは憲法なり、そういう趣旨から見て、社会的、経済的差別をなくしていく、こういう点から見て、一体まともにプラスになると思うているのですか。むしろ特別に扱っているということで、ほかとは別に、特別に差別的な扱いをしていることになりますね。

 ほかならそんなものは持ってこないのだ、持ってくる理由もわからないのだ、良識に期待して持ってこないだろうと思う。ところが持ってきている。それをそのまま受け付けておったのでは、むしろ良識に期待して税務行政を円滑にやっていくという点からいって、全部そうやったら大変だ、あなたはいまそう言っているのですから、それならそういう指導をするのがあたりまえじゃないか。法のもとの平等という点からいって当然のことじゃないか、こう思うのです。同対審答申あるいは同特法、こういう法律の趣旨からいって、いわゆる部落差別をなくしていくということは非常に重要ですよ。

 私ども共産党は、五十数年前から部落解放のためにずいぶん迫害を受けても、一緒にやってきたという経験と歴史を持っています。そういう点から見て、あなた自身が、良識に期待して、ほかの団体が持ってくることはないだろうと思うと言うが、特別にその団体だけが同和地区の関係者で、そこへ入ってない人はずいぶんたくさんいるわけですから、その人たちから言えば迷惑な話ですよ。それをやってきている。それについて何かはれものにさわるみたいにそれに応じているというのじゃなくて、それこそ適正に、公平に、平等に、差別なしに扱うということがむしろ行政としては必要なんじゃないか。何のためにわざわざ国税局まで持ってくるのか、理解できぬことでしょう。しかも居住地から言えば税務署の方が近い、国税局の方が遠い。それなのに一括してそこに持ってくるということは、それこそ良識で考えてみて理解できないことだ。それの指導をなぜやられないのか。

 普通の場合、間違ってほかのところに行ったら、ほんと突っ返されますよ。窓口で受け付けなんかしないじゃないですか。そういう点について、抽象的に同対審答申とか同特法とかいうことでなくて、特別な扱いをするということはやめなさい、それが部落差別をなくしていくという点からいってもむしろ重要なんだ、私たちはそう思うのです。その点いかがでしょうか。

○磯辺政府委員 同和問題については、何度も繰り返しますけれども、歴史的な非常に深いいろいろな問題、それからまた複雑な問題をはらんでいるということは御承知かと思います。そういう観点から見ますと、私たちの税務行政につきましても、そういった税務のやり方なりあるいは申告書の受け付け一つとりましても、一挙にこれを改正するといいますか、いままでのやり方と違うようなやり方をとるのもいかがかと思います。非常にむずかしい問題をはらんでおりますだけに、私たちとしては、第一線がこの同和関係者に対する課税というもの、それを通じて税務行政を円滑にやるためにいろいろと考えながらやってきておるわけでありまして、一挙にそういったやり方をいまこの際変えるということについては、私はいかがかと思います。やはり第一線の現場においていろいろと考え、長い間培われてきたと言うと変ですけれども、とられてきました税務行政のやり方にのっとってこの問題を運用していくのが一番いい方法じゃないかというふうに考えております。

○東中委員 次長はいま一挙に変えるのはいろいろ問題が起こる、こう言われたわけですが、変えなければいかぬことだということが前提になっている。一挙にやるかやらぬかというのは時期の問題ですね。まさに不正常な状態であるということを認めておられるわけですね。だって、法律から言って、国税通則法、所得税法あるいは法人税法法、全部税務署長に提出せよとなっているんだから。それと違うところへ持ってきているということになっている。いま、一挙に変えることができない、そういう正常な状態でない、一挙に変えるということは問題が起こるんだという趣旨のことを言われたけれども、これは「解同近畿ブロック」とこの文書には書いてあるんですが、部落解放同盟、私たちが朝田派と言っている部落解放同盟近畿ブロックと大阪国税局長とが、昭和四十四年一月二十三日以降の確認事項として、「同和対策を進めるために、税務署長級の専門担当者一名と職員二名、所得、徴収、資産、法人、間税各課長補佐を兼務職員とする同和対策室を設置する。」という確認事項ができたんだというふうに、先ほど言ったパンフレットに公然と書いてある。

 このことは国税庁もよく知っていらっしゃると思うのです。国税局も知っておられると思うのです。こういう確認事項があって、そういう約束はしていないとこの前答弁されましたけれども、約束していないんだったらすぐ正せるわけですからね。そっちに持っていきなさい、わざわざここへ持ってくることはないじゃないですかと。あたりまえのことですからね。それだけのことが言えないというのは、こういう確認事項をしておられるからではないのか。どうでしょうか。

○磯辺政府委員 大阪地区の解放同盟の方々、それから大企連の方、そういう方と大阪国税局長との間でいろいろと話し合いが行われたということ、これは否定できないと思います。その確認事項というふうにそのパンフレットにあるようでありますが、これはいつも御答弁申し上げますように、それは解同の方たちがそのときに要望した事項をまとめられて、それを整理されたというふうにわれわれは理解しておりまして、大阪の国税局長が、それに対して文書を交換したとか、あるいは確認事項として双方で署名捺印したといったようなことをやったとはわれわれは承知しておりません。

○東中委員 この文書によりますと、「昭和四十四年一月二十三日以降大阪国税局長と解同近畿ブロックとの確認事項」こう書いてあるんです。署名捺印したとかなんとか、そんなことは書いてないんです。そんなことを私は言っているわけじゃないんです。国税局長が当事者になって、解同近畿ブロックとの間に確認事項をつくったかどうか。それが口頭であろうと文書であろうと、そんなことは後へ残す方法の問題であって、確認事項というものがこの両者の間で確認されているのかどうかということを聞いているのです。いかがです。

○磯辺政府委員 先方の方から、同和問題についての詳しい実情の説明と、それから各種の御要望があった。それに対して国税当局の方で、十分に時間をかけてその実情と御要望を承ったということは事実であります。

○東中委員 要望があって、要望を聞いた。聞いたというのは、テークノートしたという意味の聞いたというのもあるし、物理的に聞いたという意味の聞いたもあるし、それから実際にそれを聞き入れて合意ができたというのを、聞きましたというふうに言う場合もあるから、そのどれなのかということを聞いているんですよ。ここに書いてあるのは、少なくとも大阪国税局長と解同近畿ブロックとの確認事項ということになれば、両者が確認した事項であるというふうに書いてあるけれども、その点はどうなのか、こう聞いているわけですから、正確に答えてくださいよ。

○磯辺政府委員 東中先生は法律の専門家でいらっしゃいますから、確認ということについて法律的にお聞きになるんですけれども、私たち実務の立場としましては、先方からの深刻な御要望、それからいろいろと実情の開陳がございまして、それを税務当局の方で深く認識して、そうして理解したということだろうと思います。

○東中委員 認識して理解した。そのとおりにやりますという約束をしたわけではない、こう聞いていいですか。

○磯辺政府委員 そういうふうに了解しております。

○東中委員 ところが、この文書ではそうは書いてない。国税局長と解同近畿ブロックとの確認事項だ、両者が確認した事項だというふうに書いてあるんだから、あなたの言われていうのとは違うことを書いているということになりますね。どうですか。

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○磯辺政府委員 それは先方の方の書かれた文書でありますから、違うとか正しいとか、私たちの立場では申せないわけです。

○東中委員 交渉の当事者が、先方はこういう確認事項ができたと言うている。あなたの方は、確認事項はできたと言っているのか、あるいは確認事項になっていない、聞いて理解しただけだ――相手の言うことを聞いて理解したということと、そういうふうにやりましょうという確認をしたということとは明らかに違いますね。国税局側は、十分聞いて認識して理解した、先ほどそう言われた。だから、そういうふうにやりましょうという意味の確認をしたわけではないということですね。直税部長、首を振っていますけれども、どうですか。

○横井政府委員 東中議員の言われるとおりでございます。その一年前におきまして、四十三年一月末でございますが、当時の大阪国税局長と大企連との間におきまして、いわゆる七項目というふうなことが確認されたというふうに言われておりますけれども、これも同様でございまして、先方の御要望を伺った。私どもの方でそのようなことを実行すると約束したことではない、こういうことでございます。したがいまして、この四十三年一月のいわゆる七項目につきましても、私どもがお約束したものではなくて、先方が先方の御要望を取りまとめたものでございます。

○東中委員 そうすると、確認事項ではない、承ってその要望の趣旨を理解しただけだということで、この内容について国税庁はあるいは国税局は、何ら拘束されるものではないというふうに聞いていいわけですね。

○磯辺政府委員 法律的な意味においては拘束されるという義務は発生してないかと思いますけれども、しかしその実情を深く理解したということは、やはり心情的にはできるだけ御要望の線に沿ってやりたいという気持ちが出ておると思います。

○東中委員 国税局という国家組織が、心情的に理解するというようなことはあり得ぬじゃないですか。国家機構でしょうが。国家機構が心情的にとは何ですか。心情的にというのは、個人的な、生物としての人間の心情の問題でしょうが。国税局というのは、国税庁というのは、そういう感情で――心情というのは感情ですね。感情で行政をやるのですか。

 第一、いま言われた「昭和四十三年一月三十日以降大阪国税局長と解同中央本部及び大企連との確認事項」この中にたとえばこういうのがあります。「企業連が指導し、企業連を窓口として提出される白、青色をとわず自主申告については全面的にこれを認める。」このことを心情的に認めるか認めないかということであって、ここでは認めるという確認事項があった、こう言っておるのに対して、あなたは心情的に理解をして、心情的にそれを尊重していくというようなことが国税庁としてあり得るんですか。全面的に認めるということは、部分的に認めるとかいう問題じゃないですね。個々にやらなければいかぬ性質のものでしょう。全面的に認めるというようなことを心情的に理解するというのは、国家組織としてそういうことはあり得るのかどうかです。担当官個人の問題は別ですよ。担当官個人が個人的な心情で行政を左右するということになったら、これはまたそれ自体大変ゆゆしい問題です。次長のいま言われたことは取り消して、そして、趣旨はわかったというだけであって、そういうことについては約束はできないという立場を、国税局としてはとってきたんじゃないですか。その点をひとつはっきりしておいてください。

○横井政府委員 話題に出ました四十三年なり四十四年なりの大阪国税局長と大企連との会合等におきまして、先方から東中先生御指摘のような御要望がございまして、私どもはそれを承った。それに対しまして局長側からは、同和問題の社会的、経済的な諸問題、それから特殊な事情、そういう問題につきまして、課税関係において実情に即した課税をいたすというようなことは申し上げてあるわけでございますが、七項目等につきましてお約束はいたしていないわけでございます。

 いま御指摘になりました、企業連を窓口として提出される申告書につきましても、国税局へまとめて持ってくるから受け取ってくれるか、こういう御要望がございまして、私どもは、税法のたてまえから申しますと、それぞれ所轄の税務署へ提出すべきものであるということを申し上げてございます。ただ、その後毎年のように局へ御提出になるわけでございますが、私ども前回の分科会、それからきょう次長から御答弁申しましたように、そのように所轄税務署以外に見えました場合におきましても、これを無効のものにする、あるいは期限を徒過させるというふうなわけにはまいりませんので、事実上受け取りまして署へ移送しているということでございます。そのことによりまして特別なフェーバーを与えているということではないというふうに理解をしているわけでございます。

 いずれにしましても、同対審答申等に基づきまして特殊な問題があるわけでございほすから、その実情をよく把握いたしまして、課税に反映させるようにしておるということでございます。

○東中委員 同意しているものではない、約束しているものではない、ということをいま言われましたが、当事者の一方が、約束があった、確認事項になっておるということを宣伝している。そういう立場で行動をしている。国税庁あるいは国税局側として、当事者の一方ですから、事実と違うものについて何かの処置をされる意思があるかどうか。

 確認してないものについて、確認されたんだということでどんどん宣伝している。そして、こういう文書にも出している。これは大阪。東企連の場合は東企連でまた文書を出して、ここにありますけれども、やっているということについて、そういう確認はありません、話は聞きました――いまここで言われたようなことを、交渉の相手方である側へ、税務行政の円滑な実施という点から見て、約束してないのに約束したということで向こうは動いておったら、そのたびにトラブルが起こるわけですから、約束していませんということを当然言うべきだと思うのですけれども、そういう意思がおありかどうか。ないということだったら、なぜ違うことを言われても――税務行政に明白に違ったことになっているわけですね。違ったことになっているのに、そのことによって税務行政が円滑にいかないということになっておるのにに、なぜそれをやらないのかということをお聞きしたいです。

○磯辺政府委員 まず最初に、国税庁なり国税局の方から、それは違うということを言うかどうかということでございますけれども、私たちは、いまそれを言う考えはございません。

 それはなぜかというふうに御質問でございますが、たびたび繰り返しますけれども、やはり同和問題というのは非常にむずかしい問題をはらんでおります。しかもこの問題については、かつての同対審でも議論されたといったことがございまして、私たちはやはりいかにしてこの同和問題というものを税務行政の中で円滑に遂行していくかということを考えておるからであります。したがって、これは永久にそういった現在のような方策をとるという問題ではなくて、同和問題というものがすっかり解消になる、そして、あえて同和問題について特別な議論をしなくても済むようになるまでは、やはり経過的にやむを得ない措置ではないかというふうに考えておるからであります。

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○東中委員 同和問題をなくしていく、正確に言えば未解放部落の差別というものをなくしていくということをやるために、確認してないものを確認したと言うてもそのままほうっておく、そういう普通ならあり得ぬことをそのまま特別に扱う、それが差別なんですよ。歴史的に考えてごらんなさいよ。それこそ差別ですよ。特別な扱いをしているじゃないですか。しかも、その相手は部落解放同盟朝田派、この人たちがつくっておる大企連に対して特別の差別をしているのです。未解放部落の同和地域関係者とあなた方が言われるそういう人たちの中での一部の人たちに対して特別な扱いをしているのです、ほかの人に対してはしていないのですから。

 逆に言うならば、ほかの同和関係者から言えば、そんな約束もしてないのに約束があったんだというふうな宣伝をされて、それでまかり通っていくのが同和関係者なんだというふうに思われることは、まことに心外だ、そんなごり押しをやるものではないのだという人たちがずいぶんたくさんいるわけですよ。その人たちも同じに扱ってしまうということになるわけでしょう。国家行政が公平で、憲法十四条の趣旨から言って、身分によって、あるいは性別やその他によって、社会的、経済的、政治的に差別をしないということを、まさにいまあなた方は差別をやっているわけですよ。普通ならこれは通らぬでしょう。そういう問題だ。これは歴史の審判を受けるようなそういう性質のものです。これは正すべきだということを強く申し上げておきたい。

 それから、国税局へ確定申告をやるのは申すまでもなく三月十五日が期限です。国税局へ出されている大企連の申告書、私がいまここに持っているのだけを見ても、日が徒過しているのがずいぶんあります。ここに私が持っておるのを見ますと、これは国税局の受け付けが四月八日、所轄税務署の受け付けは四月十日になっております。これは昭和四十八年分の所轄確定申告書、青色申告であります。それから昭和四十八年度分所得の所得税の確定申告書、この場合は大阪国税局総務課受け付け四十九年五月十五日となっております。そして、ある税務署の受け付けが四十九年五月二十二日、こうなっております。同じ日付の別の人のやつ、やはり四十九年五月十五日国税局の受け付け、前の方のやつです。下の方は五月二十二日所轄税務署の受け付け。ここに大企連という判こを押してある。こういう扱いがされているわけですね。これは、全部そのまま申告是認になっているわけですね。一般の人は、三月十五日、忙しいのに期限までにやらなければいかぬということでやっています。しかし、国税局へ持っていって、これでこういう判このままでまかり通っている。当然期限徒過の場合の加算という問題があるわけです。しかし、そういう処置は一切とられていない。現実はこういう扱いに実際になっているわけですね。

 こういうものについて、これは法の厳正な執行あるいは租税の公平の原則あるいは租税法律主義のたてまえからいって、こういうことが特別に、組織的にやられているということになったら、これはゆゆしい問題だと思うのですよ。税務行政そのものにとって大変な問題ですよ。たまたま私の手に入っているのがそうなんで、多くの、三千通ぐらいということを言われたそれは同じような扱いをされている。特別の金ラベルを張って、統括官以上だけが扱うということで、現実にそういう扱いがやれているわけですから、そういう問題について調査し、是正するという処置を当然とられるべきだと思うのですけれども、どうですか。そういうことをやられる意思はないですか。

○磯辺政府委員 期限後申告の問題は、それはよろしくないと思います。ですから、期限後申告でありましたら、それは期限後申告に応じた措置をとるというのが当然だろうと思います。

 それから、二番目に御指摘になりました金ラベルの問題でございますけれども、この前分科会で御指摘がございまして、私たち大阪国税局の方で調査をしたわけでありますけれども、税務署によりまして、そういった調査カードに金ラベルを張っているという税務署もございます。これは必ずしも大企連の方だけに金ラベルを張っておるというわけじゃなくて、いろいろと、業種とかそういった問題に応じまして、内部の整理のためにやっておる。そういったことは、裏を返して言いますと、同和関係者に対する課税というものに対して細心の注意を払って、きめ細かい、実情に即した配慮をしておる、それが間違いのないようにという意味の内部の整理だろうと思いますので、これはやはり現地の税務署におきまして、そういった整理のやり方が同和問題に対してベターであるというふうな考え方であれば、特にそれに対して廃止するということを、こちらの国税局の方なり国税庁の方で指示する必要もないかと思います。

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○東中委員 金ラベルを張って分類、整理するという程度なら、われわれそういうことは何も言いませんよ。問題は、それが統括官だけにとどまって、一般職員にはタッチさせないという扱いになっている。しかも、それが申告是認に、さっき確認事項に挙げられているいわゆる青色、白色を問わず、全面的にこれを認めるという形の処理になっておるというところが問題だと言っているのです。

 とにかく、重税を課せと言っておるのではないのです。適正にやらなければいかぬと言っておる。いま大企連に対しての調査はやるなということになっておる。それがいま一般にずっと伝わっていますよ。一般職員がそういう注意を受けて事後の調査に行く。そうしたら、あるところで、私は大企連だというふうに言うた人がおる。それで、それはどうも失礼しましたと言って帰ってこいということになっておるから、失礼しましたと言って帰ってきたが、どうもおかしいというので調べてみたら、何でもない。それで憤慨してある署員は、現地へまた行っていますね。だから本当に特別扱いされておるわけですね。そういう扱いになっていることを、私たちは税の公平という点から言って、こういうことではだめだということを言っているわけです。

 しかも、それは部落関係者ということでなくて、部落関係者でない人もそういうことを聞いてもう知っているのですから、だから部落関係者でなくて大企連に入っている人もいるでしょう。しかし、部落関係者でなくて大企連に入っていない人が、税務署が来たから税務署を追い返すのに、私は大企連だ、おまえそんなもの調べにきていいのかと言うということさえ起こっておるのですよね。これは私はゆゆしい問題だと思うのですよ。国家機構が、しかも税務行政が、そういうことで左右されておったらいかぬじゃないかということを言っているわけであります。

 これの事例をたくさん挙げるのは時間もありませんからやりませんけれども、ここでもたとえば「譲渡所得資料ちょう付書」というのが、これは区役所なり登記所なり他の官庁から来ますね。来たのがここにあるわけです。それによると、ある人の土地売買でありますが、その価格は千三百二十九万というふうに、いわゆる資料せんの中に書いてあるということで調査が始まるわけですね。そこには申告書がある。この書類の中に修正申告書が書いてある。これは役所が勝手に書くわけないので、本人を呼んで書いたのだろうと思うのですね。

 ところが、申告書までついてあるのに、「要調査対象事案審理表」というのを見ますと、「見込時価額」の欄があって、そこは一千万円以上、五百万円以上、三百万円以上、三百万円未満、この四つの段階があって、一千万円以上のところに丸を打っている。それは資料せんがそうですからそうなったのだと思うのです。その次の「選定理由」というのがある。ここには「見込時価額との開差大」とかあるいは「取得費・譲渡費過大」とかという項目がずっと載っている。その七番目に「無申告」と書いてある。そこに丸が打ってある。そしてその横の「無申告理由等」というところに「大企連」と書いてある。だから、途中で調べてみたら大企連だということに結局なった。ほかから回ってきたやつですから申告者がわからぬ。大企連ということがあとでわかったということになって、その処理は、局からの交渉で、四十九年二月二十七日、署長同行で資産税課〇〇〇に説明し、少額事案として処理相当と認む、こう書いてあるのです。

 私はこういうのを見ますと、修正申告書までつくったということは、ある程度進んだ、それで処理されるようになった。ところが、国税局の方から、同和対策室だと思うのですね、そこから言うてきたので、今度は署長同行で局へ行って、そして結局所得ゼロに落としてしまっているわけです。こういうふうな扱いが、金ラベルになるとやられていくわけですよ。しかもここに載っている担当官は、課長補佐の印と担当者の印が同じ人の、これは名前は言いませんけれども、同じ人の印が押してあるわけです。これはいわゆる統括官ですね。こんな扱いをして、そしていわば脱税を、局の中で同和対策事業だということでやっているということになるじゃないですか。

 それがたまたま一つじゃないわけです。これはそういう詳しいことが書いてありますけれども、あと譲渡税で、この前もちょっと言いましたけれども、全部ゼロと書いて、明細別紙と書いてあるだけでそのまま通っているのですね。譲渡所得でゼロ、何もかも全部ゼロと書いておいて、それが国税局へ出されてそのまま通ってしまうということになったら、これは全く徴税機構が麻痺されているということになるじゃないですか。それも同和関係者かどうかわからぬわけです。ただわかっていることは、大企連ということだけがわかっているのです。

 こういう扱いは、これは国税局は責任を持って――何遍も繰り返すようですけれども、私は苛斂誅求をやれと言っているわけじゃないのです。法律に従って、そして公平の原則をはずさぬようにやるべきじゃないかということであります。これは部落解放、部落差別をなくする、同和対策事業は重要だということは、こういうことで差別をするということによって、公平の原則を逸脱することによってできるものじゃないんだ。ちゃんと課税をし、そういう中で今度は別にしかるべき処置をとらなければいかぬのだったら、そういうものとして見るべきなんであって、やみからやみへ葬るような形でやられているということになったら大変なことだと思うのですね。そういう点についての税務署側と、国税当局側と、それから大蔵省としての基本的な考え方というものをはっきりしておいていただきたい、こう思うわけです。

○磯辺政府委員 ただいま先生御指摘になりました事案、私はあえてそういった事案がないということはここで否定する考えはございません、事実先生がそういった事実を把握しておられるということでございますから。しかし同時に、全部そういったかっこうで処理されておるというものではなくて、またかなりの部分につきましては、やはり事後調査によって修正申告の慫慂をして課税処理をしたケースもかなりございます。

 ただ、これは先ほども申しましたように、私の立場でそういったことを申し上げるのは、また非常におしかりを受けるかもしれませんけれども、同和問題というのが非常に歴史的な背景を持った根の深い問題であるだけに、やはりそういった問題というものがなくなってしまうのが一番理想でありますけれども、一挙にそれを変えていくというのも、いろいろとトラブルがあって、かえってこの問題を円滑になくしていく、こういった問題の解消をしていくというのに必ずしもプラスじゃない。そこにはやはり同和の人たちの置かれた歴史的な背景なり、それからまた特殊な事情というものを加味した、いわゆる実情に即した課税というものがある面では行われるのもこれまたやむを得ないんじゃないか、私はそういうふうに考えております。

 ですから、先生のおっしゃいましたことを私はあえて否定するつもりはありませんし、それからまた同時に、現在そういった事例を御指摘になりましたら、そういった事例が全然ないということを申し上げる考えは毛頭ないわけでありますけれども、それほどこの問題というのは国税当局としても非常に苦労し、またいろいろと頭を使いながら処理しておるということも御理解願いたいと思います。

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○東中委員 あなたは、そういう事実がないとは言わない、しかしそれはそのままで置いておくのだという姿勢を国税庁として言うのだったら、これはもう公務員としては許されがたい憲法違反をやっていることになりますよ。憲法は、差別をしちゃいかぬ、公務員は憲法を守らなければいかぬというのが大原則でしょう。そういう原則の上から見て同和問題というのも問題になっているわけでしょう。だから、少なくともそういう問題があるという時点では、これは調査をしてそういうことのないように努力をすべきだ。

 だって、いま私が挙げた例なんというのは、局から税務署への交渉で、税務署側が署長同行の上で行って特別な扱いをする、こんなことは実際考えられぬことでしょう。そういうことがあっても、それはいいんだ、何となればそれは同和問題だから、というふうなことは、法治国家では許されません。行政官として許されないのです。それでもあなたは、同和問題はうるさいからそのままほうっておくのだという姿勢をとるのですか。国税庁の方針としてそういうのをとるのですか。そこをはっきりしなさい。

○磯辺政府委員 許されると言っておるわけでありませんで、私は決してそれがいいという考えはないわけでありますけれども、ただ、一挙にそれを変えるということもまた摩擦が多いだろうということを、第一線の税務の執行に当たって心配しておるわけであります。ですから、私は、決してこういったふうに全く課税を行わずに済んでおる、放置されておる、そういった例が間々あるようでございますけれども、そういったのがいいと言っておるわけではございません。ですから、それはやはり是正すべきものは是正していくという考えをここで申し上げておるわけであります。ただ、それが余りにも第一線の税務行政を混乱させるようなかっこうで短兵急に行われると、またそれに対する問題も多いかというふうに心配しているわけでございます。

○東中委員 短兵急にやれとぼくは言っているわけじゃないのですよ。是正するについては、是正する方法があるだろうし、最も摩擦の少ないように効果的にやることを考えるのは、これはあたりまえのことなんですよ。あした行けと言っているわけじゃないし、短兵急にということはあなたが勝手に言っているのであって、私は短兵急にやれとは一つも言ってない。是正さるべきものは是正さるべきだ。そのために国税庁としては考える。そういう措置を摩擦の余り起こらないような方法で考えるというならわかりますよ。しかし、摩擦が起こったらいかぬから、だからいいとは言わぬけれどもほうっておくのだ、というニュアンスの発言をされるから、私は声を大にしてこういうことを言っているのである。

 それから、この前お聞きした同和控除の問題、事業所得の三〇%を一律に天引きするというやり方、これは申告書の中でそれが出ておって、しかもそれが是認されておる。これは時効になってしまうようなケースでありますけれども、しかし最近のケースで言っても、今度は法人の申告の中で、同和控除という言葉は使わないけれども、実際にそれを引いている。計算をすれば明白に三分の一になっているというふうな事例がある。国税庁としては、そういうものは認められない、適法ではないという答弁をされた。ところが、実際にそれがやられておるということになれば、それは正すべきは正さなければいかぬではないか。同和控除をするというのだったら、必要で合理的で、そして納得のいくことなら、それは法制度を変えてやればいいわけだ。

 ところが、法制度上は許されないというのに実際にはやっているというふうなことになったら、これはいかぬじゃないか。事実、そういうものは一時はあったけれども、いまはないとおっしゃるけれども、去年もあったんだから。そうなれば、そういう問題についての調査をやり、そして正していくということでないと、特別扱いをしていることになるわけですね。法に反して特別扱いをしているということになったら、これは差別なんですよ。必要ならば、ちゃんと立法措置をとって、国民が納得できることならば、そういう措置をとってこそ、差別をなくしていくことになるのじゃないですか。法の前の平等ということが差別をなくしていく大原則であるだけに、いまやっておる国税庁のやり方は、逆に差別を助長するようなやり方になっておる。差別的態度で接しているということになるんだということを私は指摘しているのであるから、その点についての姿勢を正してほしい。

 大企連という特別の団体に入っているから特別の利益を与える、それは同和関係者という名前で言っていますけれども、同和関係者であるかどうかもわからない、同和関係者の中でも、そこに入ってない人がたくさんいるということもわかっている。その人たちにはそういう扱いをしないということになったら、まさに特定団体に対する差別でしょう。差別優遇です。また一方では、ほかの業者の団体については、今度は逆に差別をするということになったら、これは裏返しの関係ですから、どっちも許されないことだというふうに私は思うのです。そういう点での国税庁としての姿勢を、また大蔵省としての姿勢を、はっきりと示していただきたいということを言っているわけです。

○森(美)政府委員 東中先生の、差別をなくするために逆に差別をつけてしまうというお話、よくわかります。その点につきまして、やはり何としても法治国家でございますし、正しい行政をしていきたい、私どもはこう考えております。

○磯辺政府委員 私たちも、法の前の平等という憲法の大原則の例外とか、あるいはそれを否定するという気は毫もございません。それは御理解いただきたいと思います。当然のことと思いますが、ただ、この同和問題というのが非常に複雑な問題であるだけに、私たちは先生がおっしゃいましたように、摩擦の少ない方法で課税上の公平あるいは法の前の平等というものについての実現を図っていきたいと考えております。

○東中委員 質問を終わりますが、摩擦をなくするということ、なるべく摩擦のないようにするということ、それ自体はいいことでありますけれども、摩擦をなくするという名前でもしいわゆる融和政策になっておったら、これは差別をつくっていくことになるわけですから、法に反して、法の前の平等の原則を踏みにじって、事実上の扱いで特別扱い、たとえば受付を特別につくる、ほかならやらぬことだけれども、良識をもってほかの団体はそんなことはないだろうと期待しています、というふうに国税庁次長が言われたということは、ここへ持ってきておるのは、これは良識によってやってきておるのではないんだということを言うておられるわけですよ。裏返して言えば、そういうことであることは明白なんです。しかし、それをそのまま認めるということになれば、この団体はどうせ良識がないんだからそれをそのまま承認するということになって、ここで一つの差別が出てきておるのですよ。そういうことを改むべきだということを言っておるわけであります。

 それに対して、是正する、やり方についてトラブルを起こさぬようにということを言われておるので、そういう配慮をされることは、私たちは一つも配慮しなさんなというようなことは言っていないわけであって、是正の方向を一日も早く進めていくということを強く要望しておきたいと思います。

○磯辺政府委員 先生の御趣旨はよく理解いたすところであります。ただ、いま先生おっしゃいましたように、良識がないから一括して持ってこられると認識しておるというふうにおとりになられても困るのです。ですから、その点は御理解いただきます。

○東中委員 困るのはあなたの勝手ですけれども、あなたが言われたのは、ほかの団体が持ってきたらどうなんだと言うたら、国民の良識に期待して、そういうことはないと思う、こう言うから、そう言われたことは速記に残っておることですから。そうすると、そういうふうに持ってくることは、良識に期待しておったら普通はないわけなんでしょう。ところが現実にあるわけでしょう。しかもその理由がわからないという立場でしょう。しかもそれを受け入れておるということになれば、良識のない行為に同調しているということになりますから、論理的にそうなるという指摘を私はしたのであって、あなたの言葉でそう言ったとは一つも言っておりません。

 以上で終わります。



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